今の校則は細かく規定しすぎ、教師、生徒とも窮屈と感じているが、教師が生徒の自主性を信じられないので改められない−−日教組の国民教育研究所(伊ケ崎暁生所長)が七日まとめた中学、高校の生徒・教師の意識調査でこんな結果がでた。校則に違反した場合の罰についても「生徒が反発するだけ」「教師、生徒相互の不信感を招く」と否定的な考えが強い。しかし、一方では教師の六割が体罰を「指導方法のひとつ」と思っており、教育現場が抱える“不信”と“ゆがみ”が浮き彫りになった。
校則を「細かすぎ、窮屈に感じる」と答えた生徒は中学生七二・三%、高校生七六・〇%。校則を守らせるのに「教師の定期的点検」が高校で七割、中学で五割以上、「教師が朝礼やホームルームで注意」が中学、高校とも七割前後ある。「違反した場合、罰を与える」のが中学で四割、高校でほぼ半数。
中学、高校生とも半数以上が「いじめ・暴力の否定」を守るべき、などと校則の必要性を認めているが、中学生の三人に二人が「頭髪」、二人に一人が「服装」を、また高校生の半数が「頭髪」「服装」「アルバイト」を自由にして欲しいと求めている。「罰」の効果は「厳しくなるだけ生徒の反発が強くなる」(中学生六九・四%、高校生七八・七%)、「生徒のやる気をなくさせる」(同五六・一%、五八・七%)で、「悪い行動をなくすのに効き目がある」(同一〇・八%、一一・六%)の肯定派を大きく上回った。
半数以上の教師も現行の校則は「相互の不信感」、「ぎくしゃくした関係」を反映していると思っている。しかし、実際には「服装」などを強く指導。校則が細分化する要因として中学、高校の教師とも半数以上が「家庭の教育力の低下」「生徒の自治・自律能力の低下」をあげ、細かなものではなく、大綱的にしたいが、できないというジレンマを感じている。
しかし、「体罰」については、複数回答で七割以上が「教育的効果は期待できない」「生徒との信頼関係を損なう」「生徒の心を傷つける」と考え、否定している。だが同時に六割の教師が「指導方法のひとつ」と回答、学校から体罰がなくならない状況を示した。
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