|
家屋評価に関する調査研究 概要紹介
(1)木造在来構法家屋とプレハブ構造家屋の評価方法の共通化等について
固定資産評価基準において、在来構法家屋と整合していない木質系及び軽量鉄骨系プレハブ構造家屋の主体構造部の取扱いを中心に、鉄筋コンクリート系プレハブ構造家屋の評価の本則化等も併せ、在来構法家屋とプレハブ構造家屋の評価方法の共通化・統一化に向けての調査研究を行った。
具体的には、木造在来構法家屋、木質系プレハブ構造家屋、枠組壁体構造家屋については、これらがともに評価できる木造家屋改正試案を作成し、この試案の検証を行った。
また、軽量鉄骨系プレハブ構造家屋の固定資産評価を行う際に適用する基準表は、現行の固定資産評価基準では、非木造軽量鉄骨造本則(以下「軽鉄本則」)とプレハブ軽量鉄骨造準則(以下「軽鉄準則」)の2つが存在する。しかし、人口10万人以上の市及び特別区において、平成13年中に建築された軽量鉄骨造住宅・アパート用家屋約48,000棟について調査を行ったところ、軽鉄準則による評価を行ったものが全体の97%に及んだことから、調査対象とした家屋のうち97%はプレハブ構造家屋であると考えられる調査結果が得られた。このことから、軽量鉄骨造住宅で一般的であるプレハブ構造家屋に適用している、軽鉄準則を基礎に所用の調整を行い、実態により適合させ、2つの基準表の統合がはかれる軽鉄改正試案を作成し、この試案の検証を行った。
重量鉄骨プレハブ構造家屋は、構造的に重量鉄骨在来構法家屋と変わりがないことから、この家屋の評価は非木造本則によるものとし、重量鉄骨の評点数やその補正項目を改正した改正試案を作成し、この試案の検証を行った。
その結果、各構造の改正試案による評価と現行基準による評価により算出される再建築費評点数では、改正試案による評価でも評点数には大きな変動を生じさせないという結果が得られたことや、家屋評価の一層の合理化・簡素化が求められている状況、近年のプレハブ住宅の建築コストの動向等を勘案して、これらの各構造の改正試案は合理的なものであるとし、プレハブ準則の評点基準表3種のうち木質系を木造本則に統合、軽鉄系を軽鉄本則に統合する評点基準表改正試案をとりまとめた。
なお、鉄筋コンクリート系プレハブ家屋の評価については、積算方法や補正項目等の検討すべき事項も残されたため、この取扱いは今後の検討課題とした。
(2)在来構法家屋とプレハブ構造家屋の施工方法等に係る最近の動向について
近年、プレハブ構造家屋のバリエーションの多様化が急速に進んでおり、事実上個別注文住宅化している現状にあり、また新築家屋の高品質化、高性能化等が指摘されている。そこで本研究では、このような実態を明らかにするため、在来構法家屋とプレハブ構造家屋の施工方法等についての最近の動向等について調査研究を行った。
その結果、木造在来構法住宅に用いられている軸組構法は、軸組部材の機械プレカット、壁、床、屋根を含むパネル化、などのプレハブ技術が普及していることや、接合金物の改良、プラットフォーム構法の導入、断熱性、気密性、耐久性などの性能の向上がみられた。
また、プレハブ住宅は、2000年までは、工業化住宅性能認定を受けたもののみを指すのであり、制度の上では明確に定義づけられていたが、同年の建築基準法の改正および住宅の品質確保の促進等に関する法律の制定に伴って、現在では、工業化住宅性能評定、型式適合認定などの制度の中で、プレハブ住宅に関する認定が行われるようになった。このことから、プレハブ住宅以外の構法を扱うハウスメーカーのものにも、新しい制度の認定を受けているものがあり、次第に工業化構法とその他の構法のちがいが小さくなる傾向にあることが伺えた。
プレハブ建築協会会員企業が生産しているプレハブ戸建住宅を対象とした調査では、各部分別の構造体では、各構法とも各々独自の特徴のあるものであるが、内外装や設備については、メーカーによる差違はほとんど見分けられず、各社とも、建て主に対し、高性能であることとともに、幅広く注文に対応できることを重視しており、特に、鉄鋼系と木質系については、一部の、構造体に箱型ユニットを採用しているものを除けば、メーカーによる差違は見分けが困難であるのが現状であり、この事情が在来木造住宅や、ツーバイフォー住宅にも概ね当てはまるといった傾向であることが判明した。構造では、各構法とも構造材料や生産方式の特徴が反映されている一方、内外装や設備については、メーカーによる差異は見分けにくく、むしろ、各メーカーとも、個別の注文への対応に力を入れている状況であり、その結果、ひとつのメーカーが造っている住宅とはいえかなり多彩であることが判明した。構造種別ではコンクリート系のもの、および、外装にALC(軽量気泡コンクリート)版を用いている構法については、外観に用いられているPC版またはALC版の表情が表現されるデザインが多く、これらについてはメーカーや構法の特徴が外観にもよく現れていること。一方、従来は構法の特徴が外観に顕著に表現されているものが多かった箱型ユニットを用いる構法による住宅は、屋根に勾配屋根を用い、外装には一般的な外装材を用いているものが増加し、これらも構法の特徴は外観からは捉えにくくなっている状況が伺えた。
|