(絶縁距離)
第178条 電気機械及び電気器具(その露出充電部が密閉され、かつ、その火花による危険のないものを除く。)の露出充電部相互間又は露出充電部と大地の間の空げき(火花間げき及び絶縁物のある空げきを除く。)及び沿面距離は、次表に定めるところにより保たなければならない。ただし、管海官庁が承認したものについては、この限りではない。
種別 |
定格電圧
(ボルト) |
空げき
(ミリメートル) |
沿面距離
(ミリメートル) |
異極
端子間 |
異極裸
充電部間 |
裸充電部と
大地間 |
異極
端子間 |
異極裸
充電部間 |
裸充電部と
大地間 |
自動しゃ断器及び刃形開閉器 |
125以下のもの |
13 |
6 |
13 |
19 |
9 |
13 |
125をこえ
250以下のもの |
19 |
8 |
14 |
32 |
11 |
18 |
250をこえるもの |
25 |
10 |
15 |
50 |
13 |
25 |
回転機械、制御器(定格電流10アンペア以下のものを除く。)
並びに自動しゃ断器及び刃形開閉器以外の配電盤用器具 |
125以下のもの |
6 |
9 |
125をこえ
250以下のもの |
8 |
11 |
250をこえるもの |
10 |
13 |
小型電気器具及び定格電流10アンペア以下の制御器 |
25以下のもの |
3 |
4 |
25をこえ125以下のもの |
5 |
6 |
125をこえ250以下のもの |
7 |
8 |
250をこえるもの |
9 |
10 |
配電盤上の充電部 |
125以下のもの |
13 |
13 |
125をこえ
250以下のもの |
16 |
13 |
250をこえるもの |
23 |
23 |
|
(解説)
絶縁距離
絶縁距離とは、電気機器の絶縁間げき(空げき)と沿面距離を総称していう。(船舶設備規程第178条及びJEM1103制御機器の絶縁距離参照)
(1)絶縁間げき(空げき)とは、絶縁された2つの裸充電部の最短空間距離をいう。例えば、下の端子台の図でlが絶縁間げきである。
(2)沿面距離とは、2つの裸充電部間につながる絶縁物の表面に沿った漏電の起こりうる最短距離をいう。例えば、上図で点線で示したような場合をいう。
(関連規則)
1. 船舶検査心得
178.1(絶縁距離)
(a)居住区等の乾燥した場所に設置され、かつ、推進及び安全に直接関係のないものについては、JISによることとしても差し支えない。
2. NK規則
2.7 制御用器具
2.7.1 絶縁距離
-1. 制御用器具(例えば、接触器、抵抗器、制御用操作スイッチ、リミットスイッチ、電動機保護用及び制御用継電器、端子台、半導体組込み器具、これらを組み合わせた装置等をいう。)の絶縁距離は、器具の保護状態及び周囲条件に応じて-2.及び-3.の規定によらなければならない。
-2. 湿気、じんあい等について考慮された絶縁構造の制御用器具(例えば、電磁開閉器、制御用スィッチ、端子台等)又は過度の湿気、じんあいの堆積等がない周囲条件の下で使用される制御用器具の絶縁距離の最小値は、表H2.10によらなければならない。
-3. 15A以下の小型制御用器具の絶縁距離の最小値は、前-2.にかかわらず器具の保護状態及び装備される周囲条件に応じて本会の適当と認める値とすることができる。
-4. 前-2.及び-3.の規定は、次に示すものには適用しない。
(1)アークを発生する接点間げき
(2)誘導電動機の2次回路に使用される器具
(3)油入器具
(4)表示灯の口金及びソケット
(5)居住区域内の小型スイッチ類
(6)封入構造の器具の封入部分
2.7.2 周囲条件
-1. 半導体組込み器具は、55℃の周囲温度で適切に動作するものでなければならない。
-2. 制御用器具は、いずれの方向に45度傾斜させても不具合な切換え動作や状態変化が起こってはならない。ただし、電磁接触器は2.6.3-2.(1)によるものとする。
表H2.10 制御用器具の絶縁距離の最小値
定格絶縁電圧
(直流・交流)
(V) |
空間距離(mm) |
沿面距離(3)(4)(mm) |
(5)
15A未満 |
(5)
15A以上 63A以下 |
(5)
63A超過 |
(5)
15A未満 |
(5)
15A以上 63A以下 |
(5)
63A超過 |
(1)
L-L |
(2)
L-A |
(1)
L-L |
(2)
L-A |
(1)
L-L |
(2)
L-A |
a |
b |
a |
b |
a |
b |
60以下 |
2 |
3 |
2 |
3 |
3 |
5 |
2 |
