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Q15. 死体解剖保存法では人体解剖は医学部・歯学部の解剖実習室とされ、医学・歯学に関する大学の解剖学、病理学または法医学の教授または助教授が解剖すると定められていることをご存じですか?
 
A. 学会・協会関係
 
 
 解剖に関する法律については、70%台で理解されている。
 
B. コメディカル養成機関(学校)
 
 
 全体的には、70%台で理解されているが、医療言語聴覚士養成校、救急救命士養成校ではまだ低い値を示している。
 
その他の意見・提案
 
A. 学会・協会関係
・今後も医・歯学部の変わらぬ支援を望む。
 
B. コメディカル養成機関(学校)
・教材(模型など)が良くなっているので実習しなくても良いが、倫理的側面からは意義があると思う。
・実習により机上の学習だけでは得られないより深い理解が得られる。
・実習はそれ以後の学習意欲の向上や社会貢献に努力するきっかけとなる。
・実習の受け入れ校が手一杯で実施できない状態である。
・コメディカルの増加により、一校当たりの実習、見学回数が減少した。
・現在協力してもらっている大学から将来的な協力が得られるか不安。
・実習前に大学側と細かな協議・話し合いをもち、実習を有意義なものにしたい。
・将来的にはコメディカルの学生も医・歯学生と同様な解剖実習が出来ることを望む。
・コメディカルであっても、高度な技術と知識が要求されるようになってきているのでもっと人体についてよく知りたい。
・必要な部位を特に詳しく観察したい。
・人体関連教育センターのような施設を作って欲しい。
・コメディカル関係者の見学標本作成を法的に緩和してほしい。
・プラスチネーションの財政的補助を検討してほしい。
・現役の教授、助教授にくわえ、元教授、助教授にも解剖することを認可したら良いのではないか。
・医・歯学以外の医療系大学においても実習できることを望む。
・現在の資格内容では人体解剖は必要ない。また、死体解剖保存法の規定から救急救命士養成過程では解剖実習を行うことが許可されないと考える。
 
 
 回答が得られた養成機関は、理学療法士養成校では全国におよんでいるが、医療言語聴覚士養成校、救急救命士養成校は関東に主に集中している傾向がある。
1)コメディカル学会・協会について
(1)人体解剖実習の実施を望んでいる。
(2)人体の全身の実習で、その期間については2日から3日間が妥当であるとしている。
(3)専門知識の習得と医の倫理教育の観点から実習とともに慰霊祭には参列すべきであり、実習前に行われるオリエンテーションでは大学の医・歯学部の教員による説明を望んでいる。
(4)人体解剖実習の学年では1年後期が妥当であるとしている。
(5)人体解剖実習時の費用の負担は了解しているものの、各教育機関の事情によるとしている。
2)コメディカル養成機関
(1)見学と実際の実習も含めると約69%がすでに人体解剖実習(含む見学)を行っているが、見学の形態が未だ多い。
(2)学校の92%が実習を望んでおり、特に理学療法士養成校ではその傾向が強く、救急救命士養成学校では実習を望んでおるが、形態についてはまだはっきり決めていない。
(3)専門知識の習得、医の倫理の必要性から人体解剖実習を意義づけている。
(4)全身の実習を希望し、その期間は2日から3日間が多いが、1週間の希望も多い。
(5)学年では人体解剖実習は1年後期が妥当であるとしている。
(6)慰霊祭には参列すべきであり、実習前に行われるオリエンテーションでは大学の医・歯学部の教員による説明を望み、学生が実習感想文を書いてほしいとが望んでおり、文集への掲載も希望している。
(7)費用の負担は多くは了解しているものの学生負担の問題などの課題もある。
(8)解剖に関する法律についてはほとんどが理解している。
 
 以上のことからコメディカル教育における人体解剖実習は専門教育の習得ばかりでなく、倫理教育としての重要な教育現場であり、人間性を持つ人材の育成を目指す医療技術者養成には重要な位置を占める。コメディカル学会・協会と現場のコメディカル養成機関での人体解剖実習の必要性に対する認識は明白であり、今後は1)コメディカル教育現場全体の統一した見解と必要性、2)医・歯学部のコメディカル教育へのこれからの対応、3)監督省庁への理解、が大きな課題となることが示された。







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