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オーストラリア(Commonwealth of Australia)
(1)一般事情
1. 面積:768万2,300km2(日本の約20倍)
2. 人口:約1,900万人(2001年国勢調査)
3. 首都:キャンベラ(人口約31万人)
4. 人種:アングロサクソン系等欧州系人が中心
5. 言語:英語
6. 宗教:キリスト教(カトリック、英国国教会)67%、無宗教15%(2001年国勢調査)
7. 略史:
1770年 英国人クックが上陸、英国領有宣言。
1788年 英国人フィリップ海軍大佐一行、シドニー湾付近に植民。
 初代総督に就任。
1901年 豪州連邦成立、六つの英国植民地が憲法を制定。連邦制を採用。
 現在6州2特別地域
1942年 英国のウェストミンスター法受諾、英国議会から独立した立法機能取得。
1975年 連邦最高裁の英国枢密院への上訴権を放棄。
1986年 オーストラリア法制定(州最高裁の上訴権を放棄する等英国からの法的完全独立を獲得)。
8. 政治体制・内政
1)政体:立憲君主制
2)元首:エリザベス二世女王(英国女王)。但し、通常は連邦総督が王権を代行
3)議会:二院制:上院(定員76、任期6年)及び下院(定員150、任期3年)
4)政府:首相:ジョン・ウィンストン・ハワード(自由党)
5)内政:連邦議会においては自由党及び国民党からなる保守連合(現与党)と労働党が二大勢力として拮抗(二大政党制による議院内閣制)
 連邦の立法権限は、憲法により国防、外交、通商、租税、通貨、移民等の特定の事項に限定されており、その他は州の権限として残されている。
9. 外交
 対米同盟関係を基本とするとともにアジア・太平洋を外交・貿易政策上の優先地域に位置づけ、これら諸国との関係緊密化、APEC及びWTOを通じた多角的自由貿易体制の維持・促進を進めている。
10. 経済
1)主要産業:サービス産業
2)GDP: 414億豪ドル(2000/2001年度、実質)豪・外務貿易省資料
3)一人当たりGDP: 33,282豪ドル(2000/2001年度、実質)豪・外務貿易省資料
4)経済指標
 
