日本財団 図書館


平成16年度国土交通省近畿運輸局関係予算概要
近畿運輸局企画振興部企画課長 足立 基成
 
 平成16年度の国土交通省予算は6兆7436億円(対前年度比0.97)となっており、メリハリの効いた予算の重点化を図るとして「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003(平成15年6月閣議決定)」で掲げられた「重点4分野」への重点化を進め、政策効果の高い事業・施策に絞り込んで実施することとしています。
 
「重点4分野」は、
・個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方
・公平で安心な高齢化社会・少子化対策
・循環型社会の構築・地球環境問題への対応
・人間力の向上・発揮―教育・文化、科学技術、IT
 
 としており、その合計は4兆7959億円(対前年度比0.99)、予算全体に占めるシェアは71%となっています。
 
 このほか、「社会資本整備重点計画策定等を踏まえた成果重視の施策展開」、「三位一体の改革の推進」、「特殊法人等改革の推進」を図るとしていますが、ここでは、このうち近畿運輸局に関係する主要な事業、施策に関連する事項及び予算について紹介したいと思います。
 
 なお、今回、新規事業として、
・観光関係では「一地域一観光づくり推進」、「訪日外国人旅行環境整備」、「外国人観光客が利用しやすいバス交通の実現に向けた実証実験」
・物流関係では「物流セキュリティ強化及び之に連動した物流効率化の実現方策等に関する調査研究」、「3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)に関する人材育成促進事業」
・鉄道関係では「地下鉄火災対策の実施」
・船舶関係では「船舶に対する不法行為の防止及び抑制対策の実施」
・自動車関係では「NPO等が行うボランティア輸送における運転者に対する人材育成のための教育体制の整備」、「STSを活用した育児支援輸送サービスのあり方に関する調査」、「バスの目的地到着予想時刻情報を配信するシステムの構築・評価」、「バス・鉄道相互の共通ICカードシステムの整備促進」
 
 が新たに予算化されています。
 近畿運輸局としては、観光振興や環境問題、少子高齢化等交通を取り巻く21世紀型課題に適切に対応しつつ、新たな施策にも積極的に取組むことにより、関西の活性化に寄与することを目指します。
 では、以下に説明いたします。
(注)以下に掲げる金額は、「関西国際空港の整備」を除き、全国ベースの予算額です。
 
I 個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方
1 観光立国の実現
 
(1)日本ブランドの海外への発信 【総合政策局観光部】
・「ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)」の推進
(3203百万円)
 2010年までに、訪日外国人旅行者を1000万人に倍増させることを目標として、日本の観光魅力を海外に発信するためのビジット・ジャパン・キャンペーンを官民一体で引き続き実施する。
 平成16年度は、現行の韓国、台湾、米国、中国、香港に英、独、仏を加えて、8つの国・地域を重点市場としてキャンペーンの一層の拡充を図る。
 
 
(2)日本の魅力・地域の魅力の確立 【総合政策局事業総括調整官、観光部】
・一地域一観光づくり推進事業(32百万円) 新規
 地域がそれぞれの持つ魅力を自主的に発見し、高め、競い合う一地域一観光づくりを推進するため、観光カリスマ塾の開催による人材育成、観光交流空間づくりモデル事業のうちNPO等が行う観光戦略の核となる先進的な取組の推進を図る。
 
(3)観光立国に向けた環境整備 【総合政策局事業総括調整官、観光部】
・訪日外国人旅行環境整備事業(52百万円) 新規
 外国人旅行者の一人歩きを容易にするため、観光案内所において多言語での対応が可能となるような人材育成を行うことにより、訪日外国人向けの観光案内所の充実、増大を図る。
 また、外国人旅行者にもやさしい観光交流空間づくりの推進へ向けて、案内標識の効果的・効率的な整備手法について検討する。
 
(4)外国人観光客が利用しやすいバス交通の実現に向けた実証実験【自動車交通局】
(1552百万円の内数) 新規
 外国人観光客にとって路線バスは、系統が複雑でわかりにくいことや、行き先表示に外国語表記がないことなど、その利用が極めて困難な状況にあることから、観光推奨バス路線指定制度を創設し、車両や路線図にカラーリングを施すことや、行き先表示に外国語表記を加えることなどの実証実験を行い、外国人観光客が利用しやすいバス交通の実現を図る。
 
外国人観光客に使いやすいバス路線指定制度について
 
2 個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方
 
(1)公共交通活性化総合プログラムの策定 【総合政策局交通計画課】
(373百万円)
 
 各地の公共交通サービスの改善に関する個別プロジェクトの実現に向け、地方運輸局が中心となって、地域、交通事業者、観光関係者等とともに検討を行い、必要な方策とその実施のための役割分担を定めたプログラムを策定する。
 
(2)地方ブロック公共交通・地域交通環境計画の策定 【総合政策局交通計画課、環境・海洋課】
(85百万円)
 
 地方ブロック毎に、ブロック内の公共交通サービスについてバリアフリーや情報化等の新たな視点も踏まえた将来計画、地域交通環境対策の方向性を策定する。近畿運輸局では、局長の諮問機関である近畿地方交通審議会において、少子高齢化、環境問題等の課題に対応し、人と環境にやさしい交通体系を構築することにより、豊かで快適な生活や活力ある経済社会の創造に寄与することを目指した「近畿圏における望ましい交通のあり方」を審議する。
 
(3)物流セキュリティ強化及びこれに連動した物流効率化の実現方策等に関する調査研究 【政策調査官】
(15百万円) 新規
 
 世界経済のグローバル化、情報化等が一層進展する中で、9.11同時多発テロ以降、諸外国及び国際機関においては物流セキュリティの強化に取り組んできている。このため、コストを含めた国際競争力を確保しつつ、国際的に要請されているセキュリティ水準を満たすため、ITの活用等による物流セキュリティ強化と物流効率化の同時達成を目的に、関係者と施策の検討を行う。
 
物流セキュリティ強化及びこれに連動した物流効率化の実現方策等に関する調査研究
(拡大画面:132KB)
 
(4)地下高速鉄道の整備 【鉄道局財務課】
(37748百万円)
 
 都市における鉄道は、都市機能を支える社会資本であり、豊かで快適な都市生活を営む上で不可欠な、基幹的かつ必須の交通機関である。大都市圏における通勤・通学混雑緩和、駅等交通結節点を中心とした沿線地域の活性化を図るなど、都市機能を再生し、魅力ある都市を創造するために地下高速鉄道の新線建設、大規模改良工事(バリアフリー化等)を促進する。

*管内の対象予定路線
・京都市交通局 東西線の延伸 (醍醐〜六地蔵 2.4km)
・大阪市交通局 8号線 (井高野〜今里 12.1km)
・中之島高速鉄道(株) 京阪中之島新線 (天満橋〜玉江橋 2.9km)
・西大阪高速鉄道(株) 阪神西大阪線 (西九条〜難波 3.4km)
※上記のほか、京都市交通局東西線(二条〜天神川 2.4km)については、別途措置予定。
 







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION