【調査の概要】
背景
ウズベキスタン共和国の鉄道は、ソ連時代に国境を考慮せずに建設されたため、1991年の独立後国内を結ぶ鉄道でありながら、その一部が隣国に位置している。代表的な例は、カシュカダリヤ州とスルハンダリヤ州を結ぶ鉄道であり、トルクメニスタン領を経由しなければ接続しない。同国はトルクメニスタン国を経由することによる外貨支出(通行料の支払い)、当該2州の豊富な鉱物資源等を利用した地域開発の停滞等の問題が生じているため、早期の接続を望んでいた。本案件はグザール市のタシュグザール駅からクムクルガン市のクムクルガン駅を結ぶ単線、非電化、延長約220kmの同国において初めてとなる山岳鉄道建設である。以下に本事業の目的を示す。
−輸送距離短縮による輸送経済効率の向上
−ウズベキスタン国鉄道網の国内統一
−トルクメニスタンへの線路使用料の節約
−他国からの通過貨物等の外貨収入の増加
−スルハンダリヤ州の孤立解消
−当該2州の鉱業、農業の発展及び地域生産力の促進
−当該2州の地域開発の誘発
−将来、アフガニスタン等南部諸国への輸出入ルート確保
現況、問題点
本案件は同国において1993年より行われ、現在までにF/S調査、概略設計等がすでに行われており、1995年の政令により本事業を政府事業として実施することが決定している。
これまでの調査によりトルクメニスタンヘの通行料節約、事業地域2州での地下資源埋蔵の可能性、アフガニスタンヘの交通利便性等が認知された。しかし、関係機関との情報収集、打合せ等を行った結果、同国で行われている需要予測の手法は社会主義国であったため、西側手法と異なり西側諸国へ援助の申請する際、問題が多いため、西側の手法による新たな需要予測が必要であることが判明した。
1)本事業は延長220kmをA工区56.8km(タシュグザール〜デカナバッド)、B工区104.1km(デカナバッド〜バイスン)、C工区59.1km(バイスン〜クムクルガン)の3工区に分けて計画している。
2)比較的平坦で工事数量の少ないA,C工区は政府自己資金で一部着工している。
3)A,C工区の工事進捗状況はA工区の路盤工事80%、橋梁工事70%、C工区の路盤工事5%が完了している。
4)険しい山岳地域である中間部分のB工区に日本のODAを希望している。
5)国家機密を理由に、データ収集が制限されている。
図 ウズベキスタンの鉄道網
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A工区(Tashguzar-Dehkanabad)の24k657mに位置するボックスカルバート建設現場 |
A工区(Tashguzar-Dehkanabad)の9k100m-200m区間の切土工事現場 |
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