日本財団 図書館


ご挨拶
財団法人 日本太鼓連盟
会長 津田 正
 財団法人日本太鼓連盟は、本年で設立6年目を迎えます。日本財団のご支援をいただきながらこの6年の間に太鼓関係者や関係団体のご協力により着実に前進してまいりました。現在では35都道府県が支部として加盟し、加盟団体数は800チームを上回り、会員総数も2万3千人を超えております。太鼓愛好者も子供から高齢者まで年齢層が広く、最近では主婦をはじめ女性グループが増え、男女の比率も均衡してまいりました。また、健常者のみならず身体、知的、聴覚障害者のグループも誕生し、全国の障害者施設においても、年々太鼓演奏を取り入れるところが多くなってきております。これは太鼓演奏が心身の療育に寄与することを立証しているものと思われます。
 一方、海外においては太鼓の演奏が「日本の心」を伝えるものとして高く評価され、財団設立以来28カ国で公演を行ってまいりました。中でも、昨年5月にロンドンで開催されました「Japan2001」では「富岳太鼓」の障害者・健常者合同チームが演奏し、20万人もの観客に大きな感動を与えました。また、来年6月には、米国ロチェスター工科大学にて開催予定の「聴覚障害者教育と指導技術に関するシンポジウム」でろう者チームによる太鼓公演を行なう予定です。
 このように日本太鼓が脚光を浴びるなか、日本財団の助成事業として、障害を持ちながら日本太鼓を愛好されている方々が全国から集まり、日頃の成果を発表されますことは、主催者として大変喜ばしいことであります。
 主管団体である社会福祉法人たんぽぽ福祉会では、知的発達に障害を持つ方々の補助セラピーや自己表現の手段として、太鼓による療育活動を10年にわたり実践しておられます。本大会に出場されるチームの皆様には日本太鼓を通じて全国各地の仲間同士と交流を図り、友好を深め、さらに日頃の練習の成果を十分に発揮され、いつまでも胸に残る大会とされますことを期待いたします。
 終わりに、本大会の開催にご協力いただきました(財日本太鼓連盟岐阜県支部並びに社会福祉法人たんぽぽ福祉会をはじめ関係各位に心から感謝いたしますと共に、皆様方のご健勝、ご多幸をお祈り申し上げます。
 
(財)日本太鼓連盟岐阜県支部
支部長 桜井 実
 このたび「第4回日本太鼓全国障害者大会」を日本のまん真ん中岐阜県で盛大に開催できますことを心から感謝申し上げます。
 日本太鼓を中心とする伝統音楽の保存継承と新しい太鼓音楽の振興を目指した日本太鼓の創設には、目を見張るものがあり、日本太鼓を愛する者にとっては、誠に喜ばしい限りであります。
 近年、障害を持った人たちのなかでも、日本太鼓の素晴らしさに気付き、数多くの団体が増えてきております。
 今大会には、全国各地から17団体の参加をいただき、日頃の修練の成果を思う存分披露していただき、心と心が触れ合い、太鼓の和が益々広がりますよう祈念申し上げます。
 終わりに、今大会が多くの方々に、格別のご協力をいただき開催できますこと、心から感謝を申し上げ、ご挨拶といたします。
 
社会福祉法人たんぽぽ福祉会
理事長 小板 孫次
 平成4年6月だったと思います。岐阜県のボランティアの人たちの研修会が開かれ、その際、私共の「恵那のまつり太鼓」の演奏を頼まれました。
 演奏する曲は、4曲、約30分の演奏です。私がいつものように、今演奏しようとしている人たちの日頃の生活など、曲の間に、「この人たちは、それぞれ障害があるにもかかわらず、雨の日も雪の日も一生懸命働いております。太鼓の練習は、その仕事が終わった後に行っております。演奏する技術はともかく、身体の不自由なところを克服して一生懸命演奏を致しております。皆さんいかがでしょうか。」と、お話しております。曲が進むにつれて、目頭を押さえる人が多くなってきました。最後の演奏の時には、500名を越す人たちほぼ全員の頬が濡れていたことを覚えています。演奏しているメンバーの一人ひとりも、この素晴らしさに感動していたと思います。
 このことを入所している全員にもと、年4回の行事において、青竹を並べ、半被鉢巻姿で祭りのフィナーレを飾る発表の場として、療育に努めています。
 今回、日本太鼓全国障害者大会を恵那の地で行うにあたって、私共に太鼓演奏を最初に教えていただきました静岡県富岳太鼓の皆さんのお口添えにより、財団法人日本太鼓連盟の依頼を受けて実現の運びとなりました。
 障害者による日本太鼓の保存会は、日々増え続けていると思います。その素晴らしさは、今回の全国大会を受けて益々豊かに広がり続けていくことを切に願いながら、ご挨拶と致します。
 
