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平成14年仙審第41号
件名

漁船第38勝成丸防波堤衝突事件(簡易)

事件区分
衝突事件
言渡年月日
平成14年12月3日

審判庁区分
仙台地方海難審判庁(上中拓治)

理事官
熊谷孝徳

受審人
A 職名:第38勝成丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
船首部を圧壊し球状船首に破口

原因
居眠り運航防止措置不十分

裁決主文

 本件防波堤衝突は、居眠り運航の防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。
 
適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
 
裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年6月15日04時00分
 新潟港西区

2 船舶の要目
船種船名 漁船第38勝成丸
総トン数 19.51トン
登録長 17.87メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 558キロワット

3 事実の経過
 第38勝成丸(以下「勝成丸」という。)は、いか釣り漁業に従事するFRP製漁船で、A受審人ほか1人が乗り組み、操業の目的で、船首0.5メートル船尾2.0メートルの喫水をもって、平成13年6月14日11時30分新潟港西区を発し、佐渡島北方海域で操業していか約1トンを漁獲した後、翌15日00時30分弾埼灯台から037度(真方位、以下同じ。)9.2海里の地点より帰途に就いた。
 A受審人は、単独で船橋当直にあたり、機関を10.3ノットの全速力前進にかけ、針路を新潟港西区の入り口付近に向首する144度に定め、自動操舵により進行した。
 03時42分A受審人は、新潟港西区第2西防波堤灯台(以下「防波堤灯台」という。)から327度3.0海里の地点に至り、レーダーにより港の入口付近に船舶などがいないことを確認したのち、椅子に腰掛けて当直に従事していたところ、連日の夜間操業による睡眠不足のため、眠気を催すようになったが、居眠りすることはあるまいと思い、休息中の他の乗組員を昇橋させて見張りを手伝わせるなどの居眠り運航の防止措置をとらずに続航した。
 こうして勝成丸は、A受審人がまもなく居眠りに陥り、04時00分防波堤灯台から023度300メートルの地点において、原針路、原速力のまま、第2西防波堤の北端付近に衝突した。
 当時、天候は曇で風はほとんどなく、視界は良好であった。
 衝突の結果、勝成丸は船首部を圧壊し球状船首に破口を生じた。

(原因)
 本件防波堤衝突は、夜間、漁場から新潟港西区に帰港する際、居眠り運航の防止措置が不十分で、当直者が居眠りに陥り、防波堤に向首したまま進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、夜間の操業を終え、単独で船橋当直にあたり、佐渡島北方沖合の漁場から新潟港西区に向けて自動操舵により帰航中、椅子に腰掛けていて眠気を催した場合、連日の夜間操業により睡眠不足の状態であったから、居眠り運航とならないよう、休息中の他の乗組員を昇橋させて見張りを手伝わせるなどの居眠り運航の防止措置をとるべき注意義務があった。しかるに、同人は、居眠りすることはあるまいと思い、他の乗組員を昇橋させて見張りを手伝わせるなどの居眠り運航の防止措置をとらなかった職務上の過失により、居眠りに陥り、防波堤に向首したまま進行して衝突を招き、船首部を圧壊し球状船首に破口を生じさせるに至った。





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