子どものストレスについて
NPO法人
家庭危機管理・ひまわりの仲間たち
代表 関本蘭子
1. はじめに
ストレスは、大人の社会だけの問題ではない。最近の社会問題の中で、核家族の中で、幼児、子どもにもストレスがある。それを回避することができない状態で、ストレスを理解、対応、対策解決して除去されず成長すると、幼児期のストレスがその後のストレスの有り様に大きな影響を与えるのである。
その影響は、家庭問題であり、家庭不和、家庭崩壊、不登校、ひきこもり、家庭内暴力、非行、いじめ等の原因になる。
2. 幼児のストレスの特徴
(1)幼児期前期(4歳ぐらい)の場合
いやな出来事(ストレッサー)に耐えることができないため、ストレス反応が出る。4歳までの幼児は、言葉で自分の状態を表現出来ないために、身体的、行動的な反応症状が現れ、ストレス反応として「たたく、つねる、泣く、物を投げる、叫ぶ、熱が出る吐く、食欲がなくなる、ものが食べれない」等がある。
(2)幼児期後期はストレスに耐えることができる
4歳以降になると、子どもはお母さんとのコミュニケーションにより「がまん」することができるようになり、自分でコントロールをすることを自然に憶えてくる。
特にストレス反応として多いのは、おねしょ、頻水、嘔吐、下痢、指しゃぶり、爪かみ、脱毛、登園拒否等がある。
(3)母親からのストレス
お母さんとの関係で生じるストレスが多い。幼児は常に母親べったりで暮らしている。いい意味でも、悪い意味でも母親の影響を受けやすい。母親の精神状態にも左右される。マイナスのストロークとプラスのストロークでは子どもの気持ちにも大きく変化がある。
母親が何か心配事でもあって気持ちが沈んでいると、子どもの気持ちも沈む、お母さんが常に元気でいきいきしていると、子どもも元気でいきいきした子どもになる。母親が変わると子どもも変わる。親の接し方ひとつで、子どもをストレスから守ることができる。
(4)他者からのストレス
おじいちゃん、おばあちゃん、その他の人からのストレスを受ける場合も多い。たとえば両親が離婚した子どもの場合、家族の中にいない人(母親)の悪口を子どもの前でよく話したりすると、その影響は特に大きい。このような場合は登園拒否につながる場合もある。母親の変わりは出来ても、母親にはなれない、ぬくもりが欠乏してもストレスを起こしやすい。
(5)最近の遊びはストレスの解消になっていない
現代的な特徴として、遊びが減少し、遊びがストレス解消の役割を果たせなくなっている。お習い事などで、幼児教室に通うのが増え、幼児の生活も忙しくなった。ゆっくりと食事を取る時間もなく、屋外で安心して、ゆったり遊べる場も減っている。十分遊びが出来ないとストレスとなる。
親の思いで、好きでもない勉強や習い事を強いられ、運動量も汗をかくことも、お腹から笑うことも少なくなっている。この頃の子どもには、心配り、ぬくもりが重要である。しつけの基本(アメとムチ)を上手に使い分けないとストレスの原因になることもある。
3. 小学生のストレスの特徴
(1)友達からのストレスが強い
友達からのストレスが強く、それが多様なストレス反応を生むことがある。友達との関係から生まれるストレッサーは、ストレス反応が強く、危険なストレッサーと言える。
(2)ストレス解消には
マンガ、ゲーム類(テレビゲームなど)、インターネットなどはストレスの解消に有効である。ゲーム類は心理的にストレスが解消されることはあっても、身体的にストレス解消されることは少ない。またストレス発生期には、流汗悟道(身体を動かし汗をかく)など体を動かす運動も大いにすすめたい。
ストレッサーがあっても適度の運動により、それを忘れさせることもできるし、新たに健康なエネルギーを湧き出させる源泉にもなる。
(3)学校崩壊もストレスの結果である
最近起きている「学校崩壊」はストレスが関係している。従来の学校教育のしかたでは子どもが満足できない。先生とのコミュニケーションをしっかり取り、子どもの気持ち、欲求や個性をよく理解し、学校環境の改善を望みたい。また、家庭教育の見直しも必要である。
4. ストレスに強い子どもに育てるには
ストレッサーやストレスは、生きている限り避けられないのである。家庭環境の中でコミュニケーションをしっかり取り、身体の健康と心の健康を融合して、食生活の豊かさの中で、ストレスに対処できる強いこどもに育てる努力をしっかりとしなければならない。
5. ストレスが多い子どもへの接し方
(1)親子でしっかりコミュニケーションを取る。
(2)食生活の中で、楽しく、明るい環境を作る。
(3)子どもの話をしっかり聴く→コーディネイション(傾聴)
子どもの話をしっかり聴くことにより、気持ちが楽になる。これは、心理学の「カタルシス効果」である信頼関係ができる。
(4)子どもの気持ち、立場になって話を聴き、一緒に考えてあげる→これを「共感」という。
子どもには、親のぬくもりや添う工夫が心を立ち直らせ、自信を持って育てることができる。
(5)個性を認める
子どもが自信をなくしている場合「子どもの長所」を見つけ勇気づけさせ自信をもたせる。→「受容」である。
(6)ほめる
ほめられることは、とてもうれしいのである。ほめることは人間関係をよくし、コミュニケーションをより良くして行くことができる。心が和み、豊かな心に育てることができ嬉しいものだ。
(7)気分転換
ストレスの多い子どもには、親が積極的に気分転換をはかれるよう協力をすることが大切である。
6. むすび
ストレスに強い子どもを育てるには、まず親がストレスを溜めないことである。子どもがストレス(ストレッサー)に耐える力、ストレスに上手に対処できる方法は次のとおりである。
(1)自分を常に肯定的(そうだよ・・・と認めること)にとらえる。
(2)楽天的(物事をのんきに)な考え方をする。
(3)嫌なことでも一度、間を取って考えてみる。
(4)嫌なことでも自分の思い通りにならないことを知る。
(5)周りの人に助けてもらっていると感じられる人間に育てる。
(6)たくましい体とおもいやりの心をつくる。
以上の6点は親がサポートすることにより、子どもに社会的なサポート感を持たせることがストレスに強い子どもをつくる。
母親からのサポートは乳幼児期に形成される「愛着」であり「心の絆」である。母親は自分を大切にしてくれる人、何があっても自分を見離さず受け入れてくれるという自信を持たせることにある。
家計を支えて不在がちな父親に対する感謝の心、大きな存在感と頼りがいのある、強くてこわい、そして時には、やさしい父親像を小さいときに話して聴かせるのは、母親の役目であると思う。
父親の存在は、子どもを健全に育てる要因である。これは、まさしく家庭危機管理である。
以上
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