7.3 Key concepts of ship arrangements
7.3.1 Arrangement (Internal Subdivision)
船舶設計ライフサイクルの初期段階に於いて船体形状は多数の追加面を取り入れることによって内部分割される。これらの面は隔壁及び甲板などの型形状の要素に関連するものである。設計作業が進行するにつれて板パネル及び防撓材などの構造物がこれらの面上に定義される。船舶の領域はタンクのように船内にあるものでも、暴霧甲板の場合は、ヘリコプター着陸プラットフォームのように囲われたものでもスペースと指定される。このAPは二種類のスペースを区画及び区域として定義している。区画は物理的な境界スペースであり、区域は論理的境界によって取り囲まれた領域である。
船舶を空間的に仕切ることによって区画に分割するタイプが最も一般的と考えられる。区画は建物に於ける部屋の概念に非常に似ており、構造甲板や隔壁に代表される面及びジョイナ隔壁を形成する非構造(非耐荷)面によって境界を定められる。区画は船舶の運航に関連する機能によって分類される。このAPは貨物/積付け(液体貨物、乾貨物)、空所、居住及び機械/装置タイプのスペースをサポートする。様々な区画属性の集合体が指定された区画用途に基づいて定義される。区画は船舶のライフサイクルに亙ってエンジニアリング・パーツの構成管理に於ける非常に重要な機能を果たすと考えられる。
船舶を区画に分割する同一面が船舶を区域に分割する為に使用される場合もある。区域の境界を定義する為に船形の幾何要素及び幾何面、或はどちらか一方を追加しなければならない場合もある。艦艇の場合は、圧力(集合的保護システム)、準安全、損傷制御及び配置区域などの多重区域の区画が定義され、各々が船体を独立したスペースのセットに分割する。二つの区域が同一の境界を共有することもあるが、各区域は独立的に表現される。
船舶の多様なスペースを識別するだけではなく、スペース間の連結性を表現することが重要と考えられる。このAPがサポートするスペース間の関連性は、特に隣接的、機能的、位置的及び包囲的、関係である。隣接的関係は前述の連結/結合モデルに基づいた連結性ネットワークによって制定される。隣接するスペース間の入退室のしやすさ、出入り時間及び共有面の面積などの特性は船舶の領域間の通過時間を決定する解析やHVAC負荷の計算をサポートできるように与えられる。機能的関係は横揺れ防止装置として使用される一組みの左舷及び右舷のバラスト・タンクのようにあるスペースの設計パラメータが、別のスペースの機能的特質に依存している事実を記録する為に使用される。位置的関係は同一の横幅寸法を維持すべき二つの空間のようにあるスペースが別のスペースに似た幾何学的特質を維持しなければならない事実を示す設計目的を取り扱うことが出来る。また、包囲関係の記述により、例えば機関スペース内に外板から独立した潤滑油澄ましタンクのように、あるスペースが別のスペースによって完全に取り囲まれる事実を定義することが出来る。
また、区画の機能的特性を機能的見地から関連付ける為の規約が考えられている。機能的特性には、区画の容積量、長さ寸法及び断面積が含まれている。設計の初期段階に於いて、機能的特性に関連する制約を規定する為の専門知識が提供され、技術者を適切に補助することになる。例えば、区画の最大長さだけでなく、区画の最小長さも規定することが可能であり、同様に、計算及び実測区画容積だけではなく、推定区画容積も記録することが可能である。ある配置区域に縦及び横方向へグリッドを定義し、そのグリッドを利用して隔壁の配置合わせをすることができる。
船舶は甲板、台甲板、床、水平部材及び船底外板によって水平方向に仕切られる。このような区画は主要船体及び船楼(又は甲板室)にも適用される。甲板格子板、仮甲板又は同様の床は区画の境界とは見なされない。水平区画の境界間に於いて、船舶は水密又は非水密隔壁によって垂直に仕切られる。空所、コファダム又はタンクとして指定されたスペースを除き、水密境界のみが区画として考慮される。
