日本財団 図書館


台湾
(1)一般事情
1. 内政
1)2000年5月に就任した民進党の陳水扁(ちん・すいへん)第10代「総統」は、新「内閣」を政党にこだわらない「全民政府」として位置付けたが、立法院で国民党が過半数を占める状況の下、少数与党として苦しい政局運営を強いられてきた。
2)2001年12月の立法院選挙において国民党は大敗し、民進党が立法院において初めて第一党となったものの、台湾団結連盟と合わせても過半数には到らず、引き続き与野党が拮抗する不安定な構造が続いている。
3)次期総統選挙(2004年3月)に向け、野党陣営の動きが活発化し、2003年2月、国民・親民党の党首(連戦(れんせん)、宋楚瑜(そう・そゆ)が選挙協力につき合意し、同4月、両名が正副総統候補として出馬することが発表された。
2. 経済
 2002年の台湾経済は、内需は依然として低迷したものの、世界景気の緩やかな回復に伴い、対外貿易及び製造業生産が好転し、経済成長率は3.54%(2001年は2.18%)、GNPは2,889米億ドル(2001年は2,868億米ドル)となった。一方で、失業率過去最悪の5.17%を記録した。2003年度について、台湾当局は、経済成長率を3.68%と予測している。(2002年の台湾の主要経済指標)
3. 日本との関係
 2002年の日台貿易総額は約5兆円で、日本にとり台湾は第4位の貿易相手先。台湾との関係については、日本は日中共同声明に従い、非政府間の実務的な関係を維持するとの立場。また、日本は台湾をめぐる問題が海峡両岸の直接の当事者間の話合いを通じて平和的に解決されることを強く希望しており、そのために両岸対話の早期再開を期待している旨を繰り返し表明。
4. 2002年の台湾の主要経済指標
1)輸出9.7%増、輸入6.2%増
2)民間消費1.9%増
3)民間設備投資1.6%増
4)2003年2月末現在での外貨準備高は1663.3億ドル(世界ランキングでは日本、中国、香港に次ぐ第4位)
5. 台湾と外交関係を有する27ヶ国
 エル・サルバドル、グァテマラ、グレナダ、コスタ・リカ、セント・ビンセント、セント・クリストファー・ネービス、ドミニカ、ドミニカ共和国、ニカラグア、ハイチ、パナマ、ベリーズ、ホンジュラス、パラグアイ、バチカン、ガンビア、サントメ・プリンシペ、スワジランド、セネガル、チャド、ブルキナ・ファソ、マラウイ、リベリア、ソロモン諸島、ツバル、マーシャル諸島共和国、パラオ共和国。
出典)外務省ホームページ
6. 経済・貿易事情
 2001年、台湾のGDPは初のマイナス成長を記録した。貿易総額は世界的なIT需要の低迷を受けて2割減となり、対内直接投資も3割減と落ち込んだ。こうしたなか、中国向け投資は増加するなど、中国へ拠点をシフトする動きが引き続きみられる。台湾は2002年1月にWTOに加盟したことから、貿易・投資面での規制緩和を進めており、産業空洞化のさらなる進展が懸念される。台湾当局はその対策として、国際競争力の強化に向けた取り組みを活発化させつつある。
 行政院主計処によると、2001年のGDP成長率はマイナス1.9%と、1951年に統計を取り始めてから初のマイナス成長となった。成長率は、98年に46%、99年に54%、2000年に59%と安定的に推移していたが2000年第4四半期から徐々に減速傾向を示した。2001年にマイナス成長に落ち込んだ背景には、(1)米国経済の減速、IT需要の冷え込みにより輸出が落ち込んだこと、(2)景気の不透明感から民間投資が下半期に急減したこと、(3)失業率の持続的な上昇、株価低迷に伴う逆資産効果で消費意欲が低下したことなどがあげられる。2001年末の失業率は5.2%で過去最悪の水準となり、2000年に平均7.847ポイントで推移した加権指数(平均株価指数)も2001年9月には一時3,500ポイントを割り込んだ。
 財政部の発表によると、2001年の貿易総額は2,301億ドルと、過去最高を記録した2000年から一転して2割減となった。輸出入とも前年比2ケタ減となったのは初めてである。WTOの発表では、2001年の台湾の貿易総額は前年(第14位)から順位を低下させ、世界第16位となった。貿易黒字は、輸入の落ち込みが輸出より大きかったため、73億ドル増加した。なお、台湾元べースでは、輸出は4兆1,377億元(10.4%減)、輸入は3兆6,194億元(17.2%減)であった。
 
