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2001/02/28 産経新聞朝刊
【大分の教育】(中)「平和授業」 加害行為強調、ビデオで“洗脳”
 
 「お父さんは敵だ」
 建国記念の日の翌々日の二月十三日、大分県北部に住む会社員は、小学六年生の息子から罵声(ばせい)を浴びせられた。
 息子はこの日、学校で南京事件に関する授業を受け、残虐なスライドなども見せられたという。
 「息子が見たスライドには日本軍の兵士が片手に刀を持ち、片手に生首をぶら提げているような写真もあったそうです。学校から帰ってくると、『日本人はひどいことをした』というので、反論しましたが、まったく相手にされませんでした。『敵だ』とまでいわれ、ショックでした」
 大分の小・中学校のなかには、建国記念の日にあわせて特別授業を行うところが少なくない。保護者や教育関係者らによると、特別授業の内容は、旧日本軍の加害行為に関するものが多いという。
 県北部の中学校で配られたプリントには「沖縄戦を考える視点」として、旧日本軍による住民虐殺事件や集団自決強要などの記述が、盛り込まれていた。また、小・中学校では、夏休み中と冬休み前に「平和授業」が行われる。この授業では、南京事件に関する残虐なビデオをみせることもあるという。
 「残虐なビデオを見た小学六年生の娘が『気分が悪くなった』といって帰宅したこともある。小さいうちから繰り返し、日本は悪いことをしたんだと教え込まれていれば、大人になって偏った考えをもつようになるだろう。早急に是正すべきだ」。保護者の一人はこう訴える。
 祝日の由来をめぐる指導についても、保護者から疑問の声が上がっている。
 複数の保護者によると、ある中学では教師が「建国記念の日に『の』がついているのは、歴史的由来がはっきりしないから。憲法記念日には『の』がついておらず、由来が明確なことを示している」などと説明。別の中学では世界各国の記念日の一覧表を配り、「海外では独立記念日や革命記念日といった名称が多い。みんなは建国記念の日の名称をどう思うか」などと質問していたという。
 こうした実態について、大分県教委は「建国記念の日をめぐる授業の内容などは、実態を把握していないのでコメントできない。いずれにせよ、学習指導要領を踏まえ、校長の指導のもとに適切に行われるべきものと考えている」(学校教育課)と説明する。
 「平和授業」を推進している大分県教組では、産経新聞の再三の取材要請に、「担当者不在」を理由に応じていない。(教育問題取材班)


 
 
 
 
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