ご祝辞
岐阜県
知事 梶原 拓
 財団法人日本太鼓連盟主催「第4回日本太鼓全国障害者大会」が、日本のまん真ん中の地岐阜県において開催されますことを心からお慶び申し上げますとともに、全国各地からお越しいただきました皆様方を心から歓迎申し上げます。
 わが国の障害者福祉は、障害者基本法に基づき、「ノーマライゼーション」と「リハビリテーション」の理念のもと、障害のある方々の「完全参加と平等」の実現を目標といたしまして、様々な施策が展開されているところであります。社会福祉基礎構造改革の流れのなかで、21世紀に相応しい利用者本位の障害者福祉サービスを確立するため、平成15年4月からは措置制度から支援費制度に移行されることになっております。これは障害のある人もない人も互いに支え合い、地域でともに生き生きと豊かに暮らしていける社会を目指すノーマライゼーションの考え方や、自分の意志で必要なサービスを選択していく自己決定の考え方が導入されたものです。
 本県におきましては、「弱い人に力を」のスローガンを掲げ、重度障害者支援の充実や障害者の就労・雇用対策を推進しており、障害者が住み慣れた家庭や地域で、生き甲斐を持って生活を送り、社会経済活動へも積極的に参加できるよう各種施策の充実を図っているところであります。
 また、本年12月には、大垣市において「障害者芸術・文化祭岐阜大会」を開催することになっております。全国規模の発表の場において自己表現の機会を提供することにより、障害者の芸術・文化活動の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 こうした本県の施策を推進する上でも、「第4回日本太鼓全国障害者大会」が初めて岐阜県で開催されますことは、大変意義深いことであり、日本の伝統文化の振興にも貢献すると確信しております。出演者の皆さんの磨き抜かれた技と勇壮なバチ捌きは自然環境に恵まれたこの会場で、皆に勇気を与え、本日来場されている方々に大きな感動を呼ぶものと思います。
 本県は、「飛山濃水」という言葉で表されますように、海抜0mから3千mまで、変化に富んだ自然環境に恵まれており、「日本のまん真ん中」という立地条件から、古来より東西の文化の接点として発展してきております。
 こうした地の利のある本県では、現在、東濃地域を優れた首都機能の移転候補地として、「東京から東濃へ」をキャッチフレーズのもと積極的にPRしているところであります。
 どうか、皆様方には、この大会を通じまして、本県の自然や文化に触れていただき、全国大会を良い思い出としていただければ幸いに存じます。
 最後になりましたが、日本太鼓全国障害者大会の成功と益々の発展を祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。
 
恵那市
市長 森川正昭
 皆様、恵那市にようこそいらっしゃいました。
 全国からお集まりいただきました日本太鼓を演奏する皆様に対して、心から歓迎のご挨拶を申し上げます。
 どんどんと響く、日本太鼓の演奏に、人間の心を強く揺さ振る「心の魂」を感ずるのは、決して私だけではないと思います。私たちが幼いときに過ごした過去の記憶、その中で必ず浮かんでくるものに、懐かしい祭りの風景があります。最近ではほとんど消えてしまった祭りの風景こそ、日本人が昔から思い描いてきた幼き時代への郷愁に繋がるものだと思います。それは太鼓の響きと切り離すことはできません。
 時代が今ほど殺伐としていなかったとき、町のあちこちでは小さな祭囃子がいつも聞こえていました。特に秋の祭囃子の嬉しさは、収穫の喜びと繋がっていました。皆が集まり、おいしいお酒を酌み交わしながら、新米で作った香ばしい五平餅を頬張りながら時の過ぎ行くのも忘れて語り明かす。この地域では、誰にでも共通に記憶されている懐かしい風景です。
 今、そうした思いを体現する催し物として、「第4回日本太鼓全国障害者大会」が当市におきまして開催されますことは、大変喜ばしいことだと考えています。
 障害をお持ちの方々にとりまして、太鼓の演奏が持っている音楽としてのリハビリテーション・療育効果は今更申すまでもありません。
 皆様方のパワーを、より大きな感動とともに、高らかに謳い上げていただくことをお願い申しあげまして、私の歓迎のご挨拶といたします。
 