  1999年 2000年 2001年
実質GDP成長率 % 5.4 5.9 △1.9
貿易収支(米ドル) 150億4,200万 40億1,900万 201億8,100万
経常収支(米ドル) 83億8,400万 89億500万 188億6,100万
外貨準備高(米ドル・年度末) 1,062億 1,067億4,200万 1,222億1,000万
為替レート(対米ドル・年度末) 32.3台湾元 31.2台湾元 33.8台湾元
出典)JETRO貿易投資白書2002年(行政院主計処及びIMF)
 
 主要国・地域別でふると、輸出は軒並み2ケタの落ち込みとなった。最大の輸出先である米国向けは、経済の低迷に加えて同時多発テロ事件の影響もあり、通年で20.5%減となった。自動データ処理機械(26.3%減)、事務用機器(9.1%減)など、IT関連品目が落ち込んだ。米国に次ぐ輸出先である香港向けも13.9%減、欧州向けも16.5%減となった。また、台湾メーカーによる製造拠点のシフトが進んでいる中国向けも、8.0%減の落ち込みを余儀なくされた。
 輸入も、輸出同様に軒並み2ケタの落ち込みをみせた。最大の輸入先である日本が33.0%減、米国が27.4%減と急減し、輸入総額に占めるシェアはそれぞれ0.9ポイント、1.9ポイント低下した。中国は5.2%減と前年比マイナスになった。なお、経済部国際貿易局の発表(推計値)では、台湾の輸出、輸入に占める中国のシェアは、他の国・地域に比べて減少幅が小さかったことから、ともに過去最高となった。
 
表1-(1)台湾の主要国・地域別輸出
(単位:100万ドル、%)
  2000年 2001年
金額 金額 構成比 伸び率
米国 34,814.7 27,667.6 22.5 △20.5
香港 31,336.3 26,971.2 21.9 △13.9
日本 16,599.4 12,764.2 10.4 △23.1
ASEAN 16,399.1 12,864.0 10.5 △21.6
欧州 23,713.4 19,807.8 16.1 △16.5
EU 22,162.7 18,367.3 14.9 △17.1
その他 25,457.7 22,826.7 18.6 △10.3
合計 148,320.6 122,901.5 100.0 △17.1
中国* 26,162.2 24,061.3 - △8.0
出典)JETRO貿易投資白書2002年〔出所〕財政部統計処
  注)*印の対中国間接貿易統計は台湾経済部が推計したもの。
 
表1-(2)台湾の主要国・地域別輸入
(単位:100万ドル、%)
  2000年 2001年
金額 金額 構成比 伸び率
米国 25,126.2 18,232.1 17.0 △27.4
香港 2,186.6 1,849.0 1.7 △15.4
日本 38,557.9 25,849.6 24.1 △33.0
ASEAN 19,716.2 15,535.7 14.5 △21.2
欧州 19,013.1 14,990.2 14.0 △21.2
EU 15,482.5 12,829.2 12.0 △17.1
その他 35,410.6 30,786.2 28.7 △13.1
合計 140,010.6 107,242.8 100.0 △23.4
中国* 6,223.3 5,902.0 - △5.2
出典)JETRO貿易投資白書2002年〔出所〕財政部統計処
  注)*印の対中国間接貿易統計は台湾経済部が推計したもの。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION