ニュージーランド政府統計よると、2001年の対日輸出は前年比3.3%増の40億8,300万ニュージーランド・ドルで、輸入額は、1.4%増の34億9,300万ニュージーランド・ドルであった。貿易収支の黒字額は、2000年(5億700万ニュージーランド・ドル)からやや増加し、5億9,000万ニュージーランド・ドルとなった。
ニュージーランドと日本の貿易関係の特徴は、日本が自動車や電気・電子機器など工業製品を輸出し、ニュージーランドが酪農品や食肉などの農産物や建築部材といった木材製品を輸出するという相互補完性にある。日本の農産物分野での自由化について、ニュージーランド側の期待は極めて強いものの、日本の農業保護という国内問題から日本側の貿易自由化が期待するほど進展しないという状況にある。例えば、ニュージーランドが国際競争力を有する酪農製品のうちナチュラルチーズ、脱脂粉乳、バターおよびバターオイル、調整食用脂、その他の乳製品について、日本側は関税割当制により事実上の輸入制限を行っている。また、プロセスチーズや牛肉については自由化されているものの、それぞれ40%、50%という関税が課されている。魚介類の中では、アジ、イカ(モンゴウイカを除く)などが輸入割当品目になっており、輸入規制を受けている。
2001年の対日輸出を品目別にみると、最大の輸出品目はアルミニウムであり、対日輸出全体の17.7%を占める。アルミニウムの原料であるボーキサイトが豪州から輸入され、水力発電を利用した低廉な電力コストによって精錬されている。しかし、輸出額は前年比5.1%減少した。これは、2001年前半の雨量不足に伴い電力料金が高騰したため、アルミニウム生産を行っている住友化学の合弁事業において減産が実施されたことが影響している。
アルミニウムに次ぐ輸出品目は木材、および住宅部材を中心とする木製品であり、前年比2.1%増加し、構成比は16.5%であった。ニュージーランドは20世紀の初めごろより、ラジアタパインという極めて成長の早い輸入樹種の人工造林に成功し、計画的植林を実施しており、伐採可能量は今後、飛躍的に増大するとみられる。具体的には、1998年の1,660万立方メートルから2005年には2,700万立方メートル、2015年には4,200万立方メートルになると試算されており、世界でも有数の木材資源供給国になると予測されている。ニュージーランドのラジアタパインは、従来、低品質の印象を与えがちな梱包材としてのイメージが強かったが、近年では建築部材や家具の材料としても優れているという評価が出来つつある。このため、日本における建築着工件数が低下する傾向の中でも、安定的な需要が見込まれている。
木材・同製品に続くのは酪農製品であり、対日輸出全体に占める割合は、9.7%となっている。全体の7.1%を占める魚介類については、日本市場の需要が冷え込んでいることなどから6.2%減少した。野菜類も2001年後半の天候不良が野菜の品質に影響を与えたことなどから、カボチャなど一部の作物では減少がみられた。また、タマネギは、一緒に食するケースが多い牛肉の消費が狂牛病問題の影響で落ちたため、減少したとの見方もある。ただし、野菜類全体では43%増と増加した。
一方、対日輸入で品目別にみると、最大の輸入品目は輸送用機器で、前年比8.4%と増加した。輸入全体に占める割合は53.6%と極めて高い。輸送用機器には乗用車、トラック、バス、トラクター、二輪車、関連部品が含まれるが、乗用車の比率が65%と高い。乗用車輸入のうち7割は中古車であり、その9割以上を日本車が占めている。こうした状況から、新車を扱う輸入業者からは中古車が新車販売を圧迫しているという批判の声があがっている。政府は、軍の安全性を理由に2002年4月1日から、94〜96年以前に生産された中古車の輸入規制措置を講じた。輸入中古車の半分近くは96年以前に生産されており、中古車輸入は当面、ある程度の影響が避けられないとの見方が多い。
二輪車についてみると、2001年の登録台数は前年比1.2%減の3,632台でほぼ横ばいであった。このうち、中古車が占める割合は3割である。新車の生産国・地域別にみると、日本が最大で、新車全体の4割を占めている。なお、欧米メーカーは大型で高価格帯のものに特化していることが特徴である。
輸送用機器に続く輸入品目は、機械類で3.2%の減少であった。電気・電子機器は、世界的なIT不況の影響で25.8%減と大きく落ち込んだ。外国投資委員会の統計によると、2001年の日本からの対内直接投資件数は、農業、林業、製造業が相対的に多かった。林業では、王子製紙や伊藤忠が出資するサウスランド・プランテーション・フォレスト社による合計80万ニュージーランド・ドルの投資が認可された。同社はユーカリなど広葉樹の植林を行っている。製造業では食品加工が多く、ニッスイが地元企業2社に対し、それぞれ423万ニュージーランド・ドル、450万ニュージーランド・ドルの出資許可を得た。また、日本とニュージーランドの合弁会社で伊藤ハムやニッスイが出資しているカンタベリー・ミート・パッカーズ社による1,326万ニュージーランド・ドルの企業買収があった。
表1-(5)ニュージランドの対日主要商品別輸出
(単位:100万ニュージランド・ドル、%)
|
2000年 |
2001年 |
金額 |
金額 |
構成比 |
伸び率 |
アルミニム |
761 |
722 |
17.7 |
△5.1 |
木材・同製品 |
661 |
675 |
16.5 |
2.1 |
酪農品等 |
292 |
397 |
9.7 |
36.0 |
魚介類 |
308 |
289 |
7.1 |
△6.2 |
美術、骨董品等 |
63 |
264 |
6.5 |
319.0 |
肉類 |
172 |
203 |
5.0 |
18.0 |
野菜類 |
184 |
192 |
4.7 |
4.3 |
蛋白系物質、澱粉類 |
150 |
169 |
4.1 |
12.7 |
果物・ナッツ類 |
170 |
164 |
4.0 |
△3.5 |
鉱物燃料 |
131 |
119 |
2.9 |
△9.2 |
合計(その他を含む) |
3,952 |
4,083 |
100.0 |
3.3 |
|
出典)JETRO貿易投資白書2002年 ニュージーランド政府統計局
表1-(6)ニュージランドの対日主要商品別輸入
(単位:100万ニュージランド・ドル、%)
|
2000年 |
2001年 |
金額 |
金額 |
構成比 |
伸び率 |
輸送用機器 |
1,726 |
1,871 |
53.6 |
8.4 |
機械類 |
529 |
512 |
14.7 |
△3.2 |
電気・電子機器 |
337 |
250 |
7.2 |
△25.8 |
光学測定・医療用機器 |
156 |
154 |
4.4 |
△1.3 |
鉄鋼 |
94 |
79 |
2.3 |
△16.0 |
ゴム・同製品 |
75 |
79 |
2.3 |
5.3 |
プラスチック・同製品 |
90 |
69 |
2.0 |
△23.3 |
写真・映画用機材 |
55 |
64 |
1.8 |
16.4 |
玩具・運動用具 |
28 |
38 |
1.1 |
35.7 |
紙・板紙、製紙用パルプ |
41 |
36 |
1.0 |
△12.2 |
合計(その他を含む) |
3,445 |
3,493 |
100.0 |
1.4 |
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出典)JETRO貿易投資白書2002年 ニュージーランド政府統計局
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