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写真に残されたヤミ族の生活
 
涼み台前の女性
 縦縞の上着、腰巻を身につけ、首から大きな飾り(ラカ)をかけて、盛装している。儀礼の際には、通常、更に、帽子、銀の腕輪などを身につける。
(1897年 撮影−鳥居龍蔵 東京大学総合研究博物館所蔵)
 
■蘭嶼のフィールドワークでは、写真は特別重要な意味を持っている。最初の調査者である島居龍蔵は、重いガラスの乾板を持ち込んで、ヤミ族の記録を残した。当時としては、最先端の技術である。以後の研究者はこうした鳥居の意気込みを、大なり小なり、受け継ぐことになった。鹿野忠雄、瀬川孝吉による大部の図説民族誌(An Illustrated Ethnography)は、その一つの到達点であろう。現在でもヤミ族の文化は十分に個性的であるが、こうした古い写真をみると、この百年の間に失われたものも多いことを知ることができる。
 
 涼み台は、村人が気楽に立ち寄り、雑談のできる社交の場でもある。このように二層になっている例は珍しい。
(1987年 撮影−鳥居龍蔵 東京大学総合研究博物館所蔵)







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