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4. SHIP APs海外活動状況の概要
 
 Ship STEP規格の開発に当たっては、米欧日韓の4者間(NIDDESC、EMSA、JMSA、KS-STEP)でMoUを締結し、協力して開発に当たっているが、各国の取り組み方には大きな違いがある。
 米国では、NIDDESCの主導の下に艦艇分野を主体としたOwner/Design Agent/Prime Yard/Engineering Sub-con/Production Sub-con/Supplier間の分業/協業という明確なビジネスシナリオに基づきNational Projectとして計画的に取り組んできている。ISOでのShip STEPの歩み、成果の大半はこのNIDDESC/NSRPによる所大である。NSRP Standardsを元にShip STEPの規格原案を作成し、MariSTEP Projectでその試行検証を行い、HarvestとESTEP Projectsで規格化とPrototypingを行い、これらをISE (Integrated Shipbuilding Environment) Architectureとして実用化するのが狙いである。現在では更にこのISEと連携したISPE (Integrated Steel Processing Environment) Projectが進められており、Manufacturingでの分業/協業への展開が検討されている。
 欧州では、EMSAのもと、DNV、LR、GLR等船級協会とMoDが中心となってProduct Life Cycle Supportにターゲットを置いて、米国との密接な連携のもとにShip STEPの規格開発と実装検証などに積極的に取り組んでいる。
 韓国では、大学・研究機関を中心に、商船建造を対象としたAP218(船殻構造情報)に限定した情報収集と一部の実装テストを行っている状況であったが、Ship STEPの造船所に対する啓蒙と実用フェーズへの移行を目的として、本年より3年計画でShip AP全般にわたる実装テストをスタートさせている。
 以上の欧州、米国、韓国でのShip STEPの活動状況について以下に紹介する。
 
 EMSAのホームページ(http://eurostep.demon.co.uk/new2/index.html)および国際会議での入手資料から2003年4月以降の主な活動等について調査した内容を以下に紹介する。このWebサイトには活動に関する多くの情報が開示されている。
 
4.1.1 EMSAの概要
 ヨーロッパの船級協会(LR、DNV、BV、GL)、造船所(Fincantieri、Odense、SENER等)、CADおよびCAD/CAMベンダー(NAPA、INTERGRAPH等)が参加(2004年1月時点では16メンバー)し、プロダクトモデル標準のISO/STEP活動を推進することによってこれら組織間の情報交換実験等を行なうことで造船関連ビジネスでのスタンダードを確立することを目的としている。議長はUK MoDのTony Fly氏が務める(2002/09の役員会投票にて再選され、2004/Eまで2年間の任期延長)。
 国際規格の制定推進としてはSHIP APの内、AP216の開発責任者(オーナー)を務める。EMSAメンバー間にてAP216/AP218/AP227のSTEPデータでのデータ交換試行を実施しており、STEPの活動の重要な一極を占めている。最近では試行レベルから商用ベースへの展開に力を注いでいる。
 EMSAの構成メンバーは下表に示すように2004年1月時点で、フルメンバー10、オブザーバー5、アカデミックメンバー1となっている。
 
EMSA Member List
Full Members;
・American Bureau of Shipping
・Lloyd's Register of Shipping
・British Maritime Technology Ltd.
・Bureau Veritas
・Det Norske Veritas A.S.
・Fincantieri
・Germanischer Lloyd
・Warship Support Agency (MoD)
・NAPA OY
・SENER Ingenieriay Sistemas, S.A.
Observers;
・Intergraph Corporation
・Marintek
・Odense Steel Shipyard Ltd.
・RINA - Registro Italiano Navale
・Vosper Thornycroft Ltd.

Academic Members:
・St Petersburg University
 
 EMSAの戦略と定款については下記URLを参照。
・Article of Association (2000-04-05) http://eurostep.demon.co.uk/new2/articles/articles.html
 
4.1.2 2003年度(平成15年度)の主な活動と参考情報
 EMSAのホームページ、国際会議(サンディエゴ、シュットットガルト、ポアティエ)での入手資料などからの情報をベースにして、以下のように報告する。
(1)ISO TC184/SC4 (STEP) 国際会議およびワークショップ活動
・9th March - 14th March 2003, San Diego, USA
・22th - 27th June 2003, Stuttgart, Germany
・26th - 31th October 2003 -, Poitiers, France
 Poitiers会議ではRenard (BV) より次の報告がなされた。
・SHIPCAP Project
−BVの3Dプロダクトモデルをベースとした船殻板厚計測(モニタリング)プロジェクト。
−船殻構造を単純化したshell boxで表現(Deck、Bottom、Bhd等)。
−板厚(元値、計測値)クラック、塗装状態、コメント等を記録可能。
−断面係数計算、FEM計算機能等も持たせる。
・The future of maritime electronic exchanges - a view of EMSA (white paper)
−機器コンポーネントWebサイトが広まるだろう(e.g. tribon.com)。
−Direct FEM file transfer.
−Multi-companies integrated.
−ベンダーは造船所の満足度を高める助けとなる存在であるべき。
(2)コンファレンスおよび展示会活動
2003年4月以降は特記すべき活動は無し。
(3)参考情報
・EMSAの変革
 STEPやPLIB等への規格対応だけではなく、e-business対応の要求にも沿うことを明確にするため、組織名も下記の如く変更された(Myrtle Beach国際会議にて正式公開)。
emsa: marine e-business standard association
・XMLの海事分野への適用
 発行済のEMSA ProtocolであるEP001 (Hull Structures) 、EP002 (Hull Form) に準拠したXMSスキーマが発行されている(http://www.xml.orgより入手可能)。
・ビジネスケースのドキュメントへのアクセス
 下記URLより無償で入手可能であるが、EMSAメンバー以外は個人情報の登録が必要。
・2004年6月のBath国際会議(UK)はEMSA10周年記念事業としてEMSAにより主催される。
 
