4. 仕組みの実装
4.1 ebXMLビジネスプロセス仕様とサービスインターフェイス構成
ビジネスプロセスシナリオを記述した文書の作成、CPP/CPAの作成、及びビジネスサービスインターフェイス構成の作成方法及び関連は、通常、図7に示した処理を経て作成される。
(1)ビジネスプロセス情報モデルの作成
UMM(UN/CEFACT Modeling Methodology、ビジネスプロセスのモデリング手法)に基づいてビジネスプロセス情報モデルを作成する。
(2)ビジネスプロセス文書の作成
上記のビジネスプロセス情報モデルとebXMLビジネスプロセス仕様スキーマ(BPSS)を用いて、ebXML準拠のビジネストランザクションを実行するためのビジネスプロセスを定義した文書を作成する。この文書を「ビジネスプロセス文書(Process-Specification Document)」と呼ぶ。このビジネスプロセス文書は、上記のビジネスプロセスモデリングを実施しないで、既存のビジネスプロセス基準から直接生成することも可能である。
(3)CPP/CPAの作成
ビジネスプロセス文書は、ビジネスプロセスシナリオを定義した文書であるが、一部のパラメータはCPP/CPA生成のインプットともなる。
(4)ビジネスサービスインターフェイス構成の作成
作成・合意されたCPAは、ebXML準拠のビジネスサービスインターフェイスソフトウェアのための構成情報として利用される。具体的にはebXMLメッセージングサービス仕様に基づいたビジネス電文のヘッダー情報に利用される。
図7 ビジネスプロセス仕様とサービスインターフェイス構成
4.2 ビジネスプロセスの事例
ビジネスプロセスの事例としては、ロゼッタネットが既に130以上のPIP(Partner Interface Process)を標準化している。ここで紹介する電子コラボレーションの例示は、RosettaNet PIP3A4(受発注処理)を題材としている。
PIP3A4で定義されている受発注処理は、ebXML BPSS仕様上はサービス「Service」として位置付けられる。この一連の受発注処理は、2つのビジネス動作(バイヤーからの注文書の発行とセラーからの注文請書の発行)を持つが、これらはアクション「Action」として位置付けられる。PIP3A4のビジネストランザクション会話は図8の順序交換される。
図8 ロゼッタネット受発注処理シーケンス
1. 注文書(発信元:バイヤー)
1.1. 受信確認(発信元:セラー)
1.2. 注文請書(発信元:セラー)
1.2.1. 受信確認(発信元:バイヤー)
4種のビジネス電文交換の制御パラメータは表1で定義されている。
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表1 ロゼッタネットPIP3A4交換制御
(表1の内容の説明)
・注文書と注文請書の電文の受信確認までの時間は2時間以内(Time to Acknowledge Receipt Signalで定義)
・注文書発行から注文請書受信までの時間は24時間以内(Time to Respond to Actionで定義)
・これらの4種のメッセージは全て、アクセス権許可(Authorization)、否認防止(Non-Repudiation)、セキュア通信(Secure Transport)の各機能を実装して通信を実施する。
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4.3 ビジネスプロセス文書
PIP3A4の受発注処理のビジネスプロセス(BP)は、ebXML BPSS仕様を使用して、以下のようにXMLベースの電子文書として記述できる。このようにBPが電子化されると、様々なBPを個別にアプリケーションソフトとして開発する必要がなくなり、BPに関するシステム実装が容易になる。
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本ビジネスプロセス文書は、以下の3部分から構成している。
(1)ビジネス電文の定義(Business Document)
・2つのビジネス電文が定義されている。(‘Purchase Order Request’と‘Purchase Order Confirmation’)
・これらのビジネス電文の項目仕様(標準メッセージ)は、specificationLocationで指定された仕様書に定義されている。
(2)ビジネストランザクションの定義(Business Transaction)
・1つのビジネストランザクションが定義されている。このビジネストランザクションは2つのアクションを持っている(‘Purchase Order Request Action’と‘Purchase Order Confirmation Action’)。このトランザクションが利用するビジネス電文をリンクしている。
・このビジネストランザクションの部分でセキュリティに関するパラメータを定義している。(‘isAuthorizationRequired’など)
(3)バイナリーコラボレーションの定義(2者間の関係の定義)
・このエレメントの配下で、役割(‘Buyer’と‘Seller’)、及びコラボレーションに関係するパラメータを定義している、例:‘timeToPerform’
4.4 CPP/CPA文書
CPP文書には、各取引当事者(一般的には企業、大企業の場合は事業部など)がインターネットを利用しての電子商取引での可能なIT技術に関する能力を記述する。CPA文書は、取引当事者間で合意した文書であり、その内容はCPP文書に準じる。(ebXML CPPA V1.09)記述する項目は、売買における自身の役割(バイヤー又はセラー)、採用するビジネスプロセス文書(Process-Specification Document)の指定、採用する通信プロトコル、信頼性メッセージ搬送仕様、否認防止仕様、ディジタル封筒仕様などがある。
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(上記のCPP文書の説明)
・会社名は‘CompanyA’であり、企業識別子としてDUNSナンバーを採用し、番号は‘123456789’である。売買の役割はバイヤーである。
・ビジネストランザクションのアクション毎、及び送信・受信毎に通信仕様およびビジネス電文交換仕様を定義できる。(ServiceBindingエレメント、DeliveryChannelエレメントによる。)
・通信プロトコルとして、HTTP V1.1、通信セキュリティプロトコルとしてSSL V3.0を採用する。(Transportエレメント)
・ビジネス電文交換仕様として以下を実施する。(DocExchangeエレメント)
−信頼性メッセージ交換を実施する。リトライ回数は3回、インタバルは2時間。(ReliableMessagingエレメント)
−否認防止を実施する。否認防止プロトコルはxmldsig、ハッシュ関数はsha1、署名アルゴリズムはdsa-sha1。(NonRepudiationエレメント)
−ディジタル封筒仕様として、S/MIME V2.0に準拠する。暗号化アルゴリズムはDES-CBCを採用する。
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