(b)陽極の取付方法
(i)ボルト式
船体外板にボルトを溶接し, 図8.4のようにボルトに陽極をセットして平座金, ばね座金, ナットを用いて確実に締付けて, 電気的接触を良くする。
さび付いたボルト, 座金, ナットなどを使用したり, 締付面に異物を挟み込んだりしない。
図8.4 ボルト式の取付方法
(ii)溶接式
陽極から出ている心金脚を図8.5のように, 直接船体外板に溶接して取付けるので, 電気的接触は確実である。
図8.5 溶接式の取付方法
船体塗装作業の際に陽極表面に塗装が付かないように注意する。もし塗料が付いた場合にはシンナーで完全に落とす。
(c)陽極と防食対象の接続
プロペラとプロペラ軸は陽極と電気的に接続させるために軸に銀カーボンブラシないしは銅カーボンで接触させる。プロペラ軸に直接接触させると潤滑油やオイルミストなどが付着して半絶縁状態になるので, 軸フランジ部分又は軸に, 銀製又は銅製スリップリングを設けてカーボンブラシで接触させる。
このフランジ, スリップリング表面に付着する油膜, カーボンブラシのカーボン皮膜を時々掃除する必要がある。銅製スリップリングを図8.6, 銅カーボンブラン取付を図8.7に示す。
図8.6 スリップリングの寸法
図8.7 ブラシの取付要領
(2)外部電源法
外部電源法は, 図8.8に示すように, 船内に自動制御付電源装置を設置し, 船体外板に不溶性電極と照合電極を取付け, 不溶性電極から直流の防食電流を船体外板に流し, 外板の電位を照合電極で検知して, 常に防食状態を維持できるように自動制御装置により防食電流をコントロールする方法である。
この外部電源法は, 電源装置の容量, インバータ電源を使用した場合の高周波ノイズ対策, 電極の種別, 形状, 配置, 更に配線, 配管などの複雑な技術及び工事が要求されるので, 防食の専門家に相談すること。
図8.8 外部電源防食装置
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