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7 地域福祉の推進に係る規定の追加(第10章関係)
利用者本位の社会福祉制度を確立するためには、利用者が身近な地域で多様なサービスを利用し、自立した生活を送ることを支援するための仕組みを構築するとともに、併せて地域福祉の推進を図る必要がある。そこで、従来の「共同募金及び社会福祉協議会」の章を、「地域福祉の推進」の章として再構成し、共同募金会及び社会福祉協議会のそれぞれについて、規定を整備することとした。なお、平成15年度からは、本章において地域福祉計画に関する規定が施行される予定である。
(1)社会福祉協議会に係る規定の追加(第1節関係)
社会福祉事業法制定時には、社会福祉協議会は共同募金と表裏一体の関係を確保し、円滑に運営されていくことが必要であるという趣旨から、都道府県社会福祉協議会を中心に規定されていた。しかしながら、現在の社会福祉協議会の活動は、事業者間の連絡調整のみならず、社会福祉活動への住民参加を推進する事業、住民参加による社会福祉を目的とする事業の実施が中心となっている。
したがって社会福祉協議会の役割について、地域福祉の推進の中心的な担い手として明確に位置付けることとし、かつ、より住民に身近な市町村社会福祉協議会から規定することとした。
(1)市町村社会福祉協議会及び地区社会福祉協議会(以下「市区町村社会福祉協議会」という)に係る規定の改正(社会福祉法第107条関係)
ア 市区町村社会福祉協議会の組織について
社会福祉協議会は、今後地域福祉の推進において中心的な役割を果たすことが期待されていることから、社会福祉協議会が地域福祉の推進を目的とし、また、社会福祉を目的とする事業を経営する者のみならず社会福祉に関する活動を行う者(ボランティア団体等)が参加する団体であることを明確化することとした。
イ 市区町村社会福祉協議会の設置に係る区域の拡大
市区町村社会福祉協議会は、現在それぞれの市区町村を単位として設置されている。しかしながら、住民の生活圏が市区町村の境界を超えて一体的に形成されており、個々の市区町村を単位として設立しても、地域福祉の推進のための十分な体制が整備できない場合もある。
そこで、市区町村社会福祉協議会について、それぞれ同一都道府県内の二以上の市町村及び指定都市内の二以上の区を区域として設立することができることとする。
ウ 市区町村社会福祉協議会の事業実施区域の拡大
住民の生活圏が市区町村の境界を超えて一体的に形成されており、個々の市区町村において事業の実施を行うことが効果的ではない場合や、一定の専門性を要し、かつ対象者が限られている活動のように、広域的に事業を実施することが合理的な場合は、その区域を超えて事業を実施することができるものとした。
(2)都道府県社会福祉協議会に係る規定の改正(社会福祉法第108条関係)
ア 都道府県社会福祉協議会の組織について
社会福祉協議会は、今後地域福祉の推進において中心的な役割を果たすことが期待されていることから、都道府県社会福祉協議会についても、地域福祉の推進を目的とし、また、社会福祉を目的とする事業を経営する者のみならず社会福祉に関する活動を行う者が参加する団体であることを明確化することとした。
イ 都道府県社会福祉協議会の事業について
都道府県社会福祉協議会の事業として、社会福祉を目的とする事業に従事する者の養成及び研修並びに社会福祉を目的とする事業の経営に関する指導及び助言を行うことを追加した。
(2)共同募金に係る規定の改正(第二節関係)
(1)配分委員会に関する規定の創設(社会福祉法第115条、社会福祉法施行令第11条、社会福祉法施行規則第33条関係)
寄附金の公正な配分に資するため、共同募金会に配分委員会を置くことを法律上義務付けることとした。
なお、配分委員会については、委員の任期を2年以内において定款で定める等委員の任期及び欠員の際の規定を整備するほか、その組織及び運営については理事による配分委員会の招集、会議の定足数等について定めた。
(2)過半数配分原則の撤廃(社会福祉法第115条関係)
共同募金については、従来、都道府県の区域内においては社会福祉事業を経営する者の過半数に配分しなければならない旨の原則(いわゆる過半数配分原則)があったところである。
しかしながら、今後は、共同募金会が地域の実情に応じ、寄附金の配分対象とすべき事業者を選定して配分できるようにすることが、地域福祉の推進の観点からふさわしいことである。
このため、過半数配分原則については、撤廃することとした。
(3)共同募金会の配分の期限(社会福祉法第117条関係)
共同募金の寄附金については、その募集の終了後速やかに配分が行われることが原則である。
このため、共同募金については、当該募集を行った会計年度の翌年度の末日までにその寄附金を配分しなければならないこととした。
(4)準備金の積立て(社会福祉法第118条関係)
大規模災害の発生等に対応するためには、あらかじめ準備金を積み立てることができる仕組みを整備することが適当である。また、このような災害については、共同募金を行う都道府県の区域内で発生するものとは限らないため、区域外で発生したものについても拠出を認めることが妥当である。
