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ISO/TC 67(石油及び天然ガス工業用材料及び装置専門員会)
/SC 7(海洋構造物分科委員会)
コペンハーゲン会議出席報告
(財)日本船舶標準協会
まえがき
 ISO/C67/SC7(国際標準化機構/石油及び天然ガス工業用材料及び装置専門委員会/海洋構造物分科委員会)は石油及び天然ガスの掘削・生産及び貯蔵用に使用する海洋構造物に関する要求事項、設計条件並びに移動式掘削リグの特定場所の評価に関する事項の国際標準化作業を担当している。
 今般、2003年6月3日(火)及び4日(水)にデンマークのコペンハーゲン市で開催された。そこで、次の事項を目的として、本会海洋構造物部会委員である加藤俊司氏(海上技術安全研究所)及び難波康広氏(海上技術安全研究所)に御出席いただいたので、ここにその概要を報告する。
(1)日本が提案しているISO19904の進捗状況の調査
(2)2004年2月のSC 7日本会議の開催に関する対応
(3)WG5及びWG8(氷海域構造物)報告に対する決議調査
(4)その他案件の確認
 なお、日本の参加は、今回のコペンハーゲン会議が3回目であるが、今回の会議ではアジアからの参加は日本のみであった。
 
1. 日時 平成15年6月3日(火)〜4日(水)
2. 場所 DS(デンマーク標準協会)会議室、デンマーク/コペンハーゲン
Danish Standards Association, Kollegievej 62920,
Charlottenlund, Copenhagen, Denmark
 
3. 出席者 Dr.Richard Snell(SC 7議長)、Mr.Greenley(SC 7事務局) 他合計35名
詳細は、添付資料2-1及び2-2参照
 
4.1 報告事項
 ISO 19904のスコープを2つ、ISO 19904「石油と天然ガスの産業―浮体構造物―」とISO 19901-7「石油と天然ガスの産業−海洋構造物用の特別要件−浮体構造物と移動式掘削ユニットの位置保持システム」に分割することが承認された。また、これらはいずれもSC 7/WG 5(浮体構造物作業委員会)のコンベナーであるMr.R.Wolfram(Exxon Mobil)の下、両者を並行して規格作成が行われることも確認した。
 作業日程は
(1)ISO 19901-7が、DIS: 2003-10、FDIS準備 2004-08、FDI:S 2004-12、IS 2005-6
(2)ISO19904が若干遅れDIS: 2004-3、FDI:S 2005-3、IS 2005-9
の予定である。(最新の 計画は添付資料4-2 参照)
 これに伴い、日本から提案している石油備蓄船基準も係留関係と浮体関係に分割され、考慮されることとなる。
 また、新規格ISO 19901-7の完成まで、ISO/TR 13637(MODU基準:ほとんどAPI基準)は維持されるが、ISO 19901-7の完成後にこれは廃止されることとなった。
 次回のSC 7会議の開催予定地に関して審議の結果、平成16年2月10日から11日に東京(近辺)での開催が決定した。
 これに関連して、SC 7議長(Dr.Snell (BP UK) )から深海技術に関する特別講演を行ってもよいという申し入れがあった。ちなみに、第21回会議はブラジルのリオデジャネイロ、第22回会議はインドネシアのデンパサールで開催の予定である。
 SC 7/WG 8(氷海構造物)に関して、前回欠席のBlanchet(BP UK)が進捗報告したが、内容的には亀崎氏のWG報告と同じであり議論もそれほど行われなかった。
 
4.2 次回 SC 7会議の日本開催に関する問題
(1)SC 7会議出張前の関係者による事前打ち合わせでは、「SC 7事務局からの“2004年2月の日本の開催要望”については、開催することは OK であるが、予算等の関係から場所は特定しない」という方針で望むことになり、この方針に従ってプレゼンを行った。日本開催が次回ということもあり、決議を取りまとめる関係で場所を特定してほしいとの要望により、加藤氏の意見として、東京周辺で開催したいと表明した。これにより決議文にはin Tokyoという記載になった。
(2)TC67/SC 7会議では初日にレセプションを開催することが恒例になっている。他のISO/TC 8(船舶及び海洋技術専門委員会)のSCではあまり見られないのだが、これはSC 7メンバーが石油メジャー関係者であることが関係していると思われる。今回は、コペンハーゲン開催と言うことで、チボリ公園内の「Divan 2」というレストランを一室借り切って行われた。
 スポンサーはMAERSKで、副社長(Mr.KUDSK)がスピーチを行った。次回会議は日本開催なので、このレセプションの検討及びスポンサーを早急に探す必要がある。
(3)今回のSC 7会議には、親委員会であるTC 67事務局からも2名参加されており、次回の東京開催を楽しみにしているとのことであった。
 後から聞いた話では、2003年6月5日にリエゾン関係であるISO/TC 8議長とISO/TC 67議長との打ち合わせがジュネーブであったようで、この席で、次回SC 7会議を東京で開催する話が出たもようである。SC 7としては、日本開催を成功させるために欧米の出席者を増やすこと及びISO 19904に日本が提案している関係で、石油備蓄船をぜひ見学したいことがTC 8を介して日本船舶標準協会に伝えられたようである。
 また、TC 8からはSC 8議長(構造:幹事国は韓国)のLEE教授(韓国)をTC 8 代表として参加させてほしいとの要望も合わせて出されている。
 次回のSC 7東京会議は、アジアでは初めての開催でもあり、日本に対して期待されていることが伺えたが、本来はインドネシアでの開催であったものを日本が横取りしたと思われない工夫も必要であり、今回出席していなかったインドネシア代表には十分説明し、次回東京開催には是非出席して頂く必要があろう。
 
