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2. マレイシア東方政策技術研修第23陣(観光分野)の実施
 「東方政策」はマハティール首相が1981年首相就任後に、日本(及び韓国)の成功と発展の秘訣は国民の労働倫理、勤労意欲、経営能力、国民性としての道徳、教育・学習意欲にあるとしてこれらを若いマレイシア人に学ばせることが自国の経済社会の発展と産業基盤の確立に必要と考え、日本側の協力を得て実施されたものです。
 (財)国際観光開発研究センターは第8陣(1988年)より観光分野の研修員の受入を開始し第18陣(1998年)まで毎年行い、この間総勢174名(年平均16名弱)の研修員に対し研修を行いました。アジアでの通貨危機が発生した第19陣以降第21陣までは3年間の空白(東方政策技術研修は実施されていましたが、先端技術などの研修員に絞っていた模様)がありましたが、昨年(第22陣)より観光分野の研修も再開され、本年も昨年に引き続きホテル、旅行会社などの観光産業経験者、観光学科新卒業生計12名の研修員が来日しました。
 昨年(平成14年)3月末の(財)国際観光開発センターの廃止に伴い当該研修実務を行うこととなった当協会は昨年同様受入企業の協力を得て、約1ヶ月間の集団研修(協会実施)、約2ヶ月間個別実務研修(各受入企業実施)を行いました。研修員は集団研修においては日本の観光に関する基礎知識を吸収するとともに研修員の専門分野である実務研修においても、企業側の懇切な対応を受け、それぞれの目標を十分達成しました。
 
マレイシア東方政策技術研修
 
1 研修期間
平成14年5月28日〜同年8月26日
海外運輸協力協会集団研修:5月28日〜6月30日
受入企業別実務研修:7月1日〜8月26日
2 実務研修実施先(5企業)及び研修員数(12名)
ホテル:
横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ(5名)
JALシティホテル四谷・東京(2名)
旅行会社:
JTB(1名)
近畿日本ツーリスト(2名)
日本旅行(2名)
3 研修概要
(1)集団研修
 異なった部門で実務研修を行う研修員に対し、日本の観光全般に関する共通の基礎的事項を講義・視察を通じ理解させるとともに、併せて日本語の理解能力を高めることを目的として実施しました。また、整然とした研修実施により日本人の労働倫理の一端を理解させました。
(2)主な講義
 日本の観光行政、日本の旅行業、日本のホテル業、日本のホテル教育、政府観光局日本事務所の活動など
(3)主な視察先
 日本ホテルスクール、近畿日本ツーリスト、横浜ベイシェラトン
(4)研修旅行
 熱海、初島、浜松、釧路、阿寒、網走
(5)企業別個別実務研修
 ホテル希望7名、旅行会社希望5名をそれぞれ小グループに分け、企業にて受入を行い、研修員は各自の専門分野における知識・経験を深めるとともに、労働倫理の理解、日本語の能力の向上に努めました。
 
3. 第1回「都市公共交通コロキウムII」(JICA集団研修)の実施
 国際協力事業団(JICA)からの受託事業として、開発途上国の都市公共交通に係る政府関係機関のスタッフ等を対象とした平成15年度「都市公共交通コロキウムII」(集団研修)が5月21日から7月11日までの間実施されました。
 当研修はJICAにより、運輸省(現国土交通省)と当協会の協力のもとに、「都市交通セミナー」として始められて以来26年にわたって実施され、平成10年度からは「都市公共交通コロキウム」と改称して実施されてきましたが、今回その見直しが行われました。
 その結果、都市公共交通に対する幅広い知見の習得及び都市環境改善に対する理解の深度化を図り、軌道系システムやバス輸送等の公共交通に対する専門的知識と見解を習得し、参加国の都市公共交通の維持運営及び効果的な整備とそれによる都市交通問題の解決に資することを目的として、今年度から新たに「都市公共交通コロキウムII」としてスタートしました。
 以下の10カ国から11名の研修員が選定され、当研修に参加しました。
 バングラデッシュ、ブラジル、チリ、エジプト、ネパール、パラグアイ、ペルー、フィリピン(2名)、サウディ・アラビア、ヴェトナム
 研修内容としては、(1)研修員が応募時に提出したカントリーレポートに基づく、自国の都市交通の現状と問題点並びに将来計画についての発表会、(2)都市公共交通施策の変遷、各種交通システムの特徴、都市交通計画概要、都市交通公害の現況と対策等日本の都市公共交通に関する講義、(3)東京及び地方都市(名古屋市、京都市、広島市)における都市公共交通の整備・運営状況やその特性等の説明と視察、(4)名古屋市滞在期間中に名古屋都市圏の地域公共交通の現状と課題を把握し、その解決策を自国都市との比較検討により提案させることを目的としたグループ毎のパワーポイントによる発表会、(5)ファイナルレポート発表会、などの従来の研修プログラムに加えて、今年度から「コロキウム」の名にふさわしい討論の場を増やすことにより、研修員の理解を深めることを目的として、(6)自動車交通政策、鉄道交通政策に関する国土交通省の担当官との意見交換会、(7)研修で得た知識を活用して、自国における都市交通問題の解決策や将来計画についてのファイナルレポートを作成するための事前の学識経験者等との討論会、などの新たな研修プログラムが実施されました。研修の集大成となるファイナルレポート発表会では、学識経験者及び多数の交通計画専門家の参加により、研修員各国の都市交通問題の解決策についての有意義な討論が行われました。7月11日に評価会、閉講式及びフェアウエルパーティが行われ、全員無事帰国しました。
 
広島アストラムライン車両
 
名古屋ガイドウェイバス車両







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