―心に響け!ドンドンフェスティバル―
第4回日本太鼓全国障害者大会プログラム
■開会式
 
■演奏
 
1. 富岳太鼓 (静岡県)
2. 播磨ろう者集団 龍姫太鼓 (兵庫県)
3. 石川県立ろう学校中学部「風神太鼓」 (石川県)
4. 静岡県立静岡北養護学校「北龍太鼓」 (静岡県)
5. 岐阜県立中濃養護学校和太鼓部 (岐阜県)
6. 豊里学園 和太鼓 鼓粋 (大阪府)
7. 伊予三島いわくら太鼓ろうあ部会「鼓龍会」 (愛媛県)
8. ファミリーユニット童鼓 (岐阜県)
9. 伊豆医療福祉センターどんつく (静岡県)
10. 甲州ろうあ太鼓 (山梨県)
11. 金谷大井川川越し太鼓チャレンジチーム (静岡県)
12. 佐久ろうあ太鼓 (長野県)
13. 糸口太鼓 (大分県)
14. はなだ太鼓 (長野県)
15. 仁寿太鼓 (島根県)
16. 岐聾響太鼓 (岐阜県)
17. 恵那のまつり太鼓 (岐阜県)
1 富岳太鼓(ふがくたいこ)
静岡県
 富岳太鼓は、日本一の霊峰富士の麓、静岡県御殿場市に所在します。設立のきっかけは1977年、社会福祉法人富岳会の理事長山内令子が、法人の施設を利用する知的障害者のセラピーとして、日本太鼓に着目したことから始まりました。富岳太鼓は魂を揺さ振る「響き」、鼓動と同調する「リズム」、感情を全身で表現する「躍動」、共に打ちこむ「喜び」など、打てば響く太鼓の持つ秘めたる可能性を、独自に開発した日本太鼓をプログラムに効果的に取り入れ、知的障害者のセラピーとして実践しています。そしてその効果は心身多面に表れ、今では障害者のリハビリテーションや社会自立のトレーニングとしては勿論のこと、障害者の文化・芸術活動にまで広がりを見せ、広く海外からも注目を集めています。
 今回の公演に出演するメンバーは、施設内での委託作業・自主生産品の作成・企業で実習を行い、社会自立を目指しています。日本太鼓に取り組み、多くの人と触れ合うなかで、挨拶ができるようになったり、コミュニケーションが図れるようになり、社会性が身に付きました。
 富岳太鼓の富岳とは富士山の別名であり、その名の通り、演奏する曲の全てが富士山にまつわる神話、民話、自然をテーマとしたものであり、富岳太鼓代表山内強嗣の手によるオリジナルの創作太鼓です。
 
〈代表者〉山内 令子
大川登志夫 長島 一生 石原 純 矢口 博司 矢本 佳織 久保田真喜
小熊 華代 佐野ひろ子 田中 千鶴 早野 均 須賀 有希 栗原 孝明
田中 大輔 河合 信子
2 播磨ろう者集団(はりまろうしゃしゅうだん) 龍姫太鼓(りゅうひめだいこ)
兵庫県
 姫路市は兵庫県南西部の姫路平野のなかにあり、この地方の中心地となっています。また、揖保川の中流に醤油と素麺の産地として知られた龍野市があります。
 龍野市の「龍」、姫路市の「姫」を合わせて、「龍姫」ということになります。
 龍姫太鼓を結成してから、5年になりますが、私たちは「耳が聞こえない」というハンディを持ったろう者集団です。しかし、障害に負けないように“明るく、元気に、一生懸命叩く”をモットーに日々練習に励んでいます。
 昨年の11月には、「第5回日本ろう者太鼓同好会新潟公演」に出演しました。
 全国の私たちと同じ太鼓の仲間に出会えたこと、そして語り、一緒に叩いたことは、今は大きな力となっています。
 今回も全身で太鼓の響きを感じながら一生懸命叩きます。
 