水平及び垂直の境界によって囲まれる各容積(ピーコート・ロッカー、リネン・ロッカー、掃除道具庫などの小さなユーティリティー領域及びその他の同様の領域を除く)は区画と見なされる。この定義付けに依れば区画には出入口閉鎖装置があったり、なかったりする。区画には区画名及び区画番号が割り当てられる。機関スペース及び深水タンクなど、一つ以上の水平区画境界を通り抜けて垂直に広がる区画は最下水平境界上に位置すると見なされる。
代表的な艦艇の区画名、区画番号及び適用設計区域などの一般的な区画属性のリストを以下に示す。
区画番号 |
区画 |
設計区域 |
1-46-0-M |
5"/54 CALIBER LOADER DRUM&FAN ROOM |
1350 |
3-52-1-M |
5"/54 CALIBER POWDER MAGAZINE NO.1 |
1330 |
3-42-01-M |
5"/54 CALIBER POWDER PROJECTILE MAGAZINE |
1330 |
1-364-1-T |
ACCESS TRUNK |
2450 |
1-140-2-Q |
ADMINISTRATION OFFICE |
4210 |
1-196-1-T |
ACCESS TRUNK |
2450 |
2-310-1-L |
AFT BATTLE DRESSING STATION |
3440 |
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一般的な内部区画タイプの一つは”設計”区域("design" zone)である。区画は完成船又は就航船の機能的要素を考慮したものであるが、設計区域は設計者或いは設計コンサルタントによって船舶の建造に関連付けられるものである。設計及び建造を容易にする為に設計区域によって船舶をブロックに分割して利用することが出来る。
区画と同様に設計区域は甲板、隔壁、外板などに代表される面によって境界を定められているが、その他の面によって定められていることも出来る。設計区域は船舶設計プロセスの適用範囲内の構成管理に使用されるのが一般的と考えられる。これらの理由により区域を定義し、さらに船体の製品構造化を可能にする為に区画モデルが開発された。全ての構造パーツ、構造組立てパーツ及びエンジニアリング・パーツは船舶の特定区域に関連付けられる。
艦艇設計では消火能力をとくに適切に備えるべきと考えられる。損傷制御コンソールにより遠隔操作で消火作業をすることが出来る。船舶設計段階において船舶は幾つかの防火区域に分割される。防火区域の境界は炎と煙が船舶の一領域から次の領域へ移動するのを妨げるように設計された物理的な境界であり、全て水密又はガス密隔壁である。船体の防火区域境界は鋼鉄で、船楼の隔壁がアルミニュームの場合は、不燃性の断熱材で覆われる。損傷制御甲板上の各防火区域境界は、スプリング留め、ジョイナ・タイプ防火ドア、電磁式ドア・キャッチ付であり、隣接急速作動水密ドアも備えられている。各防火区域には、炎、煙及び熱センサが備えられており、損傷制御コンソールの危険探知パネル上の中央ディスプレイ上で表示され、乗組員が、船内火災を安全かつ効果的に監視及び制御できるようになっている。
艦艇に共通するもう一つの区域タイプは圧力区域であり、外の大気圧よりもわずかに高い圧力を維持するように設計された船舶の領域を定義する為に使用される。圧力区域は一般的には集合保護システム(CPS-Collective Protection System)として参照されるものであり、細菌戦及び核戦争用に必要である。圧力区域にポンプで入れられる空気はフィルターで特別に濾され、有害汚染物質が取り除かれる。前述の防火区域の場合と同様に緊急時に区画を密閉する為、圧力区域の境界は特殊な自動閉鎖装置を備えている。
最後に検討された区域タイプは配置区域であり、船舶設計の初期段階に於いて区画配置を制御及び管理するために使用される。与えられた範囲(配置区域)内に配置される区画の集合体が、個別又は作業グループに割り当てられる。設計者は配置区域の境界内において、乗組員の人数、貨物量などのスペース要件を満たす区画の境界を定義することができる。縦及び横グリッドを設定することによって隔壁の配置を制約し、標準化が可能である。
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