4.2.1 概要
 NIDDESCは船舶製品モデルの情報交換を目的とした政府と産業界のコンソーシアムとしてU.S. Navyを資金源に設立された。1980年代PDES(U.S. Product Data Exchange Specification)の活動を通してその目的を遂行してきたが、その後PDESがISO STEPに向けた組織に組込まれた為、データ交換の為の国際規格(特にISO 10303)制定が活動の対象となった。
 
4.2.2 目的
 NIDDESCの目的は、船舶製品モデルの情報交換に関して米国仕様内容に沿った機能範囲を予め把握するため、データ交換規格の開発とテストサイトへの参加を目的としている。
 
4.2.3 実績
 NIDDESCはその活動を通して業界の専門家が米国における船舶製品モデルのコンセンサスを確立すべく協力した結果、船舶製品モデルについて世界最先端レベルの地位を確立するに至った。例えば1996年から1999年には米国の造船所間のデータ交換を扱うDARPA/MARITECHの助成によるMariSTEPプロジェクトに取り組み、その後このMariSTEPと欧州STEP開発プロジェクトであるSEASPRITEとの連携によりMariSPRITEスキーマも完成させた。これらの成果は国際規格を開発する上で情報モデルや応用規約(Application Protocol)の核となっている。そのドキュメントは、Structure、Piping、HVAC、Electrical Cableway、Outfit and Furnishings、Configuration managementにまたがる内容でありNSRP(National Shipbuilding Research Project)によってISOフォーマットの文書にコンバージョンされ、STEP, ISO 10303の船用APに対する米国提案のベースとなっている。近年においてはHARVESTプロジェクトによるAP215、AP216、AP218のIS化への貢献や船のライフサイクル全般に関わるシステム運用のコスト削減を目指したより実務的なITプロジェクトであるISEなどが主な実績としてあげられる。
 
4.2.4 現在の主な活動
 現在の主な活動内容は以下の通りである。HARVEST※1及びIntegrated Shipbuilding Environment (ISE) は終了し、ISEはその後継プロジェクトが開始されている。
 なお、ISEプロジェクトの全体概要については4.4を参照されたい。
 
(1)Integrated Shipbuilding Environment 2 (ISE2)
 ISEを踏襲したプロジェクトであり活動期間は2004年7月までである。システム運用全般に関わるコスト削減などのため業界レベルでのISEの普及に取り組む。2003年4月にTWR841をテストデータにCATIA、Tribon、FORANなどのCADトランスレータを用いた相互データ交換のデモが実施された。プロジェクトの参加メンバーはElectric Boat、Intergraph、NIIIP、IBM、ERIM、NG-Newport News、NG-Ship Systems、STEP Tools, Inc.、 SIMSMART、Bath Iron Works、NASSCO、ABS、MMA、NSWC-CD、SENER、Atrantec-es、Anteon、University of Connecticut、University of Michigan、Kvaerner Philadelphia、Industrial Planning Technologyである。
 
(2)Integrated Shipbuilding Environment 3 (ISE3)
 ISE2の活動を継続するために2003年8月に承認されたプロジェクトで活動期間は2003年9月から2004年9月である。対象はHVACとCommon Parts Catalog interfaceである。参加メンバーはElectric Boat、NG-Ship Systems、NIIIP、Intergraph、Atrantec-es、SIMSMART、STEP Tools, Inc.、IBM、NSWC-CD、SENERである。
 
(3)Common Parts Catalog (CPC)
 2003年8月に承認されたプロジェクトで、全てのプログラムで利用出来る一元的な標準パーツカタログを構築し、プロジェクトに参加する全ての造船所間での部品データ共有の実現に取り組む。活動期間は2003年9月から2004年9月である。参加メンバーはElectric Boat、NG-Ship Systems、BIW、NG-NN、NASCOである。
 
(4)Integrated Steel Processing Environment (ISPE)
 2002年3月31日から2003年4月にかけてフェーズ0としてプロジェクト要件定義が実施された。ISPEはISEの成果をベースに構築され、主な目的はAP218、AP238、AP216を用いたCAD、CAMのデータ交換であり、対象にはネスティング、フェアリング、殻一品なども含まれマニュファクチャリング面に拡張されたプロジェクトである。スタート時の参加メンバーはNG-SS、NG-NN、Electric Boat、NG-IT、Sigmatek、AeroHydro、STEP Tools, Inc. で追ってAtlantec Enterprise Solutionsも参画する予定である。
 
(参考情報)
・Navy/Industry Digital Data Exchange Standards Committee:
・NSRP:
・ISO TC 184/SC 4/WG 3/T 23 (SHIP TEAM) INFORMATION:

※1 HARVEST
 HARVESTはAP215、AP216、AP218を国際標準として完成させることを目的としたプロジェクトである。参加メンバーはSTEP Tools, Inc.(プロジェクトリーダー&AP216担当)、Electric Boat(AP218担当)、Product Data Services Corp(AP215担当)で活動期間は2001年10月から2003年3月までである。







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