〈代表者〉村上 義宏
松田 雅弘 和泉 哲也 北川 光雄 水野 洋子 大竹 桂 須藤 円
3 石川県立ろう学校中学部(いしかわけんりつろうがっこうちゅうがくぶ) 風神太鼓(ふうじんだいこ)
石川県
 「風神太鼓」は石川県立ろう学校中学部の生徒全員によるチームです。今年度は8名の生徒が在籍しています。日本太鼓は中学部の授業の一環として取り組んでいます。外部講師として安江信寿氏をお招きし、5年目となりました。互いの音を合わせようとする気持ちを大切にしながら、メンバーが心をひとつにして、一生懸命演奏することを目標としています。
 本大会への参加は今回で2回目となりますが、この他、地域の百万石祭りの日本太鼓によるパレードや、地域の太鼓チームとの交流、日本太鼓ジュニアコンクール石川県大会への参加などをしてきました。技術の向上のみならずコミュニケーション能力や社会性の育成も目指し練習に励んでいます。
 
〈代表者〉鈴木 三郎
川端 志織 串田 紀子 下原 栄二 西 誠覚志 上野 一也 八野 拓朗
中垣 彩乃 土倉銀史郎 中山 博子 西田 淳子
4 静岡県立静岡北養護学校(しずおかけんりつしずおかきたようごがっこう)「北龍太鼓(ほくりゅうだいこ)」
静岡県
 静岡県立静岡北養護学校の北龍太鼓は、平成5年度に同好会としてスタートし、平成9年度から部活動として位置付けられました。
 現在は、1年生4名、2年生4名、3年生9名の計17名の部員で活動をしています。今年の4月から現在のメンバーとなり、学校の夏祭りで演奏を披露してきました。他の部活と兼ねている生徒も多いですが、短期間で集中して練習を行っています。
 まだまだ拙い演奏ではありますが、舞台に立つ時は「かっこいい演奏をしよう!」を合い言葉に頑張っています。
 
〈代表者〉向井 剛
小林 尚樹 真野 義徳 杉山 美豊 谷川 陽一 石谷 桃子 木村 吉宏
近藤 由基 小林 治樹 望月 友美 安田 侑弘 杉山 博厚 鈴木 崇弘
浅井 梢 佐藤 純也 中村 真吾 小川 昌也
 
5 岐阜県立中濃養護学校和太鼓部(ぎふけんりつちゅうのうようごがっこうわだいこぶ)
岐阜県
 昨年度より部員が6人増え、今年度は中学部、高等部合わせて14人になりました。毎週月曜日と金曜日の放課後に1時間程活動しています。日本太鼓のクラブ時代からの伝統的な曲「中濃養護太鼓」のリズムを中心に、移動打ちや個人打ちを取り入れながら練習しています。上手く打てるようになりたい、仲間と打つのが楽しい、太鼓の響きが好き、みんな日本太鼓が好きで、楽しんで、時には厳しく活動しています。現在は10月に行われる関市の刃物祭りに向けて取り組んでおり、練習にも熱が入ってきました。
 今回の大会は14人の内9人の参加ですが、緊張を跳ね飛ばして楽しく演奏してくれることと思います。応援してください。
 
〈代表者〉林 勝之
見崎 量崇 水川 靖章 後藤 ゆう 後藤 崇之 石田 将士 仙石 知香
加藤 祥恵 須田 愛 船戸 若菜 谷藤麻以子 川瀬さや香 橋本 雅世
酒向 記美 後藤恵美子 水谷 高大 渡辺 史浩 今枝奈津子







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