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第5回 誘導・警告ブロック改善検討会 議事録
 
1. 日 時 平成13年11月2日(金)14:00〜16:30
 
2. 場 所 弘済会館4F「梅」
 
3. 出席者(敬称略)
 
【委員】
末田委員長(徳島大)、田内委員(岡山県立大)、加藤委員(日本ライトハウス)、笹川委員(日本盲人会連合)、田中委員(日本点字図書館)、有山委員(JR東日本)、清水委員(東武鉄道)、荒川委員(都交通局)、四ノ宮委員(鉄道総研)
【オブザーバー】
水信、野竹、村田、輪笠(以上 国土交通省)
【事務局】
鈴木、大野、藤浪、水上、佐藤(以上 鉄道総研)、岩佐、藤田(以上交通エコモ)
 
4. 提出資料
・資料5-0 第4回 誘導・警告ブロック改善検討会議事録(案)
・資料5-1 ブロック形状選定試験結果(案)
・資料5-2 最終確認試験に向けて(案)
 
5. 議事概要
資料5-0 第4回 誘導・警告ブロック改善検討会議事録(案)
 第4回誘導・警告ブロック改善検討会の議事概要が事務局から説明された。質疑は特になかった。
 
資料5-1 ブロック形状選定試験結果(案)
 事務局のブロック形状選定試験結果(案)の説明を受け討議が行われた。主な論点は、
(1)実験1(=同定実験)と実験2(=一対比較実験)の結果と考察について、(2)最終確認試験で用いるブロック形状の選定について、(3)混合ブロック形状の示し方についてである。
(1)実験1(=同定実験)と実験2(=一対比較実験)の結果と考察について
・なぜ点状・線状ブロックと間違ったのかについて、被験者との会話等から得られたことはあるか。
→(事務局)一対比較実験で方向を間違えた1件については、実験時の観察から被験者が施工上の段差と線状突起を間違えていた。同定実験では、正解・不正解を被験者には教えてないのでその場では話すことができない。ただ、実験終了後に線状突起の付いている側の分かり易さについて、線と点の間隔、線の本数に関して個別に聞いているが、それらについて統一的な見解やその理由というものはなかった。なお、線の本数に関しては、選択肢から答えてもらったわけではないが、意見の中から抽出すると、1本線が分かり易い人が8人、2本線が分かり易い人が22人であった。
・様々なヒアリング結果やポイントとなる自由記述についても提示して欲しい。
→(事務局)今回は実験終了から時間がなく、結果の速報のみになったが、次回委員会でそれを提示する。
・ブロックCは誤認率が高いが、点状突起だけを踏んだ人が点状ブロックと答えるのは問題ではないとも考えられるが、踏むように指示したのに踏まなかったことが問題だとも考えられる。
・ブロックCでは、線状突起が点の集団からかなり離れていて、そこまで足を運ばないことを示し、ブロックAとBでは、大した差が出ない程度の線―点間距離であるのかもしれない。
・ブロック種別の誤認を示した表2において、線を「踏んだ」、「踏まなかった」の部分の数字は、誤認した人の中での件数ということで良いか。また、同定実験は点ブロック部分のセンターに被験者の立ち位置を設定したということで良いか。
→(事務局)その通りである。
・(事務局)線を踏まなかった件数を引くと、各ブロックの誤認率はブロックA→Eの順に10%、5%、14%、13%、17%となる。ブロックBが良いのは変わらない。ブロックA、C、D、E間の差は小さくなる。
・実験2(一対比較実験)の各ブロック間の比較で、その選択率の差が大きい方が、より有意な差であると考えて良いか。
→(事務局)その通りである。比較対で差が小さなところでは、有意な差とはいえないところが出てくる。ブロック間で‘三すくみ’の状態は生じておらず、ある程度の序列化はできたと考える。
