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第二 社会福祉事業法の一部改正(平成12年6月7日施行関係)
1 題名の改正
従来、この法律は、「社会福祉事業法」という名称が表すとおり、社会福祉事業が公明かつ適正に行われるための諸規制を行うことを主眼とするものであった。しかしながら、今回の改正により、目的及び理念規定を利用者本位の社会福祉制度を確立する観点から規定し直すとともに、「福祉サービスの適切な利用」、「地域福祉の推進」という新しい章を設けたこと等によりその内容及び性格が変更されたことに伴い、法律の名称を「社会福祉法」と改めることとした。
2 目次の改正
福祉サービスの利用者の利益の保護及び地域福祉の推進を図るための規定を整備するため、新たに「福祉サービスの適切な利用(第8章)」という章を設けるとともに、従来の「共同募金及び社会福祉協議会」の章(旧第8章)を、「地域福祉の推進(第10章)」という章に改めた。
3 総則の改正(社会福祉法第1章関係)
(1)目的規定の改正(社会福祉法第1条関係)
第二の1で述べたとおり、この法律の内容及び性格を改めたことを受け、目的規定において、「社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定め、福祉サービスの利用者の利益の保護及び地域福祉の推進などを図り、もって社会福祉の増進に資すること」を明文化した。
(2)社会福祉事業に係る改正(社会福祉法第2条関係)
社会福祉事業について、新たに9事業を追加し、一事業を削除するとともに、政令で定める社会福祉事業について規模要件を緩和できる規定の整備を行った。
(1)新規社会福祉事業の追加
誰もがその有する能力を活用し、自立した地域生活を営むことができるよう支援し、また、福祉サービスの利用者が福祉サービスを適切に選択し利用することができるよう援助するため、以下の9事業を新たに第二種社会福祉事業に追加することとした。
ア 児童福祉法(昭和22年法律第164号)
イ 身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)に規定する身体障害者相談支援事業
ウ 身体障害者福祉法に規定する身体障害者生活訓練等事業(平成13年4月1日施行)
エ 身体障害者福祉法に規定する手話通訳事業
オ 身体障害者福祉法に規定する盲導犬訓練施設を経営する事業(平成13年4月1日施行)
カ 知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)に規定する知的障害者デイサービス事業
キ 知的障害者福祉法に規定する知的障害者相談支援事業
ク 知的障害者福祉法に規定する知的障害者デイサービスセンターを経営する事業
ケ 福祉サービス利用援助事業
なお、「福祉サービス利用援助事業」については、利用契約方式への移行に当たり、特に判断能力が不十分な方々について援助の必要性が高いことから、全国的な整備を図るとともに事業従事者の資質の向上及び本事業に対する普及・啓発を行うために、都道府県社会福祉協議会が事業を実施することを社会福祉法に定めたところである。さらに多様な主体によるサービス提供を可能とするために、本事業を第二種社会福祉事業として位置づけたものであり、社会福祉法第69条の届出を行うことにより、都道府県社会福祉協議会以外にも社会福祉法人や公益法人、特定非営利活動法人(NPO)等多様な主体がこの事業を経営できることとした。
(2)公益質屋を経営する事業の削除
公益質屋については、社会福祉制度全般の充実や、母子寡婦貸付制度、生活福祉資金貸付制度等の代替施策の整備等により、昭和30年代を境に貸付金額及び貸付口数は顕著に減少している。このような需要の減少に伴い、公益質屋の福祉的要素は後退していることから、公益質屋を営業する事業を社会福祉事業から除外した。
(3)事業規模要件の緩和
旧社会福祉事業法においては、入所型事業でない社会福祉事業については、常時保護を受ける者が20人以上としていたが、今回の改正により政令で定める事業については、常時保護を受ける者が10人以上であれば、社会福祉事業に含まれることとした。これにより、当該事業の経営を目的とする社会福祉法人の設立を容易にし、必要な規制及び支援の対象とすることを可能にした。
政令で定める事業としては、身体障害者、知的障害者及び精神障害者の通所授産施設を経営する事業を規定することを予定しており、現在準備を進めている。
(3)基本理念規定の改正(社会福祉法第3条〜6条関係)
個人が自らの選択に基づいてサービスを利用することができる利用者本位の制度を整備し、自立を地域全体で支援する仕組みを確立するに当たって、従来の基本理念を改め、第3条から第6条に通則的な規範として整理し、関係者の責任を明確化した。
(1)福祉サービスの基本的理念(社会福祉法第3条関係)
福祉サービスとは何らかの社会的支援を必要とする者に対するサービスであることから、福祉サービスの内容について、その提供者が従うべき通則的な規範を明確にする必要がある。
すなわち、福祉サービスの提供に当たっては個人の尊厳の保持を旨とし、また、その内容は、福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され、又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならないことを定めた。
