(3)船齢別構成
インドネシア船隊の船齢別構成
インドネシア国内船隊の平均船齢はきわめて高く、20年にも達しています。
24年以上の船舶が全船隊の36%を占めていますが、それは近い将来に老朽船の代替が必要になるということであり、インドネシア造船業にとっては国内海運からの需要が増大することを意味します。
6. インドネシア造船業に対するJCAの協力
STRAMINDO研究の作業計画
1 日本における準備作業
2 着手報告書の検討
3 国内の海運・海事産業の現状評価
4 現地調査の実施
5 輸送需要の分析と予測
6 開発ニーズの特定
7 進行報告書の作成と検討
8 マスター・プランの策定
8-1 ビジョンの全体像想定とサブセクターの展開
8-2 実施態様の策定とM/P評価
8-3 優先プロジェクトの選択
9 中間報告書の検討
10 選択された優先プロジェクトを対象とする行動計画の策定
11 全体評価と勧告
12 最終報告書案の作成と検討
13 研究の最終的まとめ
JICAとインドネシア造船業界との間の協力関係には長い歴史があります。70年代初期から、各種の技術的能力の移転のためにJICAは50名以上の技術者をインドネシアの造船所に派遣してきました。最初の20年間にはJICAは日本の大手造船所の協力を要請しました。これを日本語で「民活」といっていますが、それは[民間部門を活用した協力]という意味です。
時日の経過と共に日本の大手造船所も体力が消耗し、国際協力に技術者を割り振る余力がなくなりました。この段階で我々は方針を変え、日本の退職技術者を主な対象として、個人のボランティアを募りました。日本ではこのスキームを「シルバー専門家」活用と呼んでいます。毎年2回、JICAは熟練の技術者を募集し、政府機関、インドネシアの場合ですと産業貿易省に調整して頂いて、申込みのあった造船所にこの人々を派遣します。現在のところ造船関係では6名のシルバー専門家がインドネシアに滞在していて、うち数名はこの会議に出席しています。
JICAではもう一つ、「インドネシアにおける国内海運と海事産業の振興のための開発研究」というプロジェクトにも取り組んでいます。このプロジェクトは昨年12月に開始され、中間報告書を10月に、最終報告書を来年3月に提出する予定です。このプロジェクトの目的は、インドネシア政府のために国内海運と関連造船産業を振興するためのマスター・プランを立案することにあります。現在は運輸通信省、産業貿易省、INSA(インドネシア船主協会)そしてもちろんIPERINDOとも協力して、マスター・プランを策定する段階です。
この開発研究において、我々はインドネシアの国内海運をインドネシア国民の福利にとって最重要の、そして不可欠の産業の一つと認識して取り組んでおります。また造船産業を海運の振興のために不可欠の支援部門と認識しております。
この点において、我々は国内船を対象とした修繕船能力、新造船能力に重点をおき、優先事項としております。これまで修繕船には一度も触れませんでしたが、修繕船事業運営のレベル向上が、二つの面において最も緊急かつ不可欠な要件と考えております。第1は国内の海運企業に関する面においてですが、国内海運企業は船隊運航を近代化するために、船舶管理システムを改善することができます。第2はインドネシアの造船企業に関する面ですが、例えば外航船など、付加価値の高い受注を得ることによって、造船企業は収入を増大させることができます。
次の段階として、国内向けの新造船を拡充しなければなりません。インドネシアは17,000を超える島からなる世界最大の多島国です。一時的には外国の中古船に頼ることもできますが、それを永久に続けるわけには行きません。自国の需要に基づいた自前の船隊建造に移るのは、早ければ早いほどよいのです。この発想が開発研究の行動計画の基礎とならなければなりません。
私の講演を結ぶに当って、発展途上諸国の代表の皆様に、JICAのお手伝いを利用する可能性を是非ご検討下さるよう、お願いしたいと思います。JICAはあらゆる発展途上国に対して開かれた存在であります。
ご傾聴ありがとうございました。
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