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(iii)伝達効率
 渦電流接手に生じる損失には励磁に要する励磁電力損,ドラム中の渦電流による熱損失及び機械損があるが,このうち渦電流による熱損失はすべりに比例して生じるのですべり損失ともいう。
 
 
発電機側に伝達される出力は
 
E: 伝達される出力(kW)
P: 駆動源からの入力(kW)
S: すべり
R1: 入力側の回転速度(min-1
R2: 出力側の回転速度(min-1
 
 すべり損失はすべりが大きいほど回転ドラム中に発生する熱損失が大きくなるので,不必要に大きなすべりで常用することのないように適切な速度範囲のものを選ぶようにする。
 また,出力容量が大きくなるとすべり損失による発熱が大となり冷却法は風冷又は水冷式となる。
(iv)速度制御
 渦電流接手式の交流発電機の回転速度を一定にするための制御回路の一例を図2.25に示す。発電機軸に直結の速度発電機TGの出力電圧と周波数設定器の設定電圧との比較により求められる速度偏差信号を調節器にて増巾し,これを移相器に送り,渦電流接手の励磁電源であるサイリスタの点弧位相制御を行って,出力の回転速度を常に一定にするように動作する。
 
図2.25 渦電流接手式軸発の速度制御回路
 
(b)油圧多板クラッチ方式
 この方式は主機軸に結合した増速器と交流発電機との間に前記(a)項の渦電流接手の代りに油圧多板クラッチを介在させて連結し交流発電機を常に一定の回転速力に保持させるものである。
 動作的にも電磁力によるか油圧力によるかの相違であり大同小異といえる。速度制御もこの油圧を制御することにより一定回転速度が得られるようにしている。
(c)インバータ方式
 この方式の交流発電機については前記(2)の周波数変動形の場合と同様に主機軸の回転速度変動にしたがって交流発電機の周波数も変動するが,この交流発電機出力をいったん直流に変換しさらにインバータを通して或る一定の新らしい周波数の三相交流を発電させて船内電源として給電するものである。
 直流及び交流への変換装置にはコンバータ及びインバータ共に通常は静止形であり,サイリスタ又はパワートランジスタ等を使用している。ただし,コンバータは整流のみにしたものもある。
 さらにインバータ出力側の電圧波形歪を改善する必要から交流リアクトルを使用しかつ短絡時のサイリスタ電流の抑制も兼ねるようにしている。
 この方式は前記(a)及び(b)項に比較して変換効率は良好であるが,周波数変換,制御装置が複雑になり,設備費も高価になる傾向がある。また,機能上電波障害の問題も生じてくる。
 このシステムの概略的な一例を図2.26に示す。
 
図2.26 サイリスタインバータ方式主軸駆動発電装置
ME: 主機関
ACB: 気中遮断器
EX: 同上用励磁機
SC: 同期調相機
MSB: 主配電盤
SG: 主軸駆動交流発電機
AVRv自動電圧調整器
CONV: コンバータ
G: 増速装置
INV: インバータ
GAT: ゲート回路
DCL: 直流リアクトル
ACL: 交流リアクトル







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