電圧を落とすな
日本で一番古い会社はどこにあるかというと大阪にあるんです。大阪にある宮大工です。金剛組というんです。これは室町時代にできたんです。これが1社だけ残ってます。あとは養命酒です。江戸時代の。それ以降三越やなんだとありますが、ほとんどの会社は実は明治10年、西南の役、あの時に大もうけした奴がまず一番最初に残ったんです。それがオークラ、オータニだとかになった。その次は昭和大恐慌の前後で鈴木商店とかがでてきた。そしてその次に戦後のどさくさにホンダとかソニーとかが出てきたんです。
だから次は今なんですよ。今、新しい時代の大金持ちがでてくるのに一番いい時期なんです。だから皆さん、ご商売それぞれがんばってらっしゃると思います。電圧を落とさないでください。私共が一番心配してるのは、特に50才以上の方はみんな真面目に商売やってきて、やっと家を建て、子供を学校やって、商売成功させてきた。そうした時に誰が声をかけたかというと、一番最初に「社長、もっと儲かるのがあるんだよ。ゴルフ会員権買わない、別荘買わない、ビル建てない、土地買わない」ねえ、誰が言ったんですか。背広着て、頭、七三に分けて絶対ウソ言わないと言った人達が、一番真面目な社長達から声かけていったんですよ。そしてどうなりました。見るも無残な結果になりました。今になって「俺はあの時、バブルの時金なんか借りなかった。俺はすごい」バカ言ってんじゃねえ。お前なんか当時借りられなかったんだ。信用がゼロだったんだ。真面目な人だけがやられたんですから。この人達が今、電圧がなくなっちゃった。自信がなくなっちゃった。
私共、皆さんのことを「たそがれ族」と呼んでいます。映画「たそがれ清兵衛」から。あの映画みてください。おそろしいです、あれ。何でかと言うとね、映画の内容なんかどうでもいいんです。終わった後、みてください。見てる人、50才以上のおじさんばっかりです。みんな泣いてます。奥さんはほとんどいませんわ。奥さんは隣の綾小路きみまろでワーッと笑ってますわね。何なんだ、この差は。男はみんな死んでますわ。女性はパーっとすごいです。この差。これが今の時代です。男、充電しないとダメなんです。もう全然元気がなくなっちゃった。
だから今の時代はね、女性の方が強いですからね。「そんな、お父さん、無理せんでいいやん。1万円儲かればいいじゃない。100万も儲からんでいいの」というのが女性の発想。今みたいな時代にはピッタリなんだ、損しないんだから、こういうのは。
社員の使い方
覚えといてください。今日は幹部の方がいらっしゃるので最後に申し上げますが、社員というのは、男性と女性の使い方は全く違いますから。男性は、今の時代の人はどうやって使うかというと3度叱って1度褒めるんですよ。男性は褒めて褒めると、木まで登ってどうしようもなくなるんですよ。だから「ばかやろう、アホ」と蹴っ飛ばさなきゃならない。そしてたまに「お前もいいとこあるな」と褒めてやるんです。こうやると男はよく働くんです。女性は逆ですよ、3度褒めて1度叱るんですよ。間違って逆をやると会社ぐちゃぐちゃになりますよ。皆さん、男の人使ってる人多いんだから、まず蹴っ飛ばすことからです。ここが一番大事。
閉会挨拶 (社)長崎県トラック協会会長 松藤 悟
そして教育は5%にやればいい。全員教育させるなんて昔の発想ですわ。そんな良い社員いっぱいいませんわ。5%の人にやらせればいいんです、幹部の。なぜなら、人間自分の周りにちゃんとした人が4人いればね、もう500〜1000人使えますから。自分を輝かせてくれる人、これがひとりいる。金屏風と言います。昔の殿様みたい。殿様って何で後ろに金屏風つけてたかというと、ろうそくがこう立ってるんですね。そうすると向こうから来る人が「わあっ」て、自然に頭がぱっと下がるようになるんです。だから金屏風なんです。それから自分と同じ性格の奴がひとり必要なんです。自分と全く違う奴もひとり必要なんです。もうひとりは自分のいうことを100%何も考えないでやってくれる人。この4人さえいれば1000人まで大丈夫です、組織は。
それから教育はね、すべて9ですから。教育は6・3・6・9。もうそれ以上教育なんかしちゃだめ。何も意味ない。社員教育も3ヶ月、6ヶ月。幹部教育も9ヶ月、これ以上かけても無駄です。金が無駄になります。だから徹底的にそこに集中してしまう。
そして今の若い人達はずっと働かせようと思わないほうがいいんです。3年間のブロイラーだと思って下さい。あれは卵から3年で成長して、その間儲けさせてくれて、はい、さようなら。それでいいんです。そういうふうに割り切ると頭にこないし、それでいいんだ。それをずっと使っていこうとかね、そんな難しいこと考えるから疲れるんです。早いんです、今の時代。スピードなんです。で、いい社員だけは給料を安くしちゃダメなんです。いい社員は金をかける。そうすれば会社は絶対持つ。
会社ってのは皆さん、営業を大事にされます。もちろん大事です。ですが一番大事なのは事務方。会社てのは事務方が強いと必ず強いんです。事務方の弱い所は必ず会社がダメになってきます。ですから、どうやって事務方を固めるかというのがこの不況時代の一番最後のしあげになってきます。
さあ、これを整理してお話しますと、ひとつはまず時代が変わってきたぞ。だから時流に目線を合わせよう。ふたつめは金融機関やなんかがみんな変わってきました。従来のやり方ではダメです。決算書が読めない会社の社長は無免許運転です。もう何もないのと同じですから。ですから必ず決算書だけはわかるようにして下さい。3番目は人の使い方や時流というものにからだを合わせていく。みずから自分があわせていくということをやっていけば、間違いなくあなたにとってこの不況は終わりになります。でも、あなたが金持ちになれるかどうかは、ほんのわずかです。
皆さん、意外と「利は元にあり」で、意外と本当の元が狂ってませんか。そこからスタートしなきゃだめじゃないでしょうかということを最後の言葉として、私の講演会を終わらせていただきます。どうも長い間ありがとうございました。
注 ハイブリッドカーは、複数の動力源(例 ガソリンエンジンと電気モーター)を組み合わせて低公害化や省エネルギー化を図った車
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