(c)補助配電盤母線への給電回路の保護
必要に応じ次の保護機能を持つ遮断器を通じて補助配電盤などに接続する。
(d)船外給電回路の保護
気中遮断器又は配線用遮断器で保護する。
(e)単一負荷給電回路の保護
(f)制御,計器及び表示灯回路の保護
一般にこれらの回路の保護は,事故が他の機器への給電を阻害する場合にヒューズで実施する。このヒューズは短絡保護のみであって,過負荷保護のためではない。なお,一般的には,電流定格は最小3Aとしている。 |
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(8)計器の目盛
(a)電圧計の目盛は定格電圧の約120%まで読めるものでなければならない。
電圧計の目盛
定格電圧 |
目盛の範囲 |
100〜115 |
0〜150 |
220〜230 |
0〜300 |
440〜450 |
0〜600 |
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(b)電流計の目盛は接続回路の定格電流の約130〔%〕まで読めるものでなければならない。
(c)並行運転を行う直流発電機の電流計又は交流発電機の電力計は約15%の逆電流又は逆電力を測定できるものでなければならない。
(9)取付け計器
船舶設備規程及びNK規則において各々次のように定められている。
(船舶設備規程)
運転の状態 |
計器の種類 |
数量 |
単独運転の場合 |
電流計 |
各相ごとに電流計1個又は各相共通の電流計及びその切換開閉器1個 |
電圧計 |
1個 |
周波数計 |
1個 |
電力計 |
1個 |
並行運転の場合 |
電流計 |
各発電機各相ごとに1個 又は発電機ごとに各相共通の電流計及びその切換開閉器1個 |
電圧計 |
母線用電圧計1個
各発電機共通の電圧計及びその切換開閉器1個 |
周波数計 |
各発電機共通の周波数計及びその切換開閉器1個 |
電力計 |
1個 |
同期検定装置 |
1個 |
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(注)出力30kW以下の交流発電機には,電力計を取付けなくてもよい。
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(NK規則)
運転の状態 |
計器の種類 |
数量 |
単独運転の場合 |
電流計 |
各発電機に1個(各相の電流測定用) |
電圧計 |
各発電機に1個(各相間の電圧測定用) |
周波数計 |
1個(各発電機の周波数測定用) |
電力計 |
各発電機に1個(50kVA以下は省略してもよい。) |
※電流計 |
励磁回路用として各発電機に1個 |
並行運転の場合 |
電流計 |
各発電機に1個(各相の電流測定用) |
電圧計 |
2個(発電機の各相間及び母線の電圧測定用) |
周波数計 |
2個(各発電機及び母線の周波数測定用) |
電力計 |
各発電機に1個 |
同期検定器及び
同期検定灯 |
各1組 ただし,自動同期検定装置を設ける場合は,いずれか一方を省略してよい。 |
※電流計 |
励磁回路用として各発電機に1個 |
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(注)
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1 上表中※印のものは,必要な場合に限り装備すること。
2 電圧計のいずれか1個は船外よりの受電電圧が測定できるものとする。
3 発電機の自動制御などのため制御盤を備える場合には,上表の計器を制御盤に取付けても差支えない。ただし,制御盤が機関室外に設けられる場合には,発電機を機側で単独又は並行運転を行うために必要な最低限の計器は,配電盤に備えること。
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(10)主配電盤関係主要機器
主配電盤に装備されている主な計器類及び遮断器には次のようなものがある。
(a)計器
(i)直流電流計,電圧計
可動コイル形がもっとも広く用いられる。
(ii)交流電流計,電圧計
可動鉄片形が実用的で広く用いられる。
(iii)電力計,無効電力計
トランスデューサ形のものが広く用いられる。
(iv)力率計
トランスデューサ形のものが広く用いられる。
(v)周波数計
トランスデューサ形のものが広く用いられる。
(b)計器用変圧器
計器又は継電器用として変圧器を三相回路に2個使用する場合はV結線として負担がなるべく平均するように接続する。
(c)変流器
三相回路に2個の変流器を使用する場合には1個をR相に,1個をT相に入れる。2次側の一端(接地後S相)は接地する。
(d)絶縁監視装置
動力,電熱及び照明用の非接地式配電系統の一次側及び二次側の対地絶縁レベルを連続監視し,異常に低い絶縁値を示したとき可視表示又は可聴警報装置を作動させる。
(e)同期検定装置
並行運転を行う場合には発電機盤に同期検定器及び同期検定灯(切換スイッチ付)を取付けること。
(f)保護継電器
(i)過電流継電器
