|
おわりに
加藤哲夫
狭義のNPOである特定非営利活動法人や任意の市民活動団体と行政との間での「NPOと行政の協働」が盛んに叫ばれている。なにやら行き詰まった自治体施策の特効薬のようでもあり、アウトソーシングにお墨付きを与える錦の御旗でもあるようだ。
なぜ協働が必要なのかという説明には、必ず行政では対応できない「ニーズの多様化」と「新しい公共の担い手の登場」が言われる。何でも行政が応えてきた時代が終わるという点は正しいが、何が公共的なニーズかという判断力がないまま、今まで行政が背負ってきた公共の仕事の「新しい担い手」として都合よくNPOが登場してきたという解釈がまかり通っている。そうではなく「新しい公共」の担い手としてのNPOなのだ。つまり、法と代議制民主主義に裏付けられた公共・行政公益に対する、参加と議論による市民的公共性・市民公益概念が登場し、その担い手(器)としてのNPOが姿を現したと考えるべきなのだ。
私たちNPOは、全国の自治体や政府とさまざまな関係を結んでいる。アドボカシーといって、施策への批判や新しい政策の提案も行っているし、一緒に事業を行う「協働」の局面も増えている。その中で痛感させられるのは、たとえ協働や市民参加を謳っても、従来からの上意下達的な仕事の仕方を見直すことができない行政職員が多いことである。つまり、事業や戦略の立案段階からパートナーとしての市民団体と作業工程を共有して、討議しながらものごとをすすめていくような仕事の仕方は、ほとんどの職員にとって未経験であり、未知との遭遇なのである。ことは、NPOの側にも言えて、今まで同じ言葉で話す人たちとだけ一緒にやってきた市民団体が、異文化の行政職員と話を進めていくのは結構大変なのである。
このワークシート群は、そのような状態の行政職員とNPO関係者のためにつくられている。実際に取り組んでもらえばわかるが、なんとなく協働を理解して、ただ委託を発注していた行政局員は、その手順の精緻さと戦略思考に驚愕するであろう。また、ただ委託の仕事が欲しいとアプローチしていたNPO側も、協働事業の奥行きの深さを実感するであろう。
互いの学びこそが、このワークシートの眼目である。使いながら改良の声を寄せて欲しい。また、このワークシートを使った行政職員とNPO関係者の研修も準備している。大いに活用していただきたい。
|