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 海難審判庁裁決録 >  2003年度(平成15年) > 衝突事件一覧 >  事件





平成15年横審第23号
件名

貨物船第二十五徳丸防波堤衝突事件(簡易)

事件区分
衝突事件
言渡年月日
平成15年7月2日

審判庁区分
横浜地方海難審判庁(黒田 均)

理事官
松浦数雄

受審人
A 職名:第二十五徳丸船長 海技免許:二級海技士(航海)

損害
右舷船首部を圧壊

原因
船位確認不十分

裁決主文

 本件防波堤衝突は、船位の確認が不十分であったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。
 
裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成14年11月30日02時52分
 茨城県日立港
 
2 船舶の要目
船種船名 貨物船第二十五徳丸
総トン数 498トン
全長 76.23メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 1,323キロワット

3 事実の経過
 第二十五徳丸(以下「徳丸」という。)は、船尾船橋型の鋼製貨物船で、A受審人ほか4人が乗り組み、銅製品1,220.743トンを積載し、船首3.26メートル船尾4.33メートルの喫水をもって、平成14年11月29日10時30分静岡県大井川港を発し、茨城県日立港に向かった。
 翌30日02時30分入航操船のため昇橋したA受審人は、機関用意とし、同時40分前直者と交替して1人で操舵と見張りに当たり、日立港南防波堤灯台(以下「南防波堤灯台」という。)から130度(真方位、以下同じ。)2.4海里の地点において、針路を308度に定め、機関を半速力前進に減速して8.7ノットの対地速力とし、レーダーを停止したまま、手動操舵により進行した。
 ところで、A受審人は、日立港に入港した経験が豊富で、最近は毎月2回ばかり寄港していたので、港口の南方に日立港沖防波堤(以下「沖防波堤」という。)が存在することを承知しており、予定進路として同防波堤の西方を北上することとしていた。
 02時50分A受審人は、南防波堤灯台から134度1,780メートルの地点に達したとき、同灯台などの見え具合から予定進路の右側を航行していることを知り、同進路に乗せるよう転針することとしたが、沖防波堤を無難にかわせるものと思い、障害物に近づかないよう、あらかじめレーダーを作動させておき、これを見るなど、船位の確認を十分に行うことなく、勘を頼りに針路を295度に転じて続航した。
 こうして、A受審人は、沖防波堤南部に向首していることに気付かないまま進行中、02時52分南防波堤灯台から141度1,280メートルの地点において、徳丸は、原針路原速力のまま、沖防波堤に衝突した。
 当時、天候は曇で風力2の北西風が吹き、潮候は下げ潮の中央期で、視界は良好であった。
 衝突の結果、右舷船首部を圧壊したが、のち修理された。

(原因)
 本件防波堤衝突は、夜間、茨城県日立港に入航中、予定進路に乗せるよう転針する際、船位の確認が不十分で、沖防波堤南部に向首進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、夜間、茨城県日立港に入航中、予定進路に乗せるよう転針する場合、障害物に近づかないよう、あらかじめレーダーを作動させておき、これを見るなど、船位の確認を十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、沖防波堤を無難にかわせるものと思い、船位の確認を十分に行わなかった職務上の過失により、沖防波堤南部に向首していることに気付かないまま進行して同防波堤への衝突を招き、右舷船首部を圧壊させるに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。





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