(2)地域福祉の推進(社会福祉法第4条関係)
誰もが身近な地域で、その人らしく安心して暮らせるようにするためには、住民の社会福祉に関する活動への積極的な参加を得つつ、社会福祉に関わる者が連携して地域の特性を生かしたサービスの提供体制を確立することが重要である。
このため、地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営するもの及び社会福祉に関する活動を行う者が、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられ、いわゆるノーマライゼーションが図られるように、地域福祉の推進に努めなければならないことを明確化した。
(3)福祉サービスの提供の原則(社会福祉法第5条関係)
利用者が自ら福祉サービスを選択し、自立した生活を営むためには、福祉サービスの提供者が、多様なサービスを利用者の意向に則して総合的に提供することが重要である。
このため、社会福祉を目的とする事業を経営する者は、その提供する多様な福祉サービスについて、利用者の意向を十分尊重し、かつ他の関連サービスとの連携を図りつつ、総合的に提供するよう努めるべきものとした。
(4)福祉サービスの提供体制の確保等に関する国及び地方公共団体の責務について(社会福祉法第6条関係)
国及び地方公共団体は、国民の福祉の増進を図るため、今後とも、計画的な基盤整備、利用者保護制度の適切な運用や費用負担などについてその責任を果たす必要がある。
このため、制度の運営・管理を行う国及び地方公共団体は、社会福祉を目的とする事業を経営する者と協力して、福祉サービスの提供体制の確保に関する施策、福祉サービスの適切な利用の推進に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない旨定め、国及び地方公共団体の責務を明確化することとした。
4 社会福祉法人に係る改正(第6章関係)
福祉サービスの提供において中心的な役割を果たしている社会福祉法人は、介護保険制度や支援費支給方式等利用者が自らサービスを選択して利用する制度(以下「利用制度」とする)の導入に伴い、利用者から選択されるために、自主的に創意工夫を行ってより質の高いサービスの提供を目指すとともに、国民の高い信頼を得るために、事業の効率性や透明性を確保しようとする積極的な姿勢が求められることとなる。このような観点から、社会福祉法人について、経営の原則を定めるとともに、その達成に資する規定の整備を行うこととした。
(1)社会福祉法人の経営の原則(社会福祉法第24条関係)
今後とも福祉サービスの提供において中心的な役割を担うことが求められる社会福祉法人について、その経営の安定性を確保し、かつ利用者の多様な選択を支援するため、経営基盤の自主的な強化、提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性を、社会福祉法人の経営の原則として規定することとした。
(2)収益事業の収益の充当先の拡大(社会福祉法第26条、社会福祉法施行令第1条関係)
(1)の経営の原則のうち経営基盤の自主的な強化に資する観点から、従来は社会福祉事業のみに充当が認められていた収益事業の収益については、次に掲げるとおり、社会福祉の増進に密接に関わる公益事業にも充当できることとした。
(1)社会福祉法第2条第4項第4号に規定する要件(いわゆる事業規模要件)を満たさないために社会福祉事業に含まれない小規模な事業
(2)介護保険法第7条第5項に規定する居宅サービス事業のうち社会福祉事業以外のもの及び同条第18項に規定する居宅介護支援事業
(3)介護保険法第7条第22項に規定する介護老人保健施設を経営する事業のうち社会福祉法第2条第3項第10号に規定する事業(いわゆる無料低額介護老人保健施設事業)以外のもの
(4)社会福祉及び介護福祉法第7条第2号若しくは第3号に規定する社会福祉士養成施設及び同法第39条第1号から第3号までに規定する介護福祉士養成施設を経営する事業
(5)精神保健福祉士法第7条第2号又は第3号に規定する精神保健福祉士養成施設を経営する事業
(6)児童福祉法施行令第13条第1項第1号に規定する指定保育士養成施設を経営する事業
(7)前記(1)から(6)までに掲げる事業に準ずる事業であって厚生大臣が定めるもの
(3)財務諸表等の開示義務(社会福祉法第44条関係)
(1)の経営の原則のうち社会福祉法人の事業の透明性を確保し、かつ福祉サービスの利用者が社会福祉法人の提供する福祉サービスの選択に必要な判断材料となる情報を入手できるようにするため、財務諸表等必要な書類の閲覧を可能にする必要がある。
このため社会福祉法人に対し、事業報告書、財産目録、貸借対照表及び収支計算書並びにこれに関する監事の意見を記載した書面を各事務所に備え置き、当該社会福祉法人が提供するサービスの利用希望者等の利害関係人から請求があった場合には、請求権の濫用と認められるような例外的な場合を除き、原則として閲覧に供しなければならないこととした。
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