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■北海道 稚内市
■実施日:平成15年(2003年)8月23日(土)曇り
■コース:北海道稚内港内
■主催:わっかない海交流会
■使用艇:海上保安庁巡視船「てしお」
 
海上保安庁巡視船 てしお
 
平13総使、第10号 Copyright (c) 2001 ZENRIN CO., LTD.
 
■いきさつ
 北海道稚内市は、海交流が始まった当初からの実行委員会の幹事市町村である。当市の市長がこの交流活動に熱心なのである。そこで、今年度の海交流は、稚内市と交流している群馬県太田市の子供たちを招いて、地元の子供たちと一緒に海上保安庁巡視船の体験乗船を実施することに決まった。
 稚内市では、海交流を今後も継続していく意向であり、そのための官民共同の受け皿団体も設立した。今後はその団体が中心となり、海交流を実施し、それが「海の駅」づくりにもつながっていくと考えられる。
 
■行程
9:00 趣旨説明・乗船
9:30 巡視艇「てしお」出港
体験乗船
艦内説明
巡視船「しらかみ」の落下傘付き信号弾打上げ
近距離もやい銃発射
ヘリコプターによる救助
巡視艇「えぞぎく」によるカラー放水
海交流フラッグの交換
12:00 下船・解散
 
■稚内港の概況
 稚内市は、日本の北端に位置し、宗谷海峡をへだてた43kmの距離にロシア連邦サハリン州を望む国境のまちです。
 地名は、アイヌ語の「ヤム・ワッカ・ナイ」(「冷たい水の出る沢」)が語源になっています。
 江戸時代以前は、アイヌと呼ばれる先住民が暮らしていましたが、和人による稚内の夜明けは、江戸時代の貞亨2年(1685年)に松前藩が藩主直轄の知行地(支配地)を開設したのが始まりと言われ、以来、交易の場として、また北方警備の要所として栄えてきました。
 夏でも気温が20度前後と、しのぎやすく、北海道の中でも風の強い地域として知られております。
 洋上はるかにサハリンを臨み、その美しい北方景観が自慢の「利尻礼文サロベツ国立公園」を擁し、水産、酪農、観光を基幹産業とする自然豊かなまちです。
 稚内市には重要港湾の稚内港と地方港湾、避難港の宗谷港があります。稚内港は、江戸時代の天明年間に現在の税務署にあたる運上屋が置かれたのが始まりとされており、日露戦争により南樺太が日本の領土となってからは、中継港として重要性が高まり、国による港湾整備が始められ、連絡船の航路が開設し、その後、離島を結ぶ利礼航路も定期化され、これら航路の桟橋として、稚内港のシンボル的建造物、北防波堤ドームが昭和11年(1936年)に完成しております。
 昭和23年(1948年)には、貿易港の指定を受け、同28年(1953年)に特定港湾、同32年(1957年)に重要港湾、同37年(1962年)に検疫港の指定を受けるなど、近代港としての基礎を固めてきました。そして、平成2年(1990年)に「稚内マリンタウンプロジェクト」が策定され、新たな港まちづくりへのスタートを切っております。
 宗谷港は日本の最北に位置する港湾で、観光に要所である宗谷岬公園と連携した「交流拠点づくり」を総合的に進める海辺のまちづくり展開に期待がよせられています。
 2008年には文化5年(1808)幕府から樺太探検の命を受けた間宮林蔵が、その名を残す間宮海峡をわたってだい一次樺太探検に出発して百年になり、それを記念した行事も行われることになっています。
 
 
■当日の様子■
 
[わっかない海交流]
 群馬県太田市青少年交流事業「フレンドシップ2003」で当市を訪れていた太田市の児童・生徒と地元稚内スポーツ少年団の児童・生徒約250名が参加し、海上保安庁の巡視船「てしお」(500t)による体験乗船が行われました。
 今回は、この体験乗船の機会を利用し、わっかない海交流を実施させて頂きました。
 実施前日の夕方、宗谷管内に発令された大雨注意報により、体験乗船の中止が心配されましたが、早朝、大雨注意報は解除されました。しかしながら、風が強く、小雨まじりの天候で、宗谷湾内を航行する予定でしたが、稚内港内での体験乗船となりました。
 乗船前に体験乗船の者のうち、稚内市と太田市の「わっかない海交流」への参加者に「海交流」の趣旨について、説明が行われました。
 「普段見慣れない海から見たまちについて、新しい発見や感動があると思う。自分達のまちのすばらしさを感じて、自分達なりにまちづくりについて、チョット考える機会であってほしい・・・。」
 乗船にあたっての注意を受けたあと乗船し、曇り空の中9:30北洋埠頭北壁より、巡視船「てしお」が出港しました。
 稚内港内での航行、艇内説明のほか、巡視船「しらかみ」(500t)からの落下傘付き信号弾打上げ、近距離もやい銃発射、ヘリコプターによる救助や巡視船「えぞぎく」によるカラー放水などが行われました。
 乗船中の巡視船ギリギリに上空を旋回するヘリコプターや目の前で繰り広げられる迫力ある海上訓練にみんなびっくりしました。
 また、海から見た「わっかない」はどんな風に見えたかな・・・。
 下船後、「海交流」の参加者は稚内市ボートサービスセンターに移動し「普段、見慣れない場所から見たまちへのあらたな発見や感動を大切にしてほしい。それらを自分達のまちづくりに活かしてほしい」との説明を受けながら、山のまち群馬県太田市と海のまち稚内市の「海より深いきづな」を確認し、今回の海交流の証として、互いの「海交流フラッグ」の交換を行いました。
 今回は群馬県太田市青少年交流事業「フレンドシップ2003」のための海上保安部による巡視船体験乗船の機会を利用して、子ども達が普段見慣れない場所から「まち」を見て、「まち」について、チョット考える機会を設けさせて頂きました。
 わっかない海交流会では、来年以降もこのような交流の場面を企画したいと考えております。
 海交流の実施にあたって、多くの関係の方々にご協力を頂ましたことをお礼申し上げます。
(稚内市企画調整部政策推進課)
 
わっかない海交流会 設立
実施日:平成15年8月18日
参加者:11名
風無 成一(稚内機船漁業協同組合 組合長)
梅村 俊範(稚内マリンクラブ代表)
田上 俊三(稚内市間宮林蔵顕彰会 会長)
鳥取 広志(稚内青年会議所 理事長)
安藤 善則(稚内漁業協同組合 組合長)
石塚 宗博(稚内市建友会 会長)
山川 憲治(宗谷漁業協同組合 組合長)
オブザーバー:稚内海上保安部、稚内開発建設部、北海道宗谷支庁、稚内市
事務局:稚内市企画調整部政策堆進課
 
 海を活用した体験交流・海交流を通じて、海の新しい活用方法について考えながら、地域の活性化に資することを目的とする「わっかない海交流会」が、平成15年8月18日(火)に設立されました。
 この会は関係7団体と4つの関係機関により構成され、会長には稚内マリンクラブの梅村会長さん、そして副会長には稚内市間宮林蔵顕彰会の田上会長さんが就任されております。
 







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