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日本財団補助事業
1. 発展途上国における運輸関連プロジェクトの調査事業
 この事業は、開発途上国よりの技術・経済協力の要請に基づいて運輸関係インフラストラクチュアーの整備と促進に資するため、プロジェクト予備調査団を編成し派遣したものである。
 具体的には、開発途上国から鉄道、港湾、航空等の一定の運輸関係プロジェクトについて本格調査に至らないまでも「予備的」調査を実施して貰いたいという要請があった場合には、当該分野に於ける専門家からなる予備調査団を編成して当該国に派遣したものである。
 
 この事業は、昭和48年度から平成8年度まで実施した。
 昭和48年度は、次の5班を編成して実施した。マダガスカル国内空港の整備・拡張計画について3名を26日間、インドネシア・バリト川ドレッジング計画について2名を8日間、イラン・テヘラン新国際空港建設計画及び都市交通計画について3名を10日間、コスタリカ・プンタレナスの設備改修計画について2名を10日間及びエジプト・カイロモノレール建設計画について7名を14日間それぞれ派遣して調査を実施した。
 
 この事業は、開発途上国からの要請に応じて調査を実施したのであるが、その大部分は、毎年10班以下であったが、昭和53年度は、最も多く18班に及んだ。
 即ち、ブラジル・サンパウロ工業港及び輸送体系計画並びに都市内交通改良計画について1名を15日間、フィリピン・フェリーターミナルプロジェクトについて1名を10日間、スワジランド現空港拡張整備計画について3名を34日間、マレーシア・ケランタン州港湾計画について2名を7日間、フィリピン・バターン輸出加工区埠頭計画について3名を10日間、香港・Check Lap Kok新空港建設計画について2名を5日間、タイ・バンコク国際空港改良計画について6名を15日間、ビルマ・河川輸送バージ類増強計画について2名を9日間、インドネシア・7空港改良計画について3名を23日間、フィリピン・航行援助施設及び空港施設近代化計画について2名を7日間、ボリビア・サンタクルスビルビル国際空港建設計画について2名を15日間、タイ・ローカル空港整備計画について8名を18日間、パラグアイ及びブラジル国内空港整備計画について1名を17日間、ボリビア・サンタクルスビルビル空港建設計画IIについて1名を20日間、タンザニア・空港開発計画について2名を20日間、インドネシア・スラウェシ地区観光開発プロジェクトについて2名を13日間、フィリピン・主要地方空港整備について6名を13日間及びエクアドル・キト新国際空港建設計画について2名を7日間派遣した。この事業においては、調査国合計179、延べ調査員471名、派遣日数合計2,934日に及んだ。
 
 この事業は、1977年4月19日から6日間フランスのパリ北部にあるル・ブールジェ空港内のパビリオンで開かれた国際交通博にわが国の各種輸送システムをとりまとめて出品し、参加した事業であった。
 出典の目的は、わが国のコンサルタントの優れた技術を開発途上国に十分に認識し評価してもらうために、わが国が成就した建設の業績並びに近い将来に実現を目途とする新技術の開発とその現状等の一端を展示して、わが国コンサルタントがプロジェクトの計画を推進する優秀な能力を有することを積極的にPRし、これによって開発途上国に対する経済協力の推進と国際親善の向上に寄与することであった。
 
 出典物は、カラーパネルによる新東京国際空港の概況、世界最大掘込式港湾である鹿島港の概況、時速210kmで走行中の新幹線など展示のほか、現在コーナー及び将来コーナーを設け、現在実用化あるいは開発中の輸送システムを網羅したもので、デュアルモード、バス・システムのほか、新幹線、磁気浮上鉄道、電気自動車、各種の新交通システムなどを展示した。
 開会当日は、カブアイエ運輸大臣一行の来観を迎え、当協会も会長自ら説明に当り積極的なPRと国際親善の役割を充分果たすことが出来た。会期6日間に約6,000人近い内外人が日本コーナーを訪問するなど、多数の参観者を迎えることができた。結果的には一段と人気を博し、成功裡に幕を閉じることができた。
 
 この事業は、当協会会員コンサルタント及び空港技術関連企業の専門家からなる12名の技術調査団を編成し、空港計画、管制施設、空港照明施設、航空通信施設等日本の優れた空港技術をASEANの開発途上国に移転することを目的として巡回技術フォーラムを実施したものである。
 この技術調査団は、昭和53年7月8日から21日までの2週間特に空港プロジェクトに関心を有するインドネシア、フィリピン、タイを巡回して各国の首都において政府及び関係機関の航空関係者を招き、当協会主催による空港技術フォーラムを開催した。
 インドネシアにおける空港技術フォーラムは、7月13日及び14日の2日間にジャカルタ市内のホテルで開催され、現地主催者は運輸通信省(Ministry of Transportation and Communication)であった。
 第1日目は、Marshal Kardono航空局長の祝辞に始まり「ジャカルタ国際空港の現状と将来計画」と題してインドネシア側から空港専門家の意見発表があり、続いて当方の空港専門家の技術発表を行い、その後活発な質疑応答を行った。
 第2日目は、当方の空港専門家による技術発表があり、質疑応答を行い、双方の代表者による閉会の辞で閉会した。
 
