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1989/12/04 読売新聞朝刊
尊属殺人、「重罰必要」が6割近く 死刑廃止も67%が反対/総理府世論調査
 
 総理府が三日付で発表した「犯罪と処罰に関する世論調査」で、親殺しなどの尊属殺人には普通の殺人よりも重い刑を科すべきだと考えている人が、六〇%近くを占めていることが明らかになった。尊属殺人に対し「死刑か無期懲役」と特に重罰を科した刑法(二〇〇条)の規定については、昭和四十八年に最高裁判所の違憲判決が出て政府は改正を迫られているが、調査結果は今後の改正作業にも影響を与えるとみられる。また、死刑廃止論に「反対」する人も九年前の前回調査時より増えて七〇%近くに達し、死刑存続を望む声の根強さをうかがわせた。
 この調査は、刑法改正作業などの参考とするため、法務省の委嘱を受けて今年六月末から七月初めに、全国の二十歳以上の男女三千人を対象に実施したもの(回収率七六・四%)。
 尊属殺人のうち「自分の親などを殺す行為」については、普通の殺人より「特に重い刑を定めておく必要がある」が三三・五%、「やや重い刑を定めておく必要がある」が二四・九%で、重罰支持派が五八・四%に上り、「普通の殺人と同じでよい」(二四・八%)、「普通の殺人よりも軽い刑を定めておくのがよい」(二・七%)を大きく上回った。
 重罰の必要な理由(複数回答)については、「普通の殺人よりも社会的に非難されるべきだから」(六九・九%)が最も多く、次が「親に対する感謝・尊重の気持ちを維持するのに役立つ」(五四・三%)。一方、重罰の必要なしと答えた人の中では「親だからという理由で特別扱いするのは適当でない」(五一・三%)が多かった。
 一方、死刑制度については「死刑廃止論」に「賛成」が一五・七%、「反対」が六六・五%、「わからない」が一七・八%となっている。九年前に行われた同じ調査ではそれぞれ一四・三%、六二・三%、二三・四%で、賛否いずれもわずかだが増えている。
 死刑廃止論への反対理由では、「凶悪な犯罪は命をもって償うべきだ」(五六・〇%)がトップで、次が「死刑を廃止すれば悪質な犯罪が増える」(五三・一%)。
 また、廃止反対論者に死刑への将来の意向を聞いたところ「将来も存続」が七六・八%、「漸次廃止」が一五・六%だった。
 
 
 
 
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