3 |
2 |
3 |
3 |
4 |
60を超え
250以下 |
3 |
5 |
3 |
5 |
5 |
6 |
3 |
4 |
3 |
4 |
5 |
8 |
250を超え
380以下 |
4 |
6 |
4 |
6 |
6 |
8 |
4 |
6 |
4 |
6 |
6 |
10 |
380を超え
500以下 |
6 |
8 |
6 |
8 |
8 |
10 |
6 |
10 |
6 |
10 |
8 |
12 |
|
備考(1)空間距離L-Lは、裸充電部間及び充電部と接地金属体との間に適用する。
(2)空間距離L-Aは、充電部と絶縁が劣化することによって充電部となる絶縁金属体との間に適用する。
(3)沿面距離は、絶縁物の種別及び形状によって決める。
“a”は、セラミック(ステアタイト、磁器)及び他の絶縁材料であって、特に漏れ電流に対し安全なリブ又は垂直面をもった絶縁物で、実験的にセラミックを用いたと同様と認められるもので比較トラッキングインデックス(CTI)140以上の材料(例えば、フェノール樹脂成形品等)に適用する。
“b”はその他の絶縁材料の場合に適用する。
(4)空間距離L-Aがそれに対応した沿面距離“a”又は“b”よりも大きい場合には、裸充電部と操作者が容易に触れることができ、かつ、絶縁が劣化することによって充電部となる絶縁金属体との間の沿面距離は、L-A以上であること。
(5)電流値は、定格通電電流の値で示す。
3. NK規則検査要領
H2.7 制御用器具
H2.7.1 絶縁距離
-1. 定格絶縁電圧とは、制御器具の絶縁設計の基準となる電圧で、実用上支障なく使用して得るよう考慮された電圧をいい、定格使用電圧以上の値とする。
-2. マクロ環境条件(周囲環境条件)とは、機器を設置し使用する室内、又はその他の場所の環境条件をいう。また、ミクロ環境条件とは、縁面距離の決定に大きな影響を及ぼす絶縁物の直近の環境条件をいう。さらに、汚染度とは、装置の絶縁性能を決定するミクロ環境の汚染の程度をいう。
-3. 規則H編2.7.1-3.において、制御用器具の絶縁距離の最小値は、表H2.7.1-1に示す器具のミクロ環境条件の汚染度及びマクロ環境条件(周囲環境条件)に応じて、表H2.7.1-2.及び-3.によるものとする。
表H2.7.1-1. ミクロ環境条件の汚染度及びマクロ環境条件(周囲環境条件)
ミクロ環境条件 |
マクロ環境条件(周囲環境条件) |
汚染度 |
汚染の程度及び器具の例 |
1 |
汚染なしか、又は乾燥した非導電性の汚染だけが生じる状態。
器具の例:
・密封された継電器の内部
・コーティングされた印刷配線板
・密封形マイクロスイッチ及び近接スイッチ |
気候に対する保護がされていて、かつ、温度が制御されている場所。
・じんあい又は外部からの固形物の種類や量がほとんどない。
・腐食物又は汚染物質の種類や量がほとんどない。
例:
・空調された清浄な室内 |
2 |
通常、非導電性の汚染だけが存在する状態。偶発的に、結露によって一時的な導電性が生じてもよい。
器具の例:
・カバー付き継電器の内部(制御用小形継電器)
・制御用操作スイッチ及びマイクロスイッチの内部
・コーティングなしの印刷配線板 |
気候に対する保護がされているが、温度と湿度が制御されていない場所(周囲温度の低下を防ぐための加熱は含まれる)。
・じんあいの存在がほとんどない。
・腐食物又は汚染物質の種類や量がほとんどない。
例:
・事務所、清浄な電気室 |
|
表H2.7.1-2. ミクロ環境条件の汚染度1における制御用器具の絶縁距離の最小値
定格絶縁電圧
(直流・交流)
(V) |
空間距離(mm) |
沿面距離(3)(4)(mm) |
L-L(1) |
L-L(2) |
a |
b |
12以下 |
0.2 |
0.2 |
0.2 |
0.2 |
12を超え 30以下 |
0.4 |
0.4 |
0.4 |
0.4 |
30を超え 60以下 |
0.5 |
0.5 |
0.5 |
0.5 |
60を超え 125以下 |
0.5 |
0.5 |
0.5 |
1 |
125を超え 250以下 |
1 |
1 |
1 |
1.5 |
250を超え 380以下 |
1.5 |
1.5 |
1.5 |
2 |
380を超え 500以下 |
2 |
2 |
2 |
3 |
|
表H2.7.1-3. ミクロ環境条件の汚染度2における制御用器具の絶縁距離の最小値
定格絶縁電圧
(直流・交流)
(V) |
空間距離(mm) |
沿面距離(3)(4)(mm) |
L-L(1) |
L-L(2) |