このため、以下に掲げるような特別の事情がある場合に備え、寄附金総額の3%に相当する額又は法人からの寄附金の総額に相当する額のいずれか低い方を限度として、準備金を積み立てることができることとし、特別の事情があった場合には当該準備金の全部又は一部を他の共同募金会に拠出できることとした。また、併せて、当該規定を社会福祉法第117条に定める共同募金の配分期限の例外とすることとした。
ア 災害救助法(昭和22年法律第118号)第2条に規定する災害が生じたこと。
イ 災害弔慰金の支給等に関する法律施行令(昭和48年政令第374号)第1条第1項に規定する災害が生じたこと。
ウ 被災者生活再建支援法施行令(平成10年政令第361号)第1条第2号又は第3号に規定する自然災害が生じたこと。
エ 準備金に繰り入れて3年が経過したこと。(当該共同募金の区域内において社会福祉を目的とする事業を経営する者に配分する場合に限る)
8 その他
(1)用語の適正化
「収容」等の用語を改める等所要の改正を行うこととした。
(2)社会福祉法に名称及び内容を改めることに伴い、従来の章立ての見直し、枝番号の整理等を行った。
第三 身体障害者福祉法の一部改正(平成12年6月7日施行分)
1 法改正の趣旨
近年、多様化している身体障害者の福祉に対する需要に的確に対応するため、身体障害者相談支援事業及び手話通訳事業を新たに法律上の事業として位置付け、視聴覚障害者情報提供施設の事業内容を拡充するとともに、身体障害者の社会参加を促進する事業の実施に関する地方公共団体の責務規定を設けること等所要の改正を行った。
2 新規事業の追加等
(1)地域で生活する身体障害者の自立と社会経済活動への参加を支援するため、次の事業を新たに身体障害者福祉法上の事業及び施設に追加した。(身体障害者福祉法第4条の2関係)
(1)身体障害者相談支援事業
市町村の委託を受けて、身体障害者又はその介護を行う者に対する情報の提供並びに相談及び指導並びに関係機関との連絡調整等の援助を総合的に行う事業
(2)手話通訳事業
聴覚障害者等につき、手話通訳等(手話通訳及び要約筆記等をいう。(2)において同じ)に関する便宜を供与する事業
(2)近年の情報通信関連機器の普及状況等を踏まえ、また、視聴覚障害者等の意志伝達や情報確保の手段の確保が重要であることにかんがみ、視聴覚障害者情報提供施設の行う製作又は利用の提供の対象となる記録物として視聴覚障害者用の録音物を位置付けるとともに、当該施設の機能に、点訳又は手話通訳等を行う者の養成又は派遣、点字刊行物の普及の促進、視聴覚障害者に対する情報機器の貸出、視聴覚障害者に関する相談等の便宜の供与を位置付けた。(身体障害者福祉法第33条関係)
3 身体障害者等に対する相談及び指導の委託
市町村は、身体障害者相談支援事業を行う者に対し、主として居宅において、日常生活を営む身体障害者及びその介護者に係る相談及び指導を委託することができることとした。(身体障害者福祉法第9条関係)
4 社会参加の促進
身体障害者の社会参加を促進する事業の実施に努めることを地方公共団体の責務とした。(身体障害者福祉法第21条の3)
5 その他所要の規定の整備を行うこととした。
第四 知的障害者福祉法の一部改正(平成12年6月7日施行分)
1 法改正の趣旨
知的障害者のノーマライゼーションの流れを踏まえ、法目的の改正を行い、知的障害者の自立への努力についての規定を設けるとともに、国及び地方公共団体の責務を明示し、知的障害者デイサービス事業及び相談支援事業等を新たに法律上の事業として位置付ける等所要の改正を行った。
2 法目的の改正等
知的障害者の自立と社会経済活動への参加の促進をこの法律の目的として明示するとともに、知的障害者の自立への努力について定め、また、すべての知的障害者はあらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとした。(知的障害者福祉法第1条及び第1条の2関係)
また、国及び地方公共団体の責務として、知的障害者の自立と社会経済活動への参加の促進を明示するとともに、新たに国民の責務、に関する規定を設け、知的障害者の福祉について理解し、社会経済活動への参加に対する協力を行うよう努めなければならないこととした。(知的障害者福祉法第2条関係)
3 新規事業及び施設の追加
地域で生活する知的障害者の自立と社会経済活動への参加を支援するため、次の事業を新たに知的障害者福祉法上の事業及び施設に追加した。
(1)知的障害者デイサービス事業
入浴、食事の提供、手芸、工作その他の創作的活動、機能訓練、介護方法の指導、社会適応訓練等の便宜の供与を必要とする18歳以上の知的障害者又はその介護を行う者を知的障害者デイサービスセンターその他これらの便宜が適切に供与できる施設に通わせ、これらの便宜を提供する事業(知的障害者福祉法第4条関係)
(2)知的障害者相談支援事業
都道府県の委託を受けて、18歳以上の知的障害者又はその介護を行う者に対する情報の提供並びに相談及び指導並びに関係機関との連絡調整等の援助を総合的に行う事業(知的障害者福祉法第4条関係)
