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平成16年度に向けた近畿運輸局の主な取り組みについて
近畿運輸局長 梶原 景博
 
 今年も寒さ厳しき冬が終わり、花開き、水ぬるむ春が巡ってまいりました。暖かな春の訪れは、新しい年度を迎えるにふさわしい季節の到来であり、桜の花の開花とともに、人生の一つの節目として、心あらたまり、気持ちも引き締まる思いがするものです。私も、また新たな年度の始まりに、我々の仕事の重要性を思い、その責任の重さをひしひしと感じているところです。
 春といえば、今年もプロ野球が開幕いたしました。昨年は阪神球団がセリーグ優勝を果たし、関西が18年ぶりに盛り上がりましたが、今年も引き続き阪神が順調に勝利し、関西を一層元気づけるとともに、明るさの見えてきた関西経済の再生に大いに貢献してもらいたいと思っております。
 新しい年度を迎えるにあたっては、近畿運輸局においても、新しい取り組みを中心に、地方自治体や地域住民と一体となった都市再生等に資する施策の推進について、職員一同、新たな気持ちで取り組んで参りたいと考えておりますが、同時に、これらの取り組みが、交通運輸・観光業界の活性化と発展を通じ、一部明るい兆しの見えてきた関西経済の再生に強力な後押しとなることを期待しているところです。
 また、既にご存じのように、交通運輸・観光の分野では、中之島新線や西大阪延伸線の建設着工がなされ、大阪駅北地区の再開発についても全体構想が打ち出されております。さらに、外客誘致を促進する「関西国際観光推進センター」が設立されるなど、今後の関西活性化の核となるプロジェクトもすでに動き始めております。近畿運輸局といたしましても、これら近畿圏再生への動きが本格化し、関西経済全体が順調な回復軌道に乗ることを期待しつつ、今年度も引き続き、交通運輸や観光の振興を通じた近畿圏全体の活性化に全力を尽くして参ります。
 
 さて、以下に平成16年度に向けての近畿運輸局の主な取り組みについてご紹介したいと思います。
 
 まず、近畿地方交通審議会における審議についてです。昨年春本審議会に諮問いたしました「近畿圏における望ましい交通のあり方」につきましては、本年度秋から冬に予定しております答申に向けまして、鋭意審議を重ねてまいります。京阪神圏における鉄道を中心とした交通ネットワークのあり方を軸に、過疎地域のモビリティ確保や交通環境対策等の交通課題への対応策について総合的に検討を進め、環境にやさしく、安全で、高齢者を含めた誰もが移動しやすい交通の実現を目指したいと考えています。
 
■近畿地方交通審議会 第二回総合交通部会
 
 交通ネットワークについては、昨年着工した中之島新線、西大阪延伸線などの都市鉄道の整備を着実に推進するとともに、地方における過疎バスへの助成やコミュニティバス導入による住民の足の確保を図りつつ、高齢化社会に対応した交通機関・施設のバリアフリー化を進めることで、公共交通を中心とした、快適で便利な交通ネットワークの充実を図ってまいります。その際、地域における様々な交通課題を改善するため、「公共交通活性化総合プログラム」等を引き続き活用し、地方自治体、NPO、交通事業者等との連携を強め、公共交通の利便性を高めることにより地域の活性化を進めてまいります。
 
■中之島新線(天満橋〜玉江橋2.9km)
 
 
■西大阪延伸線(西九条〜難波3.4km)
 
 観光振興を通じた地域の活性化についても鋭意取り組んでまいります。昨年度に引き続き、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の一層の充実を図り、外国人観光客の訪日促進策を積極的に進めてまいります。特に、関西が一体となり、広域的な外客誘致を推進するための中核的な組織として「関西国際観光推進センター」が昨年12月に設立されましたが、近畿運輸局といたしましては、このセンターを中心に、関係団体等と協力し、現行の韓国、台湾、米国、中国、香港に英、独、仏を加えた8つの国・地域を重点市場とし、訪日旅行客拡大を目指したキャンペーンの一層の充実を図ってまいります。さらに、昨年7月、観光立国関係閣僚会議で決定されました観光立国行動計画に基づき、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」をめざした「一地域一観光」等観光を軸とした良好な地域づくり、観光交流拡大に対する地域の取り組みにつきましても積極的に支援してまいります。
 
■ビジット・ジャパン・キャンペーン
 
 また、地球温暖化問題や地域の大気汚染問題はますます深刻化しており、早急な対策が求められております。このため、自動車からのNOXやPM、CO2の排出量削減に向け、低公害バス・トラック等の導入促進やDPF装置の装着支援をはじめ、環境意識の啓発・普及等を進めてまいります。特に、物流においては、共同輸配送やモーダルシフトの実施を強力に推進し、物流の効率化等を通じ交通から生じる環境負荷の低減を図ってまいります。その他、海洋レジャー振興の阻害要因となっております放置艇問題につきましても、その対策やFRP廃船リサイクル対策に取り組んでまいります。
 
■船舶検査
 
 さらに、交通運輸の安全の確保につきましては、運輸行政の最重要の課題として、しっかりと取り組んでまいります。従来より、自動車検査や船舶への立入り検査、交通事業者に対する保安・業務監査等により交通運輸の安全確保に努めてまいりましたが、いまだ高速バスやタクシーの飲酒運転事故、さらには高速道路でのトラックによる重大事故が発生するなど、交通機関に対する信頼を揺るがせる事故が発生している状況にあります。引き続き、適切な監査、指導に努めてまいります。
 また、近畿運輸局管内においても、新潟港に入港した北朝鮮籍の旅客船万景峰号に見られましたように、国際的な安全・環境基準に適合していない外国船舶の入港が多く、今後もPSC(ポートステートコントロール)を強化し、海の安全確保に努めてまいります。
 
■PSC
 
 この他、昨年春に発生したSARSが今冬も問題となっております。また、東南海・南海地震の発生も想定されておりますので、防災対策、危機管理対策についても重点をおいて取り組んでまいります。







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