a |
b |
12以下 |
0.4 |
0.4 |
.0.4 |
0.4 |
12を超え 30以下 |
1 |
1 |
1 |
1.5 |
30を超え 60以下 |
1 |
1 |
1 |
2 |
60を超え 125以下 |
1.5 |
1.5 |
1.5 |
2.5 |
125を超え 250以下 |
2 |
3 |
2 |
3 |
250を超え 380以下 |
3 |
3 |
3 |
4 |
380を超え 500以下 |
4 |
4 |
4 |
6 |
|
|
(備考)(1)空間距離L-Lは、裸充電部間及び充電部と接地金属体との間に適用する。
(2)空間距離L-Aは、充電部と偶発的に危険となり得る金属体との間に適用する。
(3)沿面距離は、絶縁物の種別及び形状によって決める。
“a”は、セラミック(ステアタイト、磁器)及び他の絶縁材料でも、特に漏れ電流に対し安全なリブ又は垂直面をもった絶縁物で、実験的にセラミックを用いたと同様と認められるもので、トラッキングインデックス140V以上の材料(例えば、フェノール樹脂成形品等)に適用する。“b”は、その他の絶縁材料の場合に適用する。
(4)空間距離L-Aが、それに対応した沿面距離“a”又は“b”よりも大きい場合には、裸充電部と操作者が容易に触れることができ、かつ、絶縁が劣化することによって充電部となる絶縁金属体との間の沿面距離は、L-A以上でなければならない。
(5)電流値は、定格通電電流の値で示す。 |
-4. 空問距離及び沿面距離は、次により決定する。(図H2.7.1-1. 参照)
なお、以下においてミクロ環境条件の汚染度3とは、規則H編2.7.1-2.に示す保護状態及び周囲条件を意味する。
(1)空間距離は、裸充電部間の最短距離で決定し、ミクロ環境条件の汚染度3は規則H編表H2.10、ミクロ環境条件の汚染度1及び2はそれぞれ表H2.7.1-2.及び表H2.7.1-3.に示す値を最小とする。
(2)沿面距離は、裸充電部間にある絶縁物の表面に沿った最短距離で決定し、ミクロ環境条件の汚染度3は規則H編表H2.10、ミクロ環境条件の汚染度1及び2はそれぞれ表H2.7.1-2.及び表H2.7.1-3.に示す値を最小とする。ただし、絶縁物の表面に次のみぞが存在するものでは、そのみぞはないものとして決定する。
(a)ミクロ環境条件の汚染度3で、定格絶縁電圧が250V以下のもの及びミクロ環境条件の汚染度2で、定格絶縁電圧が125Vを超えるものにあっては、みぞの幅又は深さ1mm未満の場合。
(b)ミクロ環境条件の汚染度3で、定格絶縁電圧が250Vを超えるものにあっては、みぞの幅又は深さ2mm未満の場合。
(3)前(1)及び(2)において、裸充電部間の途中に金属体があり、絶縁物が分割される場合には、次のいずれかによる。
(a)分割された絶縁物のうち、最大のものが規則H編表H2.10、表H2.7.1-2.及び表H2.7.1-3.の値以上であればよい。
(b)分割された絶縁物のうちの大きなもの二つの和が規則H編表H2.10、本要領表H2.7.1-2.及び表H2.7.1-3.の値の1.25倍以上であればよい。ただし、分割された絶縁物が、ミクロ環境条件の汚染度3で、定格絶縁電圧250V以下のもの及びミクロ環境条件の汚染度2で定格絶縁電圧125Vを超えるものにあっては、1mm未満、並びにミクロ環境条件の汚染度3で、定格絶縁電圧が250Vを超えるものにあっては、2mm未満のものは除外する。
(4)前(1)及び(2)において、裸充電部間の絶縁物面にリブがある場合、その高さが次の関係にあればその沿面及び空間距離は、これを除外して決定する。
(a)ミクロ環境条件の汚染度3で定格絶縁電圧250V以下のもの及びミクロ環境条件の汚染度2で定格絶縁電圧が125Vを超えるものにあっては、リブの高さ1mm未満の場合。
(b)ミクロ環境条件の汚染度3で、定格絶縁電圧が250Vを超えるものにあっては、リブの高さ2mm未満の場合。
(5)前(1)及び(2)において、充電部間にある絶縁物に他のリブをはめ込む場合、そのはめ込み部分の長さが絶縁物のみぞの深さより小さい場合には、リブのはめ込み部分に沿った最短距離で沿面距離を決定する。
(6)前(5)でリブを同一絶縁物とみられるようにはめ込んだ場合は、リブの表面に沿った最短距離で沿面距離及び空間距離を決定する。
(7)対地空間距離及び対地沿面距離は、それぞれ(1)及び(2)に準じ、最短距離で決定する。
(8)絶縁が劣化することによって、充電部となる絶縁金属体を有するものの空間距離及び沿面距離は、(3)によって決定する。
|