 フィリピンにおける空港技術フォーラムは、7月19日及び20日の2日間マニラのホテルで開催され、現地主催者は公共事業運輸通信民間航空局(Civil Aeronoutics Administration, Department of Public Works, Transportation and Communication)であった。
 第1日目は、Alfredo L. Junio大臣の祝辞に始まり「フィリピンにおける航空交通管制システム」と題してフィリピン側の意見発表があり、それに続いて当方の航空専門家の意見発表を行い、質疑応答に移った。
 第2日目は、「マニラ国際空港の現状と将来計画」と題して航空局専門家の意見発表があり、その後当方の航空専門家の意見発表を行い、質疑応答に移った。
 最後は、双方の代表者による閉会の辞で閉幕した。
 タイにおける航空技術フォーラムは同年の12月10日及び11日にバンコク市内のホテルにおいて現地主催者は通信省航空局(Department of Aviation, Ministry and Communication)であった。第1日目はBoonsorn Boonsuka Ph. D.航空局長の祝辞に始まり、インドネシア及びフィリピンと同様な方法で航空技術フォーラムが行われた。
 
 この事業は、当協会会員コンサルタントが有する高度な専門知識と技術を開発途上国において十分に活用、発揮しコンサルティング業務を通して技術と国際交流を促進することにより当該諸国の経済・社会の発展に寄与しうるようわが国コンサルタントの資質向上と強化を図ることを目的としたものである。
 この事業は、平成2年度から8年度まで行ったものであり、概要次のとおりであった。
 平成2年度は、運輸関係コンサルタントが海外において活動するに当たって当然必要とされるわが国の国際協力の在り方、動向、協力相手国の国情等についての最新情報等を提供すると共に、実際に調査・コンサルティングを行う際に必要な英文による表現方法等についての技術研修を実施した。具体的には次のとおりである。
 
・運輸分野における国際協力のあり方、動向について運輸省、外務省の担当者その他著名な学識経験者8名による講演会形式による研修を実施した。
・開発途上国の国情、プロジェクトを中心とした運輸関係情報について帰国アタッシェ、その他当該国の事情に詳しい官民関係者5名の講演会形式による研修を実施した。
・技術研修として外人講師2名を招へいし、コンサルタントが使用する技術文の適切な英語表現に重点をおき、English Rport Writing研修を2回計80時間実施した。更に、研修生が独自で英語で技術文を作成し、これを研修生全体で検討・修正し、最後に外人講師が添削、講評するという方法も繰り返し実施した。
 
 平成3年度以降8年度まで基本的に上記の方法で行った。
 
 この事業は、平成8年11月7日に、ブルネイ、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ及びベトナムの東アジア10ヶ国の運輸次官クラスが東京で東アジア運輸フォーラムを開催する機会に、当協会主催で東アジア運輸シンポジウムを開催したものである。
 
 シンポジウムのテーマは「東アジアの成長と交流を支える運輸インフラの整備の現状と課題」であった。その内容は、2セッションからなり次のとおりであった。
 第1セッションのテーマは「陸上交通機関の整備−経済成長に伴い、都市集中、モータリゼーションが急速に進展している東アジア諸国がどのように対応していくのか−」というものであった。冒頭に日本の交通専門家から「交通整備が日本の社会に与えた影響−鉄道に焦点を当てて−」と題して基調講演を行った。その後、パネルディスカッションを行った。
 第2セッションのテーマは「空港及び港湾の大規模プロジェクト−空港、港湾整備の課題とネットワークとしての運輸インフラの未来−」というものであった。冒頭に日本の専門家から「東アジアにおける大規模プロジェクトの展望」と題して基調講演を行った。その後、空港、港湾整備の課題とネットワークとしての運輸インフラの未来」というテーマでパネルディスカッションを行った。
 このシンポジウムの結果、東南アジアにおける運輸交通問題に対する正確な理解と展望更にその取り組み方が如何に重要であるかの認識を深めその成果を納めた。
 
 この事業は、開発途上国からの要請により、当該国で計画中の運輸インフラストラクチュアーの計画を支援する事業であり、平成9年度から11年度までの3年間実施したものである。
 平成9年度は、インドネシア国運輸省の要請に基づき、ジャカルタ首都圏鉄道ベンガジ線近代化計画(複々線)案の策定のため調査団を派遣して複々線計画を策定した。更に、ジャカルタ及びバンドンにてセミナーを開催し、当調査団の鉄道専門家とインドネシア側の鉄道専門技術者と技術的、経済的な事業化に関する検討、討論等を行い、報告書を作成した。
 
 平成10年度は、エジプト国スエズ運河庁から「老朽船解撤事業の採算性について」の実施計画書の作成支援要請があり、調査団を派遣した。即ち、スエズ運河のアタビヤ湾の造船所解撤事業については、ドック候補地の自然的調査、電力、燃料、水等のインフラ調査を行い、また建設コスト、解撤需要調査、関係者との意見交換、資料収集及び現地踏査を行った。更に、イスマリアのスエズ運河局において、船の解撤計画に関するセミナーを開催した。
 平成11年度は、ベトナム国のハノイ市における公共交通の近代化計画を支援するため、ハノイ市に調査団を派遣してベトナム運輸省、ハノイ人民委員会等を訪問してヒアリングを行うと共に市内のバス輸送、バイク・自転車等による市民の移動状況、交通状況を調査した。更に、ハノイに於いてセミナーを開催すると共に、調査結果の報告を行った。また、バス輸送専用道の整備を中心とした公共交通の整備の方策を提言すると共に事業化のためのF/S調査を早急に実施するよう提案した。







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