5.2.5 compartment_properties UoF [NK]
compartment_properties UoFは、設計時、建造時、運航時のcompartmentの特性を与える。
5.2.5.1 アプリケーションオブジェクト
compartment_properties UoFに現れるアプリケーションオブジェクトを下記に示す。
・Capacity_properties (4.2.11)
・Cargo_compartment_property (4.2.15)
・Coating_level (4.2.36)
・Compartment_abbreviated_name (4.2.38)
・Compartment_acceleration (4.2.39)
・Compartment_access_authorization (4.2.39)
・Compartment_air_circulation_rate (4.2.40)
・Compartment_area_property (4.2.41)
・Compartment_coating (4.2.44)
・Compartment_horizontal_cross_sectional_area_property (4.2.49)
・Compartment_illumination (4.2.50)
・Compartment_insulation (4.2.51)
・Compartment_naval_administrative_property (4.2.52)
・Compartment_noise_category (4.2.53)
・Compartment_nuclear_classification (4.2.54)
・Compartment_occupancy (4.2.55)
・Compartment_property (4.2.56)
・Compartment_safety_class (4.2.57)
・Compartment_security_classification (4.2.58)
・Compartment_stiffened_surface_area_property (4.2.59)
・Compartment_tightness (4.2.60)
・Compartment_unstiffened_surface_area_property(4.2.61)
・Compartment_vertical_longitudinal_cross_sectional_area_property (4.2.62)
・Compartment_vertical_transverse_cross_sectional_area_property (4.2.63)
・Compartment_volume_permeability_property (4.2.64)
・Compartment_volume_property (4.2.65)
・Compartment_ziplist_number (4.2.66)
・Corrosion_protection (4.2.69)
・General_compartment_property (4.2.104)
・Moments_of_inertia (4.2.126)
・Tank_compartment_property (4.2.161)
・Tank_geometric_parameters (4.2.162)
・Tank_piping_design_properties (4.2.163)
5.2.5.2 compartment_properties UoFの解説
(1)Capacity_properties (4.2.11)
Capacity_propertiesは、液面、縦傾斜角、横傾斜角の組み合わせから計算されるCompartmentのタンクもしくは貨物タイプの容積測定方法を示す。液面は、CargoとNon-Cargo間の境界面である仮想平面を表し、Compartmentに対して設定される容積レベルの原点に拠っている。平面の傾きは、Levelの大きさを持つベクトルと船体の横傾斜及び縦傾斜を考慮した方向とが一致するように調整されている。Compartmentは、それぞれが異なるcapacity_contextの値を持つcapacity valueの様々な組み合わせからなる。以下の属性を持つ。
- capacity_centre
- capacity_context
- capacity_heel_angle
- capacity_level
- capacity_level_origin
- capacity_trim_angle
- capacity_volume
- user_defined_capacity_context
capacity_centreは、Compartmentの境界およびCargoとNon-Cargo間の境界面を表す仮想の水平面とにより示されるタンク内部の容積中心の点を特定する。
capacity_contextは、重要となる容量の状態を示す値を特定する。次の何れかである。
・full_95_percent: 95%満載状態のタンクまたは貨物のCompartmentを定義する。
・full_98_percent: 98%満載状態のタンクまたは貨物のCompartmentを定義する。
・pressed_full: 更に積み込むスペースが無く、また貨物がタンクトップと通風口にまで達している様な満載状態のタンクまたは貨物のCompartmentを定義する。
・slack: 95%、98%、またはpressed_full以外の状態の値を定義する。
・user_defined: user_defined_capacity_context属性により示される液面で満たされるタンクを定義する。
