第1分科会
「居宅生活支援事業(ホームヘルプ事業)の実際」
《9月5日(木)8時45分〜10時15分》 会場:華厳の間(8階)
司会 増山明美(支援センターさの施設長)
報告者 高橋信子(真岡市社会福祉課) 大武昌江(栃木市社会福祉協議会ホームヘルパー) 二木優子(支援センターさの)
真岡市における訪問介護事業(ホームヘルプサービス)の取り組み
真岡市社会福祉課 高橋信子
1. 真岡市における精神保健福祉の概要
人口 |
65,305人 |
世帯数 |
21,215世帯 |
精神障害者状況 |
手帳交付数 |
52人(1級7人・2級28人・3級17人) |
通院医療公費負担数 |
160人 |
精神科医療機関 |
クリニック1カ所(管内・入院施設あり) |
社会復帰施設 |
作業所1カ所(8名登録)(管内・1か所) |
関係団体 |
家族会(18名) |
行政組織(障害担当課) |
社会福祉課(身体・知的・精神3障害) |
ホームヘルプ利用者数 |
2名(ヘルパー派遣は委託) |
|
2. 真岡市のホームヘルプサービス概要
(1)今までの経過について
平成12年2月〜平成14年3月 |
精神障害者訪問介護試行的事業実施(県から委託) |
平成14年4月〜 |
市町村へ保健福祉事業一部の権限移譲 居宅生活支援事業開始 |
(2)ホームーへルプサービス提供について
【対象者】 |
(1)精神保健福祉手帳持参の方または障害年金受給者 |
|
(2)病状が安定している方(主治医との連絡確認) |
【派遣内容】 |
(1)家事援助に関すること |
|
調理・買い物・洗濯・掃除など |
|
(2)身体介護に関すること |
|
身体の清潔・通院等の援助など |
|
(3)相談・助言に関すること |
【費用負担】 |
生計中心者の所得に応じて費用負担あり |
|
(障害者ホームヘルプと同じ基準) |
【サービスの流れ】
3. ホームヘルプサービスの実際
【利用者の状況】
|
Aさん |
Bさん |
本人の状況 |
年齢・性別 |
53歳・男性 |
48歳・男性 |
家族構成 |
一人暮らし |
妻と二人暮らし |
職業 |
自営業 |
元タクシー運転手 |
病名 |
精神分裂 |
精神分裂 |
サービス内容 |
派遣回数・時間 |
月2回・90分 |
月2回・60分 |
内容 |
家事援助 |
家事援助 |
利用負担 |
あり(1時間950円) |
あり(1時間650円) |
|
【ホームヘルプサービス導入してからの生活状況】
Aさんの場合: |
試行的事業からの利用。掃除を希望。 両親と死別してから、身近な親戚もなく一人暮らしをしている。経済的には遺産もあるため問題ないが、そのため将来結婚して財産を継がせたいと思っていることと、年齢的に社会に認められるためには、事業を起こし仕事をすることが本人の目標である。当初は、茶の間や台所は汚れており、生ごみや新聞紙などの資源ごみが山積みになっていた。食事は自分で作っているとは言うもの、炊飯ジャーの中のご飯はカサカサなっている等不衛生なところがあった。少しずつ信頼関係をとりながら、部屋、台所などの掃除、ごみの片付けをしていった。食事は、自分の希望する食材を購入して時々、一緒に作ったりしている。最初のころは、週1回の派遣であったが、気を使い少し疲れてしまったところがあったが、話をする時間をとったりする等本人の希望を確認しながら、支援していった。現在は、部屋、台所もきれいになり、食生活も改善され、生活のリズムは整うことができたと思う。 |
Bさんの場合: |
生活支援センターからの紹介で本人からの申請。掃除・食事づくりを希望。 2回目の結婚であり、妻は中国人でほとんど友人のところへ行っている状況(詳細は話さない)病気のことを隠したいとの理由から、ヘルパーの訪問時の車(公用車)のことや、市外のヘルパーを希望したりする。配慮しながら開始する。数回しか経過していないが、初回訪問は、庭は草が腰くらいまで生えており、玄関からはくもの巣がたくさんあり、部屋は汚れていた。食事は、ほとんどコンビニのため飽きてしまったと。本人の希望通り掃除をしていくと、きれいになったと大変喜んでくれた。ごみの片づけができないので、少しずつ片付けていく予定。現在は、今の仕事は安く不規則のためやめてしまったため、職を探している状態。職が決まるまでヘルパーの派遣検討中。 |
3. ホームヘルプサービスの意義について
○生活環境を整え在宅生活を継続していくことができる。
○状況の変化を適切に把握できチームで支援できる。
4. よりよいサービスをするためには
○利用者の意思を尊重して信頼関係を築いていく。
○利用者のニーズや効果などを評価していく。
○受けやすいサービス体制・社会資源の整備していくこと。
○関係機関との連携。
○地域への啓発活動。
第1分科会 居宅生活支援事業(ホームヘルプ事業)の実際
報告書
栃木市社会福祉協議会
ホームヘルパー 大武昌江
1. はじめに
Aさんは53歳の女性で一人暮らし。33歳の時に精神分裂病を発病し、生活保護を受けてアパートで生活しています。
昨年の精神障害者の居宅支援事業のテストケースとして(栃木市で2ケース)平成13年11月5日に開始され3月末日で終了しましたが、本人の希望により4月から本格的に開始されました。
ケース開始前に、県南健康福祉センター保健師、市の保健師、市の保護係職員、作業所の指導員、社協担当者、担当ホームヘルパーが、本人を交えて生活状況を話し合いました。本人の状況が悪いと被害妄想があり、オープンにした方が良いとの考えでした。お陰でスムースに開所となりました。
2. A子さんの様子
Aさんは薬の管理も自分で出来、働く事が好きで作業所に毎日通い、帰りに実家(母親一人暮し)に立ち寄る毎日です。通院は2週間に1度自分で通院しています。
支援内容としては、1週に1度掃除です。
Aさんの生活の中、母親、姉妹、作業所の人間の中に、ヘルパーの色がほんの少し出てきたように思います。
7時に起床、9時に作業所に出かけ3時に仕事が終わり、母親の所に立ち寄り、9時に就寝と規則正しい生活を、性格は淡々として薬がきちんと服薬されているので、精神的に落ち着いているからだと思います。訪問を重ねるうちに少しずつ本人も打ち解けてきました。
まだ、ケース開始7ヶ月ですが、調理器具があれば一緒に調理などもしたいと思います。(炊飯のみ)
3. 活動中思うこと
ホームヘルパーとしてAさんの生活に入り込むので、生活は変えず、相手にそったヘルプを考えています。
これは、精神障害に限らず、どのケースでも同じです。
精神障害者であると構えなくて、偏見を捨て、人間として共に生活していく、お役に立てたらと考えております。
状態が良くなっても薬は一生飲み続けなくてはならないと聞きます。薬の管理さえ出来ていればAさんは社会復帰も可能ではないかと考えます。
|