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(2)ソデイカ漁
 ソデイカは世界の温熱帯地域に分布し、体長80cm、体重20kgにも達する大型のイカです。日本本土では1960年代からソデイカ漁を営んでいます。沖縄県では1989年久米島でトビイカ漁の際にソデイカが大量に捕れたことをきっかけに、兵庫県但馬から漁具を導入し、本格的な漁業が行われるようになりました。その後、漁具の改良を重ねながら各地に普及拡大していきました。
 港川でも1990年から急激にソデイカ漁が増えました。ソデイカは時1kg1000円以上の値がついたこともありました。しかし数年後には、海洋環境の変化と漁獲過剰によりソデイカの漁獲高が減少してしまいました。それにより資源管理に対する関心が高まり、ソデイカの生態調査が進められるようになりました。
 
ソデイカ漁に使うオッパイ針
 オッパイ針(福島製作所)はソデイカ漁の針で、「胴体部分がオッパイのように柔らかく、イカが抱きついて離さない」と漁業者から評判です。多くの魚は嗅覚を頼りに餌を獲りますが、イカは視覚を頼りに餌を獲るようで、オッパイ針はソデイカのいる深海でもキラキラと光るから食いが早いそうです。
沖縄ネットワーク社
1998『魚まち 海・魚とくらしと歴史−沖縄水産ネットワークマガジン18号』
 
(3)資源管理と漁業
 ソデイカ漁の一時的な拡大と急激な縮小を経験した漁師たちの間では、長期的に資源を維持するため、資源管理の必要性が問われはじめました。そのため、漁業管理方式を構築し、資源の合理的な利用管理を実現しようと、ソデイカの生態調査が盛んになりました。ソデイカの資源管理には、禁漁期間を設置するなど、沖縄県においても、いくつかの管理策が実施されています。
 
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石巻落し漁法を指導している港川の上原清秀さんは資源管理型漁業の大切さを訴えている。 (琉球新報 1999年11月14日)
 
(4)イユアキネー〜女たちの仕事〜
 魚を売るのは主に女性たちの仕事です。女性たちは漁師たちから魚を買い取り、それを売ってワタクサーを増やします。ワタクサーとは私財のことで、女性たちは夫とは別に財を作ってきました。
 パヤオを設置する前までは港川のセリでは主に、港川の女性が魚を買い取っていました。女性たちは行商をしたり、自分の店(さしみ店)で売ったり、那覇の公設市場に卸したりしていました。パヤオ設置後は水揚高が増えたため、仲買業者が買い付けに来るようになり、スーパーマーケットなどの店舗に卸すようになりました。しかし今でも港川の女性たちによる商いは続けられています。
 
(写真提供:坂井和夫氏)







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