capacity_heel_angleは、長手方向の船体座標周りの回転角を示し、Compartment内のcargoとNon-Cargo間の境界面を表す平面を算出するために用いられる。
capacity_levelは、capacity_level_originとして定義されるCompartmentの底部と、cargoとNon-Cargo間の境界面を表す仮想の水平面の頂点との間の距離を示す。これは、横傾斜と縦傾斜とを考慮に入れた垂線方向のベクトルに沿って測定される。
capacity_level_originは、Compartmentの容量を表わすこととなる水位の測定に使用される垂線の起点を示す。これは、Compartmentの底部、測深管の底部、もしくは他の適当な場所が選択されるであろう。
capacity_trim_angleは、横方向の船体座標周りの回転角を示し、Compartment内のCargoとNon-Cargo間の境界面を表す平面を算出するために用いられる。
capacity_volumeは、Compartmentのスペース及びCargoとNon-Cargo間の境界面を表す仮想の水平面とにより囲まれる容積を示す。
user_defined_capacity_contextはオプション記述で、user_defined_valueの容量に関するコンテキストである。
(2)Cargo_compartment_property (4.2.15)
Cargo_compartment_propertyは、Compartment_property (4.2.56) のタイプであり、貨物区域の設計時に必要となるCargoの容積と比重のプロパティを定義する。以下の属性を持つ。
- bulk_cargo_capacity
- design_stowage_density
bulk_cargo_capacityはオプション記述で、貨物区域の容積特性を示す。
design_stowage_densityは、貨物区域の設計時に必要となるBulk_cargoの単位体積あたりの量を定義する。
(3)Coating_level (4.2.36)
Coating_levelは、Compartment内の塗装範囲を示し、以下の属性を持つ。
- lower_extent
- upper_extent
lower_extentは、塗装範囲下端の高さをタンク高さのパーセンテージで示す。
upper_extentは、塗装範囲上端の高さをタンク高さのパーセンテージで示す。
(4)Compartment_abbreviated_name (4.2.38)
Compartment_abbreviated_nameは、General_compartment_property (4.2.104) のタイプであり、船舶のCompartmentを特定するのに使われる短くコンパクトで効率的な参照名を示し、次の属性を持つ。
- name
短く、コンパクトで、効率的な名称は、船舶において特定されるCompartmentへの参照を示す。短縮名は意味を持つ場合もあり、また持たない場合もある。
例:短縮名「6-55-1-F」は、フレーム55番から始まる6番デッキ上の右舷側フレッシュウォータータンクを意味する。
注)艦艇では積み荷の種類や、縦、横、上下位置などを示す短縮暗号名が一般的に使用されている。
(5)Compartment_acceleration (4.2.39)
Compartment_accelerationは、General_compartment_property (4.2.104) のタイプであり、航行中の船舶におけるCompartmentの重力加速度を示し、次の属性を持つ。
- acceleration_g_force.
acceleration_g_forceは重力加速度との比で表され、Compartmentの許容加速度値を示す。この力は一つの値で示され、3方向(垂直、前後、左右)の加速度を管理する。
例:「1.5」という値は、重力加速度(9.81m/sec2)の1.5倍すなわち14.72m/sec2を示す。
(6)Compartment_access_authorization (4.2.40)
Compartment_access_authorizationは、General_compartment_property (4.2.104) のタイプであり、船員の階級によるCompartmentへの立ち入り制限を示す。次の属性を持つ。
- authorization_classification;
- user_defined_value.
authorization_classificationは、Compartmentを使用できる乗組員を特定し、次の値の内の一つとなる。
・crew_only: 乗組員のみ使用可
・officers_only: オフィサーのみ使用可
・restricted: 立入禁止区域
・unrestricted: 立ち入りは特に制限されない
・user_defined: user_defined_value属性によって定められる
user_defined_valueはオプション記述で、authorization_classificationがuser_definedの場合、立ち入ることのできるグループ分類を定義する。
(7)Compartment_air_circulation_rate (4.2.41)
Compartment_air_circulation_rateは、General_compartment_property (4.2.104) のタイプであり、Compartment単位時間あたりの空気交換量を定義する。次の属性を持つ。
- air_circulation_rate.
