4.3 ケーブル布設要領
4.3.1 布設順序
ケーブル布設の順序は, 船の大きさ, 船の種類及び工作法により異なるが, 一般的には, 下記のような順序で行う。
(1)区画別
機関室(コントロールルームの下部から)→居住区(上甲板から)→暴露甲板
(2)電路別
主電路→枝電路
(3)線種別
長尺のもの, 太いもの→短尺のもの, 細いもの。
(4)装置別
大形機器群(主配電盤, 集合始動器盤など)→小形機器
実際の作業における要領を下記に列挙する。
(1)布設場所の整備状況の確認
足場や照明の整備状況の確認, 及びガス, 溶接, 歪とり, 塗装など他職種の作業状況を確認する。
(2)ケーブル貫通部の確認
多数のケーブルが貫通し, ケーブル布設時の要所となる部分には図4.5のような, 貫通するケーブルを記入した図面を掲げておき, ケーブル布設ごとに本図でチェックする。
図4.5 貫通部ケーブル配置図(例)
(3)ケーブルの引出し
ケーブルをドラムから引出すときは, ドラム回しなどを使用して大きな張力を加えることなく, ケーブルが引出せる方法を採用する。また, ワッパにしたケーブルを解く場合は, 後でケーブルを布設したとき, ケーブルがよじれないよう, 8の字に解いて伸ばすこと。
図4.6 ケーブルの引出し
(4)ケーブル行先確認
ケーブルラベルをチェックし, 配線図, 配線表, 系統図などによりその行先を確認する。(図4.2 参照)
(5)基準点の確認
基準点マーク(赤テープ)のある長尺ケーブルは, その区間の基準点(甲板又は隔壁などの貫通部に設ける。)に合わせた後, その両端のケーブルを布設する。
図4.7 基準点マーク
(6)電路の分岐
(a)主電路の場合, 途中より分岐するケーブルはできる限り電路の上側から分岐し, 主電路のランナバーに触れないようにする。
(b)ケーブルはできる限り, 交差を避ける。やむを得ず交差する場合は, 人目に触れにくい場所で行う。
(c)ケーブル布設後は, 速やかに, その布設区域に適応した防水, 防火及び防鼠工事(ぼうそこうじ)を行う。
図4.8 電路の分岐例
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