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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 乗揚事件一覧 >  事件





平成14年那審第25号
件名

プレジャーボート光正丸乗揚事件(簡易)

事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成14年11月28日

審判庁区分
門司地方海難審判庁那覇支部(金城隆支)

理事官
平良玄栄

受審人
A 職名:光正丸船長 海技免状:四級小型船舶操縦士

損害
船底に破口、浸水し、のち廃船

原因
針路保持不十分

裁決主文

 本件乗揚は、針路の保持が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。
 
適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
 
裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成14年5月5日19時00分
 沖縄県糸満漁港

2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボート光正丸
総トン数 3.27トン
登録長 8.72メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 139キロワット

3 事実の経過
 光正丸は、FRP製プレジャーボートで、A受審人が1人で乗り組み、友人1人を乗せ、夜釣りの目的で、船首0.6メートル船尾1.0メートルの喫水をもって、平成14年5月5日18時40分沖縄県糸満漁港を発し、同漁港南西方の釣り場に向かった。
 18時53分半少し過ぎA受審人は、糸満港南水路第5号灯浮標(以下、灯浮標の名称については「糸満港南水路」の冠称を省略する。)から130度(真方位、以下同じ。)40メートルの地点で、針路を220度に定め、機関を全速力前進にかけ、6.0ノットの対地速力で、手動操舵により進行した。
 18時58分少し前A受審人は、第4号灯浮標を左舷正横80メートルに航過したとき、針路を、第1号灯浮標を右舷船首方に見る226度に転じた。
 18時59分A受審人は、第4号灯浮標から247度230メートルの地点に達したとき、復航時が夜半になることから、GPSプロッターに往航時の航跡を入力しておこうと思い、GPSプロッター画面の表示が小尺度となっていたので大尺度に切り替えることとし、右手で舵輪を握り、左手でGPSの操作を始めた。
 A受審人は、GPSの操作を行うことに気を取られ、第1号灯浮標を目視して針路の保持を十分に行わないまま進行しているうち、船首が右回頭し、水路を逸脱してさんご礁帯に向くようになったが、このことに気付かないまま続航中、光正丸は、19時00分第4号灯浮標から250度410メートルの地点において、船首を270度に向けて、同礁帯に乗り揚げた。
 当時、天候は晴で風力3の東風が吹き、潮候は下げ潮の中央期であった。
 乗揚の結果、船底に破口を生じて浸水し、のち廃船処理された。

(原因)
 本件乗揚は、糸満漁港において、同漁港南西方の釣り場に向けて航行する際、針路の保持が不十分で、水路を逸脱し、さんご礁帯に向けて進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、糸満漁港において、同漁港南西方の釣り場に向けて航行する場合、第1号灯浮標を目視して針路の保持を十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、GPSの操作に気を取られ、針路の保持を十分に行わなかった職務上の過失により、水路を逸脱し、さんご礁帯に向いていることに気付かないまま進行して乗揚を招き、船底に破口を生じさせ、のち廃船に至らしめた。





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