加藤 源重(かとう げんじゅう)
(昭10.9.25生)
愛知県額田郡
事故で右手指を殆ど全て失ったが、不自由な手で依頼に応じて個々の障害者の状態に合わせた独創的な自助具を次々と考案・製作し、励ましの言葉と共に実費で提供して多くの障害者に生きる喜びと生き甲斐を与えている。
(推薦者 安藤久夫)
Mr. Genju Kato
(Born on September 25, 1935)
Nukata-gun, Aichi Prefecture
Despite having lost most of the fingers on his right hand in an accident, Mr. Genju Kato has been inventing and building creative self-help devices according to the conditions of each person upon request from handicapped persons, using his impaired hand. He supplies the devices at cost with words of encouragement, and has thus given the joy of life and something to live for to numerous handicapped persons.
Recommended by Mr. Hisao Ando
平成3年、働いていた紡績工場で機械に右手を巻き込まれ、加藤さんは親指1cmを残して右手指を全て失った。半年間の必死の努力で手の関節が正常に動くようになり、親指の付け根の動き一つで箸を動かす装具のアイデアを装具・義肢メーカーへ持ち込んだが、どこも応じてくれず、やむなく車庫改造の作業場で、右手にハンマーを縛り付け、ドライバーを太股の上で転がし悪戦苦闘の末、足踏み鞴で動くホルダー付きの義手の自作に成功した。以後、加藤さんは作った義手を右手にはめて工具を持ち、評判を聞いて訪れる障害者の状態に合わせ、ハイテク機器でも製作困難な様々な自助具を次々と生み出した。多様な箸補助具、トイレ用松葉杖・介護用車いすの多機能ブレーキ、バリアフリー車いす、等々。発明は60件にも及ぶ。
多年培った技術力、鋭い嗅覚と強固な意志の全てを動員して、個々の障害者の要望に応えて作り上げた「物作りの名人」加藤さんならではの作品群である。これら独創的な発明は多くの障害者に生きる喜びを与えている。
平成12年1月に設立した「福祉工房あいち」では、30数人が加藤さんに協力して様々な自助具を生み出している。訪れる障害者の話をじっくり聞き、その人の身になって考え抜き、納得するまで改良し、励ましの言葉を添えて無償に近い形で提供する。加藤さんは「心のお医者さま」でもある。
受賞の言葉
この度の受賞を契機に、より一層の努力を致し、福祉用具の研究開発に力を注ぎ身障者や高齢者の方々の日常生活の向上を図って参りますと共に、後継者の育成にも力を入れて参ります。
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