(2)最終確認試験で用いるブロック形状の選定について
・実験1と実験2で各ブロックの成績の順序が異なるが、この結呆の相違をどう捉えてブロックを選択すれば良いかについて議論したい。また、実際の敷設上の点も考慮する必要がある。
・(事務局)昨年度からの経緯で、新設駅や大規模改良駅のみを対象にするとそれは相当長いスパンになるので、本委員会では、まず既設駅をどうするかという点を重要視している。工事を逐次行って行くことになることを考えると、誤認ということが悪い方向に作用しないことが保証されるものが最も良いと思う。
→その意味では、ブロックEでは、線状ブロックと誤認したケースが2例あるということは重たい事実であり、従ってブロックBが妥当であると考える。
・各ブロックの線状突起の‘余白部分’は、ブロックA、D、Eが狭く、ブロックBとブロックCでは広い。実験場を見るとブロック敷設部分が沈み込んでおり、そのことが実験1、2ともに結果に影響した可能性がある。同定実験では、ブロックBには余白部分が46.5mmあることがBを優位にしているのかもしれない。これだけ点状突起があるのに線状ブロックと誤るかの理由が図りかねるので、先ほどの聞き取り調査などから何らかの情報が得られてないだろうか。
→(事務局)その点に関して、今日は、具体的なデータはまだない。
→ビデオ記録から、段差を踏んで点ブロックといっているのか、また、少なくとも、線ブロックと誤認した例では敷設上の不具合が影響していないかを見る必要がある。
→(事務局)ビデオ記録の再チェックは行う。また、最終確認試験では、複数のブロックパターンは比較検討しないが、2年間にわたって検討した最善のものを敷設して評価頂きたいので、施行の段差などはクリアしているかチェックする。
・2本線付加のブロックEを線ブロックと間違えたのは、2本線部分を踏んだ時の判断で線ブロックと答えたのではないか。施工上の問題ではないのではないかという気もする。
・ホームで1本線が敷設されているところはどこにもない。2本線は幅が広くなることで狭小ホームでの敷設がより困難になり、現実的にはBが望ましいのではないか。
・私もBで良いと思う。2本線付加ブロックの場合、1本を踏んで確認のためさらにもう1本探すということはない。実際に実験場で体験して、確かに多少の段差みたいなものはあったが、これはどこで実施しても絶対に段差が生じないということは保証できない。あまり厳密にやっていくと何もできない。
・他の委員も実験1の誤認率の少なさをベースに考えて、ブロックBということで良いか。混合ブロックがそこにあるとわかった上で探索するとブロックEが良い。利用者への周知が一挙になされればブロックEでも良いが、施工実施の初期段階も考慮すると、Bを外す理由が見つからないというか。
・最終確認試験では、点字ブロックを一種類に絞り込んで行うが、委員会では、ブロックBを選択して、フィールド試験を行うということで良いか。
→(委員からの異議無し)
(3)混合ブロック形状の示し方
・現状の300角、400角の点状ブロックに線状突起を付加する場合、それは外側に追加して敷くのか、また、ブロックB(420mm)で余白が不要なら400mmと示してもらうと、400角をとって敷設し直すことができるので良い等、実際のいくつかの施工場面に対応できるように寸法を最終報告書に記載して欲しい。
→(事務局)現実的な施行を考慮し、いくつかの見本を併記することを考えている。この点に関しては、今後、事業者にご意見を伺うこととする。今回の寸法は、線状突起部分を貼っていく場合に、向きを反対にして貼られるようなエラーを防ぐためにも余白が左右対称になるように線状突起の位置を決めた。
 