通常発電機の保護は気中遮断器の直列引外し装置によるものと誘導形又は静止形の過電流継電器を併用する場合とがある。
(ii)逆電力継電器
並行運転中の発電機の原動機が出力を失ったとき発電機が電動機化することにより原動機が損傷しないよう電力の逆流を防止するもの。
(g)自動同期投入装置
交流発電機を並行運転するには,その電圧,周波数並びに位相を完全に一致させて閉合すれば無衝撃で円滑に並行運転できる。
自動同期投入装置は,まず発電機の周波数が線路側の周波数と合致するように,原動機の速度を制御するガバナモータに,正逆転の指令を与える自動せん速装置と,次に電圧の大きさ及び位相が線路側と一致する瞬間に,両回路が接続されるように,発電機遮断器に同期投入指令を与える自動同期投入装置から構成されている。
(h)自動負荷分担装置
自動負荷分担装置は並行運転時に各発電機の定格出力に比例させて出力負荷を分担させるもので,各発電機の有効出力(KW)を検出し,船内負荷を各発電機定格に応じて分担させるように発電機エンジンガバナを制御する。
(i)制御開閉器(捻回形)
捻回形開閉器は,電気操作の遮断器,あるいはガバナ等の操作並びに計器及び諸回路の切替えに用いる開閉器で,ハンドルを回転することによって接点を開閉する回転形であり,配電盤の表面扉等に取付けられる。
(j)断路器
断路器は通常配電盤内に設け,遮断器の母線側に設置し,無負荷状態の線路を開閉する装置である。遮断器が短絡電流を遮断したとき,遮断器の電極にはまだ電圧がかかっているから遮断器を点検,手入れする場合には断路器を開放して遮断器を無電圧にしてから行わなければならない。
(k)気中遮断器(Air circuit breaker)
一般に船舶用として使用されているACBはJISC8372-91(低圧遮断器),JEC160(気中遮断器),あるいはNK規則に基づいて製作されているもので主に発電機回路及び大容量電動機回路に使用され,そのほか選択遮断を要求される給電回路に使用される。
(i)短絡故障を高速度で遮断できる。
(ii)優先遮断電流引外し装置を付することができる。
(iii)配線用遮断器の引外し特性と協調をとることができる。
(iv)遮断時のイオン化ガスの排出が少ない。
(v)キュービクル内蔵に適している。
(vi)引出形構造とすることが出来る。
構造として接触子は主接触子とアーク接触子とからなり,主接触子は銀,アーク接触子は銀タングステン合金を用いたものが多い。一般に,消弧室はモールド製ケースに特殊耐熱磁器の側板と鋼板製グリッドを収めている。
操作機構は,引外し自由機構を有し,故障回路投入のための投入力を考慮して,すべて強靱な構造となっている。また,通常手動操作のみか,電磁操作併有の形式が多い。
(l)配線用遮断器(Molded case circuit breaker)
一般にMCBと呼ばれ,JISC8370-96(配線用遮断器),NK規則に規定されていて使い易く,経済的なことからよく使用される。また,次のような特長がある。
(i)モールドケースによる完全密閉形で,操作が安全で,取付け面積が小さい。
(ii)遮断容量が大きく,遮断時間が短い。
(iii)熱動式又は電磁式により反限時引外し特性を,電磁式により瞬時引き外し特性をもたせることができる。
(iv)引き外し自由機構を有する。
(v)取付け,保守が容易である。
(vi)全極同時に引き外されるので,三相電動機回路に使用した場合に単相運転を防止できる。
構造としては,モールド部分は,ベース,カバー,ハンドルなど,いずれもフェノール樹脂製成形物を用い,接触子は銀合金製の主接触子とアーク接触子からなっている。消弧室は鋼板製グリッドからなり,アーク電流の分割と冷却消イオンの役目(デアイオン消弧装置)を果している。操作機構はトグルリング機構の速入,速切である。
(m)ヒューズ
ヒューズは金属の可熔体に過電流又は短絡電流が流れることにより自身の発生熱で熔断して,回路を遮断するもので,船用ではJISC8314-83(配線用筒形ヒューズ),JISC8319-83(配線用ねじ込みヒューズ及び栓形ヒューズ)の規格があり,これらが多く用いられる。
(11)表示灯及び信号灯
配電盤の前面に次に示す表示灯又は信号灯を取付けなければならない。
標準として取付けるもの |
必要に応じて取付けるもの |
(1)電源電圧の有無を表すもの。
(2)表面からその開閉状態が確認でき,遮断器の閉路
状態を表すもの。
(3)地絡の有無を表すもの。(スイッチ付) |
(1)スペースヒーター(回転機の防湿用電熱器)の動作を
表すもの。
(2)船外から受電していることを表すもの。
(3)遮断器の開閉状態を表すもの。 |
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備考: |
地絡表示灯及び同期表示灯の電球は透明電球とすること。
(グローブも透明のものを使用すること。)なお,地絡表示灯の電球相互間の間隔は150〔mm〕以下とすること。 |
(12)接地
配電盤及び使用器具の金属枠並びに計器用変圧器及び変流器の二次側は接地しなければならない。
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