  95/96 96/97 97/98 98/99 99/00 00/01 01/02
GDP成長率(%) 4.4 3.6 4.8 5.4 4.3 1.9 3.8
物価上昇率(%) 4.2 1.3 0.0 1.2 2.4 6.0 2.8
失業率(%) 8.9 9.7 8.7 7.9 6.9 6.4 6.7
出典)オーストラリア政府統計局(ABS)
5)財政収支:△12億豪ドル 2001/2002年
11. 貿易総額:
(1)輸出:121,165百万豪ドル
(2)輸入:119,667百万豪ドル
12. 主要貿易品目:
(1)輸出:石炭(11.1%)、原油(4.9%)、鉄鉱石(4.3%)、金(4.2%)
(2)輸入:乗用車(7.5%)、原油(5.7%)、コンピュータ(4.2%)、通信機器(3.8%)
13. 主要貿易相手国(2001/02年度、DFAT資料)
(1)輸出:日本(18.8%)、米国(9.9%)、韓国(8.1%)
(2)輸入:米国(18.0%)、日本(12.9%)、中国(9.4%)
14. 通貨:豪州ドル(A$)
15.為替レート:1豪ドル=0.6036米ドル=71.97円(2003/3/31現在)
16. 経済概況
 豪州経済は90年代を通し平均して4%程度の成長を続けてきたが、2000年7月に導入されたGST(財・サービス税。日本の消費税に相当し、税率は10%)の影響により2000年第4四半期に一時マイナス成長を記録した。2001年に入り、連邦政府による所得税減税、住宅取得者への補助金支給及び豪中央銀行による金融緩和が住宅投資と個人消費を促進し、2001年度の経済成長率は実質3.75%と、世界経済低迷の影響を受けずに力強い成長を実現。但し、2002年度は記録的な旱魃の影響もあり、経済成長率3%と予測されている。
(注)豪州の会計年度は7月1日から翌年6月30日までである。
(出典)外務省ホームページ
17. 貿易概況
 2000/01年度(2000年7月〜2001年6月)のオーストラリア経済は、堅調な個人消費、住宅投資に支えられ、1.9%の成長を達成した。2001年(暦年)の貿易収支は、輸出が前年比で11.1%の増加を示したことにより過去最大の貿易黒字を記録した。投資については、対内直接投資額(認可ベース)が3年連続の増加となった。一方、対外直接投資(国際収支ベース)は、主要投資先である英国、香港、オランダ、米国向けが大きく落ち込んだため、2年連続の減少となった。通商政策については、シンガポール、タイ、米国などとの二国間自由貿易協定(FTA)締結に向けた動きを活発化させている。
 2000/01年度のオーストラリア(以下、豪州)経済は、世界経済が低迷するなか、堅調な経済成長を続けた。2000年10〜12月期には、税制改革に伴う駆け込み需要やシドニーオリンピック終了の反動から、マイナス成長となったものの、その後の急速な個人消費の回復に加え、新規住宅取得に対する政府助成措置や金利低下に伴う住宅投資の急伸、オーストラリア・ドル(以下、豪ドル)安による輸出の増大、政府支出の拡大などによりプラス成長となった。米国同時多発テロ事件とアンセット航空破綻が重なった2001年度第3四半期も、前期比で1.1%増となり、実質GDP成長率は1999/2000年度(4.3%)を下回ったものの、2000/01年度通年ベースでは、1.9%のプラス成長となった。
 政府は、2002年5月発表の新年度予算案の中で、今後の経済成長率を、2001/02年度(推定)、2002/03年度(予測)ともに3.75%と発表した。活発な設備投資と好調な消費支出、予想を上回る雇用の伸びに支えられ、豪州経済は、底堅さを維持するとの予測を明らかにしている。
 RBA(豪州連邦準備銀行)は、主要政策金利である公定キャッシュレートを、消費者マインドを刺激するため、2001年2月以降、6回にわたって引き下げ4.25%としたが、その後は好調な個人消費を背景とするインフレ懸念への対策として、2002年5月、6月にそれぞれ0.25%引き上げ、4.75%としている。
 豪州政府統計局によると、2001年(暦年)の輸出は11.1%増の1,225億8,000万豪ドル、輸入は1,175億9,600万豪ドルと0.5%の微増にとどまった。貿易収支は、輸出の高い伸びを反映して赤字から転じ、97年以来4年ぶりとなる過去最高の49億8,400万豪ドルの黒字を計上した。
 貿易黒字の要因としては、(1)2001年4月に最安値を更新した豪ドル安、(2)輸出総額の45%を占める一次産品の価格が高値を維持したこと、(3)シドニーオリンピック終了後から2001年前半にかけての国内景気の減速による需要の落ち込みから輸入の伸びが低かったこと等があげられる。また、貿易相手先別にみると、日本、韓国、香港、台湾等、アジア諸地域に対して黒字を計上し、米国、ドイツ、中国、フランス、スウェーデン等、欧米諸国に対しては赤字となっている。
 政府は、主要貿易相手国の市場が徐々に開放されつつあることを歓迎しているが、2000/01年度の具体的な成果として、羊肉に対する米国の輸入関税撤廃や牛肉に対する韓国の18年ぶりの市場開放などをあげている。今後も、自由貿易を推進し、保護貿易主義を打破するための努力を続けるとの考えを示している。また、(1)アグリビジネス、(2)自動車産業、(3)防衛、(4)教育、(5)環境、(6)スポーツ競技場などのインフラ技術、(7)知的先端産業(バイオ、情報技術など)、(8)観光の8分野を将来における豪州からの輸出拡大を狙う有望分野として、位置付けている。2001/02年度の最重要課題としては、(1)中国向け液化天然ガス(LNG)の長期供給契約の締結、(2)台湾、ベトナム、欧州向け家畜輸出の拡大、(3)中国向け自動車部品輸出の拡大、(4)ブラジル、インドネシア向け教育サービス輸出の拡大、(5)日本、中国などの情報通信技術・バイオ市場の開拓などをあげている。
 2001年の輸出を品目別にみると、上位10品目のうち9品目を一次産品で占めている。上位品目の構成は、基本的には従来、大きな変化はない。最大の輸出品目は石炭で、前年比33.7%増(金額ベース)と、世界的な高価格と主な輸出先である日本や中国、韓国等の需要増を背景に拡大し、輸出総額のおよそ1割を占めている。このほか、鉄鉱石(18.1%増)や天然ガス(15.2%増)は主要輸出先であるアジア向けが好調であった。
 
