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1・3・5 種々なダイオード
 ダイオードには整流用のほかに検波用ダイオード, 定電圧ダイオード, 可変容量ダイオード, フォトダイオード, 発光ダイオード及びトンネルダイオード等目的に対応した種々なダイオードが製造されている。
検波用ダイオード;
 信号の検出用ダイオードで高周波で使用できるためには電子と正孔の移動速度が速い材料や構造とする。デジタル用ダイオードではパルス波の速いプラスとマイナスの変化に対応できる遷移時間が短いショットキーダイオード等が使用される。図1・30にショットキーダイオードの構造と記号を示す。半導体間PN接合の代わり金属と半導体間の接合を用いると電子と正孔の移動が速くなり高速用ダイオードとなる。アルミ電極Aとシリコンに軽く不純物を入れたn半導体間で整流が行われる。この電子は右側の不純物が多いn+からアルミ電極を通して取り出される。AからCの方向への電流が流れる。ショットキーダイオードは高速スイッチ回路等に使用される。
 
図1・30 ショットキーダイオードの構造と記号
 
定電圧ダイオード(ツェナーダイオード);
 ダイオードに逆方向電圧を加えるとある範囲で電流が変化してもダイオード両端の電圧が一定に保たれる性質を利用して安定した電圧を作り出すダイオードがある。この性質をツェナー効果又は降伏現象と呼ぶ。図1・31に示すようにシリコン材料に不純物を多く加えるほどこの降伏電圧が大きくとれる。
 
図1・31 ツェナーダイオードの電圧・電流特性
 
 
可変容量ダイオード(バリキャップ);
 ダイオードを電圧で可変できる静電容量(コンデンサ)として使用するのが可変容量ダイオードである。英語名からバリキャップ又はバラクタダイオードとも呼ばれる。PN接合ダイオードに逆方向電圧を加えると接合部分の電子と正孔が離れて並び図1・32に示すように接合部分(空乏層という)がコンデンサと同じ作用をする。印加電圧Vの大きさで空乏層の幅が変化して容量が変化できるので電圧制御の同調回路としてチューナー等に使用されている。
 容量の大きさCは
 
 
となる。Sは空乏層の面積,dは間隔で印加電圧Vの関数となる。εは誘導電率である。
 
図1・32 可変容量ダイオードと等価コンデンサ
 
フォトダイオード(トランジスタ)と光伝導セル;
 図1・33に光に感応する素子を示す。光により半導体にエネルギーが注入されると電子や正孔が移動速度を増して抵抗が低くなる。(a)は光による抵抗変化を生ずる棒光電池である。(b)と(c)はPN接合部分に光を当てて起電力とする光電池である。PN接合部にはエネルギー差があり電子や正孔(キャリヤーという)が移動できないが光を当てるとエネルギー差が低くなりPからN方向へ電流が流れるので外部へ電池として取り出せる。(c)はNPNのトランジスタ構造により電流が増幅され起電力が大きくなる。(d)と(e)は合金接合型で広い面に光を当てられるので効率が大きくなる。半導体材料によりある波長の光に最大感度を示す。







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