air_circulation_rateは、単位時間あたりの空気交換量を示す。
注)この値は、HVACの負荷解析に使用される。
(8)Compartment_area_property (4.2.42)
Compartment_area_propertyは、General_compartment_property (4.2.104) のタイプであり、Compartmentの面積情報の異なるタイプを定義する。各Compartment_area_propertyは、次の内の何れかを持つ。
・Compartment_vertical_longitudinal_cross_sectional_area_property (4.2.62)
・Compartment_vertical_transverse_cross_sectional_area_property (4.2.63)
・Compartment_horizontal_cross_sectional_area_property(4.2.49)
・Compartment_stiffened_surface_area_property (4.2.59)
・Compartment_unstiffened_surface_area_property (4.2.61)
(9) Compartment_coating(4.2.44)
Compartment_coatingは、General_compartment_property (4.2.104) のタイプであり、Compartmentに必要となるpaintingまたはCoatingについて示されている。次の属性を持つ。
- corrosion_protection
corrosion_protectionは、区画内部及び境界を腐食から保護する特性集合への参照を示す。
(10)Compartment_horizontal_cross_sectional_area_property (4.2.49)
Compartment_horizontal_cross_sectional_area_propertyは、Compartment_area_property (4.2.42) のタイプであり、Compartmentの2次元の横断面積を示している。次の属性を持つ。
注)一般に、この面積は、初期設計段階において大きな備品等の配置に必要となるスペースを確保するのに用いられる。
- horizontal_cross_sectional_area
horizontal_cross_sectional_areaは、ベースラインに平行な面で測定される面積である。
(11)Compartment_illumination (4.2.50)
Compartment_illuminationは、General_compartment_property (4.2.104) のタイプであり、Compartmentに必要となる照明を定義する。次の属性を持つ。
- illumination_value
illumination_valueは、Compartmentに必要となる照明の量を示す。
注)この値は、照明の性能分析での適用に用いられる。
(12)Compartment_insulation (4.2.51)
Compartment_insulationは、General_compartment_property (4.2.104) のタイプであり、Compartmentに必要となる断熱材を示す。次の属性を持つ。
- insulation_category
- user_defined_value
insulation_categoryは、区画の境界上に用いられる断熱材のタイプを示すための記号である。これらの断熱材は、次のような目的で用いられる。
・熱せられている場所、換気されている場所、そして空気調節装置を施した場所への熱移動の比率を減少させるため。
・付着する水滴を減少させるため。
・近接した場所において火災が発生した場合に、過度の温度上昇を防ぐため。
境界の断熱材は、付着する水滴を防ぐために防水加工を施して結合部に設置する。
insulation_categoryの値は、次の内の何れかである。
・A: Fibrous-glass faced thermal insulation board
・B: Fibrous-glass unfaced thermal felt
・C: Fibrous-glass faced thermal and sound absorbing felt
・D: Sheathing, consisting of perforated aluminum
・E: Fibrous-glass tape
・F: Latex adhesive
・G: Epoxy adhesive
・H: Aluminum alloy stud
・I: Carbon steel stud
・J: Aluminum alloy or steel spacer
・K: Adhesive-attached studs
・L: Elastomeric foam
・M: Adhesive for securing polyimide foam thermal insulation panels
・N: Polyimide foam faced thermal insulation panel
・O: Closed cell foam
・P: Polyimide foam
・Q: Fibrous-glass
・R: Acrylic tape
・user_defined: user_specified_valueで定義されるもの
user_defined_valueはオプション記述で、insulation_categoryのuser_defined分類の定義である。
(13)Compartment_naval_administrative_property (4.2.52)
Compartment_naval_administrative_propertyは、Compartment_property (4.2.56) のタイプであり、艦艇の設計のみに適用できる固有特性及びCompartmentの設計上のパラメーターを示す。各Compartment_naval_administrative_propertyは、次の何れかとなる。
・Compartment_ziplist_number (4.2.66)
・Compartment_nuclear_classification (4.2.54)
・Compartment_safety_class (4.2.57)
・Compartment_security_classification (4.2.58)
(14)Compartment_noise_category (4.2.53)
Compartment_noise_categoryは、General_compartment_property (4.2.104) のタイプであり、Compartment内での騒音に対しての設計要件を定義する。次の属性を持つ。
- noise_category
- user_defined_value
noise_categoryは、区画内での騒音に対して特別な考慮がなされるべきかを分類分けしており、各分類はアルファベットにより示される。noise_categoryの値は次の何れかとなる。
・A: 低い声で話の通じるくらいの騒音に押さえて設計すべき区画
・B: くつろげるように設計すべき区画
・C: 静寂の状態にあるように設計すべき区画
・D: 耳が聞こえる程度で設計すべき区画
・E: 大声で話の通じるくらいの騒音になるよう設計すべき区画
・F: 上方に向かって話が通じるように設計すべき区画
・user_defined: user_defined_valueに従う
user_defined_valueはオプション記述で、noise_categoryでのuser_defined分類の定義である。
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