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TECHNO MARINE 日本造船学会誌 第877号(平成16年1月)
 
国際会議出席報告
MARSIM'03開催報告
MARSIM'03実行委員会
 
 本年8月に操船シミュレータを利用した研究と船舶操縦性能に関する研究を対象とする標記国際会議が開催された。日本造船学会を中心として,日本航海学会,国際シミュレータ会議の共催により下記の通り実施された。投稿論文は160編を超え,本会議出席者も260名を超える盛況な会議であった。1978年に第1回MARSIMが開催されて以降,最大の会議となった。MARSIMは1990年に東京にて開催されて以降,2度目の日本開催であった。円滑な会議運営を図るために,以下の委員会が組織され準備が進められた。
組織委員会(委員長:大坪英臣(東京大学教授))
国際実行委員会(委員長:藤野正隆(東京大学教授))
国際論文審査委員会(委員長:小林弘明(東京商船大学教授))
実行委員会(委員長:貴島勝郎(九州大学教授))
 二度目の日本開催となることから,国外からの参加者の希望を反映し,東京以外の地での開催が検討された。検討の結果,今回は伝統的な日本の文化を体験する機会を図るために石川県金沢市・金沢全日空ホテルを会場に選定した。
 
1.1 Workshop
 8月25日(月):MARSIM'03本会議に先立ち,現在国際的に議論が行われている研究対象についてWorkshopが開催された。出席者数は120名であった。Workshopにおけるテーマは操船シミュレータ分野と操縦性分野の2領域に大別され,午前と午後の各セッションに分かれて行われた。
 操船シミュレータ分野のセッションでは近年議論が活発化している海技技術教育におけるシミュレータ利用を対象とした。はじめに次の2件の講演が行われ,続いてフロアーからの意見とディスカッションが行われた。
(1)Harmonization of European MET via EC Research Project
Dr.Peter MUIRHEAD 世界海事大学教授(スウェーデン)
(2)The Necessary Techniques for Safe Navigation and the Assessment of the Competency
Dr.Makoto ENDO 富山商船高等専門学校教授,
日本航海学会操船シミュレータ研究会会長
 
写真1 Workshopの様子
 
 操縦性分野のセッションではIMOにおける操縦性基準に関する議論と制限水域における操縦性能推定についての議論が行われた。それぞれの話題に対し,次の講演が行われ,続いてフロアーからの意見とディスカッションが行われた。
(1)IMO Maneuvering Performance Standards
Dr.Alexander LANDSBURG 米国海事局(U.S.A)
(2)Review of Practical Methods for Assessing Shallow and Restricted Water Effects
Dr.Marc VANTORRE Ghent大学(ベルギー)教授
 
 MARSIM'03本会議は8月26日から28日までの三日間をかけて論文発表が行われた。本会議の構成は以下の通りである。なお,MARSIM'03本会議への出席者数は225名(19ヵ国)であり,同伴者38名を含めると263名の人々が集う盛大な国際会議となった。期間中の行事スケジュールと主な講演者は以下の通りである。開会式,基調講演,閉会式は3つの講演会場を一つとして全ての参加者が参加できる全体会議方式とした。論文発表はシミュレータを用いた研究分野を対象としたRoom A,操縦性の研究発表を中心としたRoom C,そして,操縦性とシミュレータ利用の双方に関係する研究分野を対象としたRoom Bの三会場が並行して行われた。MARSIM'03の論文集は三分冊によって構成されているが,各分冊の内容は会議における各講演会場の講演論文に該当している。
 
写真2 Conference Proceedings
 
 
写真3 開会式の様子
 
 
写真4 展示ブースの様子
 
本会議第一日(8月26日(火))
開会式(司会者:実行委員会委員長 貴島勝郎 九州大学教授)
組織委員会委員長 大坪英臣(東京大学教授)
IMSF会長 小林弘明(東京商船大学教授)
来賓挨拶 井上彰一郎(国土交通省海事局技術課長)
 
基調講演2件
Simulator Application
IMSF会長 東京商船大学教授 小林弘明
New Technology on Marine Simulator
Wismar工科大学(ドイツ)教授Dr.Kund BENEDICT 論文発表
3会場に分かれて40件の講演が行われた
 
本会議第二日(8月27日(水))
基調講演 2件
Some Studies on the Prediction for Ship Manoeuvrability
日本造船学会試験水槽委員会委員長 九州大学教授
貴島勝郎
Low Speed Manoeuvering Criteria: Some Consideration
U.K.British Maritime Technology Limited(イギリス)
Dr.Ian DAND
 
論文発表
3会場に分かれて37件の講演が行われた
Conference Banquet 金沢全日空ホテル 鳳の間
 
本会議第三日(8月28日(木))
論文発表
3会場に分かれて25件の講演が行われた
閉会式(司会者:実行委員会委員 原口富博博士 海上技術安全研究所)
IMSF会長 小林弘明(東京商船大学)
 
 上記の行事に加えて,次に示すSocial Programが催された。
 
Reception Party: 8月25日(月)
Accompanying Person's Program: 8月26日,27日,28日
Post-Conference Excursion: 8月29日
Technical Tour: 8月31日(日)
 
 本会議開催中の三日間はMARSIMが対象とする学問分野に関連する企業の展示ブースが企画された。出展ブース数は12ブース設定され,共同出展が2ブースあったので出展企業数は14社であった。三日間の本会議中にブースへの来場者は延べ約500人に上り,活発な情報収集活動が行われていた。
 また,MARSIM'03本会議終了後,共催団体の一つである国際シミュレータ会議(International Marine Simulator Forum: IMSF)の年次総会が8月30日(土)東京商船大学で行われた。







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