4.3 その他の事項
(1)Annexの節番号
 すべてのSC 7ドキュメントに対し、informative Annexの節番号は、本文の節番号を反映させるものとするとの提案があった。例えば、本文の節6.4.2のAnnexは、節A.6.4.2であるようにする。
 これに関し、長い議論があったが不毛な議論と思える。
 
(2)疲労評価手法
 Jan Vugts教授 (オランダ デルフト工科大)、 Pat O'Connor (米 BP)と Inge Lotsberg (ノルウェー DNV)による疲労評価に関するプレゼンテーションが行われた。ISO19902(固定鋼製海洋構造物)で提案されているS-N疲労特性曲線(繰り返し数107付近で異なる勾配を持つ:IIW(1996)で提案されているようである)が保守的かそうでないかが議論された。結論的には19902の疲労評価手法に、疲労寿命に関する「フィールド経験」ファクターを含めるべきであり、通常本ファクターは1とするが、フィールドデータに基づいて疲労評価が正当化されるのであればそれよりも小さい値もしくは大きな値をregional annexとして定めてもよいという方向で収まった。
 
(3)「構造物のライフタイムの延長」に関する新提案(NWIP)
 Helge Vestre(ノルウェー NPD)によるライフタイムの延長に関するプレゼンテーションが行われた。これが重要であることは認識されたが、関連するSC 2(パイプライン輸送システム)とも連絡を取る必要があることとなった。ただし、現在行っているWG 3(固定式鉄鋼構造物)、WG 4(固定式コンクリート構造物)、WG 5(浮遊式コンクリート構造物)及びWG 7(移動式海洋掘削装置における地域別の特定調査)のISO規格作成作業に影響を及ぼさないこと。
 
(4)注意事項
 FDIS承認投票に関するコメントの取り扱い(ISO19901-5 Weight Control)に関し、ISO規則では、コメントはFDIS(否定投票する場合、技術的理由が必要)では許されない。また、どのようなミスも、投票期間前にSC 7事務局に知らせなければならない。以上徹底するようにとの TC67 事務局から要請があった。
 
(5)FPSO等に対するMARPOL 73/78 Annex I Regulationsの適用
 FPSO または FSU へのタンカーコンバージョンは"Major Conversion"として取り扱われるべきであることがIMO/BLG(ばら積液体・ガス小委員会)8とUSCG(米国コーストガード)で合意された。これをうけてBLG 8は7月開催予定のMEPC49会議で報告し、追加承認する予定である。
 
以上
 
ISO/TC67/SC 7
国際標準化機構/石油及び天然ガス工業用材料及び装置委員会/海洋構造物分科委員会
コペンハーゲン会議 資料目録
資料番号 資料名称 区分
1. TC67/SC 7N 341 Notice of meeting/Draft agenda on TC 67/SC 7 in Copenhagen PDF ファイル
2-1 − ISO/TC67/SC 7 コペンハーゲン会議出席者名簿 EXCEL
2-2 − 同上出席者名刺一覧 PDF ファイル
3. − コペンハーゲン会議関連レセプション案内 PDF ファイル
4-1. TC67/SC 7 N 315 Exception ISO/TC67/SC 7 Programme of work - Updated atthe 17th meeting in Milan PDF ファイル
4-2 TC67/SC 7 N 315 Rev. 2 ISO/TC67/SC 7 Programme of Work PDF ファイル
5. TC67/SC 7 N 320 Re : ISO/TC67/SC7 N 316 PDF ファイル
6. TC67/SC 7 N 321 ISO/CD 19901-3 : Petroleum and natural gas industries ― Specific requirements for offshore structures ― Part 3 : Topside structures PDF ファイル
7. TC67/SC 7 N 322 Application Exemplar regional annex PDF ファイル
8. TC67/SC 7 N 324 Report of the twelfth meeting of ISO/TC67/SC 7/WG 5,Houston ― 9 & 10 May 2002 and London ― 30 May 2002 PDF ファイル
9. TC67/SC 7 N 330 Liaison ISO/CD 19903 : Petroleum and natural gas industries ― Offshore structures fixed concrete structures PDF ファイル
10. TC67/SC 7 N 336 Secretariat report of the eighteenth meeting of ISO/TC67/SC 7 held in Perth, 29th and 30th October 2002 PDF ファイル
11. TC67/SC 7 N 339 Draft correspondence resolution ISO/TC67/SC 7 No. 184 ― Splitting of ISO 19904 PDF ファイル
12. TC67/SC 7 N 340 Position paper on extended life of existing installations ― Load bearings structures and pipelines PDF ファイル
13. TC67/SC 7 N 342 Status report from WG 9 Marine operations PDF ファイル
14. TC67/SC 7 N 344 Resolutions from 19th meeting of ISO/TC67/SC 7 held on :3rd &4th June 2003 ― Copenhagen, Denmark PDF ファイル
参考 ISO/TC67/SC 7/WG 5 進捗状況報告(詳細版) WORDファイル
備考:資料名称にポインターを当ててクリックして下さい。当該資料が開きます。







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