6. その他事業での収入を見込んだ不定期航路事業の損益分析
先述した条件に加えて、「5.」で検討したその他事業収入2,400,000円が固定的にえられると想定されることから、事業実施の前提条件は、以下のとおりとなる。
運賃:1,400円(1人あたり)
固定費(年):2,689,000円
1運航あたり燃料費:5,000円
その他事業収入:2,400,000円
x:運航回数
ケース1:運航1回あたりの旅客数が4人
ケース1では、以下の式にもとづき損益分岐点が算定される。
(1.4千円×4人)× x +2,400千円=5千円× x +2,689千円
x=約482回
旅客数=4人×482回=1,928人
1日あたり平均運航回数=482回÷250日=1.9回
損益分岐上の年間売上げ高:1.4千円×4人×482回=2,699千円
ケース2:運航1回あたりの旅客数が8人
ケース2では、以下の式にもとづき損益分岐点が算定される。
(1.4千円×8人)× x +2,400千円=5千円× x +2,689千円
x=約47回
旅客数=8人×47回=376人
1日あたり平均運航回数=47回÷250日=0.2回
損益分岐上の年間売上げ高:1.4千円×8人×47回=526千円
ケース3:運航1回あたりの旅客数が12人
ケース2では、以下の式にもとづき損益分岐点が算定される。
(1.4千円×12人)×x+2,400千円=5千円×x+2,689千円
x=約25回
旅客数=12人×25回=300人
1日あたり平均運航回数=25回÷250日=0.1回
損益分岐上の年間売上げ高:1.4千円×12人×25回=420千円
7. 検討結果の整理
「1.」〜「6.」までの木造船の不定期航路事業を中心とした損益分岐分析の検討結果を整理したものは、下表のとおりである。
検討結果から、プレジャーボート管理事業および地域負担金収入の固定的な収入を検討せずに、不定期航路事業収入だけでの事業の実施は、困難であることが検討される。
これに対して、上記固定的事業収入を見込んだ場合では、運航1回あたり旅客数が8人と想定したケース2においても年間47回程度の運航で収支バランスが見込まれる。
このため、本事業を実施していくためには、約269万円程度計上される固定費を、いかに安定的な収入で償い、不定期航路事業で償わなければならない固定費分を可能な限り圧縮していくことが重要である。
また、今回の検討では収入計上していないが、伊勢市でおこなわれる各種イベント時や市内の小中学校などでの環境学習活用の際の一括借り上げでの機会を増やし、事業運営的に安定的に収入がえられるようにしていくことが、木造船を活用した事業を推進していく上で重要な要素となると考えられる。
表 事業計画検討結果の総括
|
項目 |
年間経費 |
事業固定費 |
船客障害賠償責任保険 |
270,000 |
船舶検査手数料 |
504,000 |
船舶保管倉庫賃貸料 |
340,000 |
ドック費 |
200,000 |
乗務員費 |
1,375,000 |
小計 |
2,689,000 |
固定的収入 |
プレジャーボート管理事業収入 |
1,440,000 |
地域負担金収入 |
960,000 |
小計 |
2,400,000 |
事業固定費−固定収入 |
289,000 |
|
固定的収入を見込まない場合の不定期航路事業損益 |
ケース1
(平均乗船者4人) |
変動費(燃料費) |
22,410,000 |
損益分岐上の旅客運賃収入 |
25,099,000 |
損益分岐上の最低必要旅客数 |
17,928人 |
ケース2
(平均乗船者8人) |
変動費(燃料費) |
2,170,000 |
損益分岐上の旅客運賃収入 |
4,861,000 |
損益分岐上の最低必要旅客数 |
3,472人 |
ケース3
(平均乗船者12人) |
変動費(燃料費) |
1,140,000 |
損益分岐上の旅客運賃収入 |
3,830,000 |
損益分岐上の最低必要旅客数 |
2,736人 |
|
固定的収入を見込んだ場合の不定期航路事業損益 |
ケース1
(平均乗船者4人) |
変動費(燃料費) |
2,410,000 |
損益分岐上の旅客運賃収入 |
2,699,000 |
損益分岐上の最低必要旅客教 |
1,928人 |
ケース2
(平均乗船者8人) |
変動費(燃料費) |
235,000 |
損益分岐上の旅客運賃収入 |
526,000 |
損益分岐上の最低必要旅客数 |
376人 |
ケース3
(平均乗船者12人) |
変動費(燃料費) |
125,000 |
損益分岐上の旅客運賃収入 |
420,000 |
損益分岐上の最低必要旅客教 |
300人 |
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補足 想定されるイベント活用時における燃料費
先に想定した伊勢市での活用が期待されるイベント活用時の燃料費は、実施回数等がある程度固定的に想定されることから、固定費として計上する。この結果として、想定される固定的燃料費は、年間約12万円である。なお、伊勢市におけるイベント活用時には、燃料費、操船費(船長費)等を勘案し、各イベント開催時に伊勢市による借り上げ料が想定される(想定借り上げ料に関しては、収入の部で検討をおこなう)。
表 イベント活用における固定的な燃料費
実施月 |
イベント名 |
想定運航ルート |
実施期間 |
単位 |
航行頻度 |
燃料費単価 |
燃料費額 |
3月 |
海の体験・交流イベント |
河崎⇔大湊 |
1日間 |
往復 |
2 |
5,000 |
10,000 |
一色能 |
河崎⇔一色 |
1日間 |
往復 |
2 |
5,000 |
10,000 |
5月 |
どんどこ祭り |
河崎⇔二軒茶屋 |
1日間 |
往復 |
5 |
5,000 |
25,000 |
7月 |
天王祭 |
河崎⇔神社 |
1日間 |
遊覧 |
1 |
5,000 |
5,000 |
体験クルーズ |
河崎⇔大湊 |
1日間 |
往復 |
2 |
5,000 |
10,000 |
8月 |
マリンフェスタ |
河崎⇔大湊 |
1日間 |
往復 |
2 |
5,000 |
10,000 |
伊勢河崎商人館イベント |
河崎⇔神社 |
1日間 |
往復 |
2 |
5,000 |
10,000 |
海の体験・交流イベント |
河崎⇔大湊 |
1日間 |
往復 |
2 |
5,000 |
10,000 |
9月 |
港まつり |
河崎⇔神社 |
1日間 |
往復 |
2 |
5,000 |
10,000 |
10月 |
御幣鯛船歓迎行事 |
河崎⇔神社 |
1日間 |
往復 |
2 |
5,000 |
10,000 |
11月 |
体験クルージング |
河崎⇔大湊 |
1日間 |
往復 |
2 |
5,000 |
10,000 |
年間合計 |
120,000 |
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