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フィリピン(Republic of the Philippines)
(1)一般事情
1. 面積:299,404km2(日本の8割の広さ)で、7,109の島がある。
2. 人口:7,650万人(2000年5月国勢調査値)
3. 首都:マニラ(人口993万人)
4. 人種:マレイ系が主体。他に中国系、スペイン系、及びこれらとの混血、更に少数民族等がいる。
5. 言語:国語はフィリピノ語、公用語はフィリピノ語と英語。80前後の言語がある。
6. 宗教:国民の83%がカトリック、その他のキリスト教が10%、イスラム教は5%。
7. 平均寿命:男性65歳、女性70歳
8. 識字率:93.9%(95年調査)
9. 大学進学率:約30%
10. 略史:
1521年マジェランのフィリピン到着
1571年スペインの統治開始
1898年米西戦争中の6月12日、アギナルド将軍が独立を宣言
     米西パリ講話条約調印により、米の統治開始
1935年独立準備政府(コモンウェルス)発足
1942年日本軍政開始
1946年7月4日、フィリピン共和国独立
1965年マルコス大統領就任(1972年戒厳令布告)
1986年2月革命によりアキノ大統領就任、マルコス大統領亡命
1992年ラモス大統領就任
1998年エストラーダ大統領就任
2001年アロヨ大統領就任
11. 政治体制・内政
1)政体:立憲共和制
2)元首:グロリア・マカパガル・アロヨ大統領
3)議会:上・下二院制
 上院24議席(任期6年、三選禁止)
 下院262議席(任期3年、四選禁止)
4)内閣:正副大統領は個別選出
大統領:任期6年、再選禁止
副大統領:任期6年、三選禁止
閣僚任命権者は大統領
5)内政:2001年1月の政権交代により、エストラーダ前大統領の後継としてアロヨ大統領が就任、アロヨ大統領は、貧困撲滅、汚職追放による政治倫理の確立、治安改善、反政府勢力との和平交渉による国民融和等を重要政策として掲げている。
 2004年5月に大統領選挙が予定されているが、アロヨ大統領が2002年末の不出馬表明を撤回し、2003年10月に出馬を表明するなど、今後の政治動向が注目される。
12. 外交基本政策:
(1)二国間及び地域的枠組みへの参加による安全保障政策の推進
(2)経済外交を通じた外資導入政策による経済・社会の発展
(3)海外出稼ぎ労働者の保護及び福利の推進。
13. 経済指標
1)主要産業:農林水産業(全就業人口の約37%が従事)
 
  1998 1999 2000 2001 2002
2)GNP 億米ドル 685 802 790 757 820
3)一人当りGNP 米ドル 912 1,045 1,007 945 -
4)経済成長率 (%) -0.2 3.4 4.4 3.2 4.6
5)物価上昇率 (%) 9.8 6.7 4.4 6.0 -
6)失業率 (%) 10.0 9.8 11.2 11.1 -
7)総貿易額 輸出 - 350.4 380.8 321.5 350.7
(億米ドル) 輸入 - 307.4 344.9 330.6 334.7
 
8)貿易品目:
(1)輸出:電子・電気機器、輸送用機器等
(2)輸入:通信・電気機器、電子部品、発電用重電機器等
9)貿易相手国(シェア順):
(1)輸出:米国、日本、オランダ(2002年)
(2)輸入:日本、米国、韓国(2002年)
10)為替レート:1ペソ=約2.3円(2003年4月現在)
11)経済概況:
 アジア通貨危機以降は緩やかな回復基調。
 2002年のGDP成長率4.6%増を記録、政府目標値4.0%を上回った。
 政府は03年のGDP成長率を4.2%〜5.2%増と予測。
今後、持続的な成長を維持していくには、経済構造改革、財政赤字解消、不良債権処理、治安回復によるフィリピン経経への信頼回復が課題である。
14. 二国間関係:
 我が国との間で、政治的の懸案事項は存在せず、活発な貿易、投資、経済協力関係を背景に、両国の友好関係は極めて良好である。
15. 貿易概況:
 2001年1月にアロヨ政権が発足し、政情は安定化しているが、米国の景気低迷と世界的なIT不況を受け、2001年の貿易は輸出入ともに減少した。特に、輸出全体の68.1%を占めるエレクトロニクスが前年比19.4%減と落ち込んだ。2001年の対内直接投資額(認可ベース)は前年比27.3%減と、4年連続の減少となった。分野別では、コールセンター設立などの情報通信技術(ICT)分野への投資が目立っている。日本との関係では対日輸出の減少により、貿易赤字が拡大した。日本からの投資も全体としては減少している中で、プラントのCAD設計、ソフトウエア開発などIT関連サービス分野への進出が相次いでいる。
 2001年のフィリピン経済は、同年1月の政権交代や5月のエストラーダ前大統領支持派による騒乱といった政治的混乱、9月の米国における同時多発テロ事件、世界的なIT不況などのマイナス要因にもかかわらず、堅調な個人消費の伸び(3.4%増)に支えられて、予想の2%台を上回る3.4%の実質GDP成長率を記録した。
 貿易工業省輸出振興局(DTI-BETP)によると、2001年の輸出額は前年比15.6%減の321億5,020万ドルと、1985年以来初めて前年割れとなった。品目別に見ると、輸出全体の7割近くを占めるエレクトロニクス製品が、前年比19.4%減(219億910万ドル)と落ち込んだ。IT不況により、半導体、電子データ処理部品などの輸出が減少したためである。衣類も6.6%減の23億ドルとなった。子供服は2.3%増であったが、紳士服(11.5%減)、婦人服(5.3%減)が落ち込んだ。子供服の増加は、先進国の少子化を背景に高級な子供服市場が伸びていることや、中国製品との価格競争を避け、ニッチマーケットを狙った結果である。機械・輸送機器も振るわず、7.1%減の12億6,934万ドルとなった。自動車部品は5.7%減の9億5,469万ドルであった。
 国・地域別輸出では、第1位の米国向けが88億4,320万ドルと前年比21.4%減の大幅減となった。第2位の日本向けも9.8%減の50億5,740万ドルとなった。タイ向けは12.6%増の13億5,796万ドルと増加した。特に、エレクトロニクス製品が14.2%増、自動車部品が14.4%増と伸びた。自動車部品については、AICO(ASEAN産業協力)スキームの利用が増えており、トヨタ自動車、三菱自動車、三菱電機などが2000年に承認を受け、2001年にタイを含め、域内取引が本格化したとみられる。中国向けも19.6%増の7億9,276万ドルとなり、なかでも半導体を主とするエレクトロニクス製品が前年比30%増と急増した。中国に製造拠点を持つ、欧米系携帯電話会社向けの輸出が増加したためである。2001年の輸入は、前年比5.8%減の295億5,081万ドルであった。この結果、貿易黒字は、25億9,939万ドルと、前年の66億9,111万ドルから半減した。







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