(3)知的障害者デイサービスセンター
知的障害者デイサービスセンターを提供することを目的とする施設(知的障害者福祉法第5条及び第21条の5関係)
4 知的障害者デイサービスの実施又は委託の措置
市町村は、知的障害者デイサービスを受けることが必要な18歳以上の知的障害者又はその介護を行う者に対し、その自立の促進及び生活の改善等が図られるよう、障害、環境等に応じて適切な便宜を供与できる施設を選定して、知的障害者デイサービスを実施し、またはその実施を委託する措置ができることとした。
5 知的障害者等に対する指導の委託
都道府県の福祉事務所長は、知的障害者相談支援事業を行う者に対し、18歳以上の知的障害者及びその介護者に係る相談及び指導を委託することができることとした。(知的障害者福祉法第13条関係)
6 その他所要の規定の整備を行うことした。
第五 児童福祉法の一部改正(平成12年6月7日施行分)
1 法改正の趣旨
近年、多様化する障害児の福祉に対する需要に的確に対応するため、相談支援事業を新たに法律上の事業として位置付けるとともに、児童委員について、近年増加する児童虐待等の問題に対応して、保護を必要とする児童等の発見や関係機関への連絡通報等の役割を適切に行うことができるよう所要の改正を行った。
2 新規事業の追加
障害児の地域での生活を支援するため、障害児相談支援事業(都道府県等の委託を受けて、障害児及びその保護者に対する情報の提供並びに相談及び指導並びに関係機関との連絡調整等の援助を総合的に行う事業)を新たに児童福祉法上の事業に追加した。(児童福祉法第6条の2関係)
3 児童委員に関する事項
(1)児童委員が、担当区域内における児童又は妊産婦に関し、児童福祉法第13条に基づいて児童相談所長に通知する場合には、市長村長を経由するものとされているが、児童虐待等で緊急の必要があると認めるときは、市長村長を経由することなく直接通知することができることとし、児童委員の活動を児童相談所の迅速な対応に結びつけることができることとした。(児童福祉法第13条関係)
(2)地域において保護を必要とする児童を発見した者が、児童福祉法第25条に基づいて福祉事務所又は児童相談所に通告する場合には、児童委員を介して行うことができることとし、児童虐待等の早期発見、早期対応を促進することとした。(児童福祉法第25条関係)
4 児童等に対する指導の委託
児童相談所長又は都道府県は、障害児相談支援事業を行う者に対し、児童又はその保護者に対する指導を委託することができることとした。(児童福祉法第26条、第27条関係)
5 児童福祉施設の設置者に対する監督に関する事項
都道府県知事は、厚生大臣の定める最低基準を維持するため、児童福祉施設の設置者に対して、報告の徴収、立入検査等を行うことができることとした。(児童福祉法第46条関係)
6 その他所要の規定の整備を行うこととした。
第六 民生委員法の一部改正
1 法改正の目的
福祉サービスの利用者がその選択するサービスを身近な地域で利用し、自立した生活が送れるよう、地域全体で支援する制度を確立していくためには、民生委員を地域福祉の推進の担い手として明確に位置付ける必要があることから、所要の改正を行うこととした。
2 民生委員の理念に関する事項(民生委員法第1条関係)
民生委員の理念は、常に住民の立場に立って相談に応じ、及び必要な援助を行い、社会福祉の増進を図るよう努めることとした。
3 民生委員推薦会に関する事項(民生委員法第8条関係)
これまで、民生委員推薦会の委員の要件として、当該市町村の議会の議員の選挙権を有する者でなければならないこととされていたが、この要件はかえって幅広く適切な委員を選ぶことの障害となっていた。
このため、選挙権を有する者という要件を削除し、代わりに当該市町村の区域の実情に通ずる者であることを追加することとした。
4 民生委員の職務に関する事項(民生委員法第14条関係)
民生委員の職務の内容をその期待される役割にふさわしいものとするため、援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を追加する等の改正を行った。
5 その他
(1)民生委員を名誉職としていた規定を削除し、民生委員には給与を支給しない旨を明確にした。「名誉職」という語については、単に報酬を受けないことを表すに過ぎないが、関係者の間に誤解を生じやすいので改正を行うこととした。(民生委員法第10条関係)
(2)現在あまり用いられない「統制」等の用語を適切な表現に改めた。
第七 生活保護法の一部改正
「収容」等の用語を適切な表現に改めること。
第八 公益質屋の廃止
公益質屋については、需要の減少に伴い、その福祉的要素は後退していることから、社会福祉事業から除外するとともに、公益質屋法(昭和2年法律第35号)を廃止し、併せて公益質屋法第三条ノ規定ニ依ル国庫補助ノ件(昭和2年勅令第232号)、公益質屋法施行規則(昭和2年内務省令第34号)を廃止した。
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