表1-(1)オーストラリアの主要国・地域別輸出
(単位:100万豪ドル、%)
  2000年 2001年
金額 金額 構成比 伸び率
日本 21,805 23,728 19.4 8.8
米国 10,958 11,972 9.8 9.3
韓国 8,961 9,521 7.8 6.3
中国 6,018 7,590 6.2 26.1
ニュージーランド 6,567 7,167 5.9 9.1
シンガポール 5,860 5,372 4.4 △8.3
台湾 5,542 5,339 4.4 △3.7
英国 3,758 5,192 4.2 38.2
香港 3,574 4,195 3.4 17.4
インドネシア 2,887 3,229 2.6 11.8
サウジアラビア 1,585 2,628 2.1 65.8
マレーシア 2,362 2,598 2.1 10.0
合計(その他含む) 110,307 122,580 100.0 11.1
出典)JETRO貿易投資白書2002年 オーストラリア政府統計局(ABS)
 
表1-(2)オーストラリアの主要国・地域別輸入
(単位:100万豪ドル、%)
  2000年 2001年
金額 金額 構成比 伸び率
米国 23,109 21,405 18.2 △7.4
日本 15,341 15,259 13 △0.5
中国 9,075 10,310 8.8 13.6
ドイツ 5,885 6,666 5.7 13.3
英国 6,922 6,282 5.3 △9.2
ニユージーランド 4,488 4,741 4.0 5.6
韓国 4,804 4,638 3.9 △3.5
シンガポール 3,702 3,967 3.4 7.1
マレーシア 4,266 3,890 3.3 △8.8
インドネシア 2,698 3,875 3.3 43.6
イタリア 3,137 3,434 2.9 9.5
台湾 3,525 3,027 2.6 △14.1
合計(その他含む) 117,029 117,596 100.0 0.5
出典)JETRO貿易投資白書2002年 オーストラリア政府統計局(ABS)
 
 主要輸出品目の上位市場については、アジア諸国、欧米諸国、ニュージーランド(以下、NZ)を中心としている。ただし、乗用車については、豪州メーカー(GMの現地法人であるホールデンやトヨタなどの外資4社)の市場戦略から、上位輸出先の中に中東諸国(サウジアラビアなど)が入っていることが特徴で、2000年、2001年にそれぞれ40.8%、34.4%と著しい伸びをみせている。
 国・地域別にみると、日本に次ぐ輸出先である米国向けは前年比9.3%増で、主要輸出品目は輸出額のおよそ12%を占める牛肉を筆頭に、原油、ワインなどであった。豪州にとって米国は最大の貿易赤字国であり、2001年は多少改善されたが多額であることには変わりなく、赤字額の削減は懸案である。米国で羊肉に課される輸入関税は撤廃されたが、農家へ補助金支給を行う「新農業法案」や鉄鋼製品へのセーフガードの成り行きが注目される。輸出先は、以下韓国、中国、NZと続く。
 近年、中国の伸びは著しく、2000年が前年比42.5%増、2001年が同26.1%増と2年連続して20%を超え、輸出額も97年の1.9倍となり、NZを抜き第4位の相手国となった。中国向けの主要な輸出品目は、鉄鉱石、羊毛である。2000年に入り中国政府が穀物の100%自給を目指す政策から、純輸入国となることを容認するという方針転換を行い、さらには2001年11月、WTOに加盟したことから、今後の対中輸出も拡大するものと見込まれている。
 一方、輸入を品目別にみると、最大の輸入品目は乗用車で前年比10.7%増であった。卸売上税が廃止され、財・サービス税(GST)が導入されたことにより、相対的に価格が低下したためである。主な輸入先は、日本、ドイツ、韓国で、日本のシェアは56%となっている。2001年に高い伸びをみせた原油は微増、米国(18.5%)、マレーシア(18.5%減)などからの輸入が減少したことからコンピュータは前年比でマイナスに、同様に米国(38.7%減)や英国(32%減)が減少したことから通信機器もマイナスとなった。医薬品はドイツ(21.8%減)が減少したが、米国(21.5%増)やスイス(20.2%増)が増加した。







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