日本財団 図書館


レクチャー及び事前説明会
 
掲揚中の財団旗
 
0220
ご両親からのメッセージ・1
 
 学校で『あこがれ』を見学し、「乗りたい!」と言い出したA。出航までは四日しかなく、海や船旅への不安で母親の私はいっぱいでした。それから、何度も停泊中の『あこがれ』を見に行き、あまりに小さく感じるその船体に私の不安は大きくなりました。父親は「行きたければ行かせれば。」と話す一方で、「船酔いってさぁ・・・」と脅す私。夜中まで話し合い、泣く泣く乗船を断念してくれたAでした。が、出航前日の夕方、「やっぱり行きたい。」と言い出し、もはや私は観念してしまいました。
 出航。沖を進む『あこがれ』は、防波堤の向こうに見え隠れ。どんなに揺られても、もうAには連絡が取れません。航海の様子を知る唯一の情報源が『あこがれ』のホームページでした。航海日記の写真にAの姿を探し、家族みんなでパソコンをのぞき込みました。
 三日後、直江津港に下りたAの第一声は、「今度はもっと長く乗りたい。」でした。船の中の出来事を次から次に話すAに、今までの不安をすっかり忘れ、「また、機会があれば行かせたい。」と心から思った私です。
 電車やバスでなく、しかも初対面の人の中での一人旅恥ずかしながら、体験航海へのAの参加は、私の子離れの大きな試練だったように感じます。親が思うほど子どもは子どもではないよと自信と満足感を得たらしい今のAの姿が教えてくれます。
 年齢や住む地域が違う人々との船上での出会いで、彼がどうかわったかは分かりませんが、少なくとも家族との会話や妹弟との関係には、ちょっぴり大人っぽくなった彼をしばしば見掛けるようになりました。
 こんなまたとないチャンスに、Aが小五のこの時期に体験できたことを県の皆様、「あこがれ」のクルーの皆様に心から感謝しています。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION