2)木更津港
木更津港は千葉県が管理する重要港湾であり、古くから物資の集散港として栄えてきた。現在、木更津南部地区と君津地区には、新日本製鐵およびその関連会社、また、県内木材業者による木材団地が集積し、富津地区には東京電力富津火力発電所および流通加工型工業が立地している。
公共ふ頭としては、木更津南部地区において木更津ふ頭が、背後地区で産出する山砂の積出に利用されているほか、外貿機能の強化として-12m岸壁240mを平成8年に使用開始した。
木更津地区は、東京湾アクアラインの開通、かずさアカデミアパークの整備など、県南部地域の地域開発拠点としての重要性が増していることから、同港においても外貿機能の拡充や港湾再開発を目的として平成10年7月に港湾計画が改訂された。
また、平成15年4月には、総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)の指定を受けた。その背景には、平成11年1月に当時の通商産業省と環境庁の承認を受けた「千葉県西・中央地域におけるエコタウンプラン」の存在がある。同プランは、千葉県の西・中央地域をエコタウンエリアと位置づけ、地域特性を生かしたリサイクル施設の整備によりゼロ・エミッションを目指すものである。木更津港(富津地区)はこのエコタウンエリアに含まれており、自動車リサイクル事業・貝殻リサイクル事業等、地域特性を生かしたリサイクル産業の集積・育成を図り、地域の発展・活性化を推進すること目指している。
図2-7に木更津港の輸移出入別の海上出入貨物量の推移を示す。これをみると、特に移出量が平成10年度以降大幅に減少しており、木更津港における取扱貨物に占めるシェアが大きく低下している。5
図2-12 木更津港の海上出入貨物量の推移
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資料:千葉県ホームページ掲載データより作成
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(3)自然環境・社会環境の整理
木更津地区は、東京湾中央部に位置し、海域としては内湾であるが黒潮の流入など外洋の影響も受けることもあるエリアである。背後の房総の山地から流入する小櫃川が形成した河口域の円盤状の地形の盤洲干潟があり、北部の君津、南部の富津にかけて干潟が広がっている。
堆積層の間の地下水の利用も、自噴の井戸として知られており、流域の地下水もふくめた保全の意識が歴史的にも醸成されている。流域の水環境保全の施策に評価できる。
また、歴史的に理科教育が盛んで多くの教師やナチュラリスト、郷土史家に恵まれてきたと考えられる。国内有数の環境教育プログラムをもつ学校もある。
京葉工業地帯の埋立計画では、昭和30年代にはほぼ確実に盤洲干潟周辺は埋立られる可能性が高かったが、現在まだ自然の干潟が残っている。これは、埋立による土地造成とその利用の限界が社会経済的にも見えてきた結果でもあるが、地域の漁業や自然保護関係の反対意見もあり、また、沿岸域利用として海域として残したほうが産業的メリットもあるとの判断もあったと思われる。
木更津地区は、海を介せば首都に近く、地形的にも東京湾の海峡横断道路の場所として各種計画で候補地に挙がってきたことから、東京湾横断道路アクアラインの建設地となった。湾岸の交通ネットワークとして、沿岸の後背地全体の交通網の問題としても、交通問題は重要である。
これらの条件は、木更津が沿岸域利用の意思決定過程の研究でも重要なフィールドであることを示している。特に、埋立が進んだ東京湾では、自然の沿岸が残存している貴重な海域としての位置づけに着目したい。
1東京湾再生のための行動計画、東京湾再生推進会議
4千葉県土木部港湾整備課ヒアリング結果
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