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1998/06/23 産経新聞朝刊
【主張】国旗と国歌 国際人に欠かせない原点
 
 平成十四(二〇〇二)年度からスタートする完全学校五日制時代の教育の指針となる教育課程審議会(三浦朱門会長)の最終報告がまとまり、「国旗・国歌の指導」が明記された。子供たちが将来、立派な日本人として成長し、国際社会で生きていくために欠かせないものである。その当然のことをあえて盛り込まなければならないほど、今の教育現場は病んでいるといえる。「ゆとり」「国際化」を基調としながらも、「国旗・国歌」「道徳」など基礎・基本教育の徹底を求めた審議会の姿勢を高く評価したい。
 「国旗・国歌」に関するくだりは、昨年十一月に発表された中間報告にはなかった。しかし、長野五輪で日本のメダリストが国旗掲揚・国歌斉唱の際に帽子を脱がなかった一件や、埼玉県立所沢高校の卒業・入学式ボイコット問題、さらに元教育長までが国旗・国歌に反対する文書を出していた広島県の実態が明るみになり、委員から「国旗・国歌の指導の明記」を求める声が高まったという。
 その結果、最終報告では、音楽の授業で「小・中・高校を通じ、君が代の指導の一層の充実を図る」とし、入学式や卒業式など「特別活動」の項目でも、「国旗・国歌の指導の徹底を図る」と明記された。
 日本は敗戦後、連合国軍総司令部(GHQ)が日の丸の掲揚を禁止したこともあって、国旗・国歌の指導を十分に行えなかった時期がある。文部省も昭和三十三年の学習指導要領改定で初めて「国旗を掲揚し、君が代を斉唱させることが望ましい」と控えめに書き、平成元年の改定で「国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と踏み込んだ表現に変えた。
 だが、これに反発した日教組や全教など左翼系の教職員組合は、児童生徒を巻き込んでの「日の丸・君が代」反対闘争を展開した。日教組は平成七年の文部省との和解後、闘争を棚上げしたが、反対の方針は変えていない。両組合とも、自国の国旗・国歌に背を向けさせる“ゆがんだ姿勢”から脱却すべきだ。校長ら管理職側も、組合側の国家を否定するような要求に屈してはならない。
 今回の最終報告は、道徳の授業についても「授業時間数を確保し」という文言を挿入した。やはり、広島などで「道徳」の時間がなかったり「人権」に名称変更されたりしていた実態が、国会や文部省の調査で明るみに出たことによる。道徳も子供たちが国際社会で通用する社会人になるために、おろそかにできない教育である。


 
 
 
 
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