資料5-2 最終確認試験に向けて(案)
 事務局が示した「最終確認試験に向けて(案)」を元に議論が交わされた。主な論点は、
(1)ヒアリング調査結果と敷設の一元化について、(2)事前警告の可能性と最終確認試験での検討内容についてである。
(1)ヒアリング調査結果と敷設の一元化について
・全盲の方では、方向失認が起こり難いということで連続敷設を支持し、ある程度の残存視力のある方では、どちらが線路側などの大まかな方向は何となくわかるが、細い柱に衝突することが結構多いので、コの字迂回(点字ブロックがあるとぶつからずにすむ)支持が多いのではないだろうか。
・今回、ホームの内外方を区別でき、かつ、他のブロックとは違う要素が高いという観点で、同定実験を重視して、一本線付加ブロックを選んだ。従って、今回の、線状突起付加ブロックは、「点ブロック+線ブロック」ではなく、一つの新しい「混合ブロック」ということになる。つまり、混合ブロックによる連続敷設方式では、内外方を示し、かつ、「障害物を知らせて欲しい」という一ズに対しては、従来の点状ブロックを柱の警告とすることで応えられる可能性がある。
→ただ、柱の手前で線状突起がなくなることには少し議論が要る。
→柱の手前だけは、内外方がわからなくなるということより、ぶつかるということを優先してこのように敷設しているということになるか。柱から、一歩離れたところでは、内外方がわかる。
・コの字迂回を支持する人の理由は「ぶつからないこと」、連続を支持する人の理由は「方向を見失わないこと」を重視している。後者は移動において最も大事なことであり、内容の重みが異なる。ただ、柱にぶつかり、驚いて転落する例もあるので、低視力の人が黄色いブロックを頼っていたという場合は、ホームと直角方向に何かブランチを設けること等も一つの手だろう。個人的にはインフラ整備で、最初から柱をセットバックして立てることを常識にして欲しいということで連続を支持している。
(2)事前警告の可能性と最終確認試験での検討内容について
・最終確認試験では、柱の事前警告が検討できる場を設けて、検討して欲しい。
→利用者にとっての‘障害物’との関連では、柱以外にも、可動柵や固定柵、階段、その他の構造物をどのように位置付けるかも含めて、ブロックの敷設方法をどうするかという問題がある。従って、今回の実験で柱を立てるのは良いが、まずは、内外方の効果を確認することに留めて良いのではないか。
→(事務局)この委託研究は今年度で終わるので、内外方の効果や、連続敷設が一義的敷設では好ましいことを、まず、結論としたい。もちろん、未解決の部分については、今後の課題であることを明記するなり、付帯意見としてつける。鉄道総研では、視覚障害者関連の駅ホーム上の安全策の実験的検討は、今後も続けていく。コの字敷設を支持する方の理由は、柱への衝突回避ということがあるので、柱の警告をどうするかということは、検討課題にはなり得るが、それを最終確認試験で行うかということについては時期や経費も含めると限度がある。委員会としてそれでも検討すべきと考えるのか決めて欲しい。
→非常に限定された条件で検討し、後々、安全面を担保できるかということになってきた時、危険の回避の問題もあるので、結論を出すのは無理ではないか。意見を徴集して参考にするのは良いが。
・今回のプロジェクトの発注元からすればどこまでやらなければいけないだろうか。
→今回は、内外方がわかることに留めて、事前警告に関しては、今後の課題ということになるか。
→鉄道事業者としては、来年度から実施する時に、柱の前はどうすれば良いのかという問題にぶつかる。
→(事務局)予備的に検討し、何らかの方向付けを行うのは可能かもしれない。ただ、全ての柱、構造物のパターンに関して網羅していることにはならないので、最終結論は、来年度以降になるのではないか。
→残された課題に関しては、鉄道事業者側から、「当面は、このような事を検討して欲しい」という将来課題を本プロジェクトの最後に挙げて欲しい。それを、4月から国土交通省のプロジェクトとして早急に立ち上げる等、何らかの形で検証していくことができるように課題を洗い出し整理しておく必要がある。
・最終確認試験では、3年間行ってきたプロジェクトの仕上げとして実施し、現在のところ、資料5-2をベースに実験を行う。追加できる部分については事務局内で検討し、今後の課題については、充分洗い出しをする。この結論で良いか。
→(委員からの異議無し)
・次回の委員会では、最終確認試験の結果と、最終的な報告書のまとめ方について審議したい。
以上







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