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平成14年第二審第18号
件名

プレジャーボートマシ キャット号
プレジャーボートキャピタルグラウンド号衝突事件〔原審横浜〕

事件区分
衝突事件
言渡年月日
平成14年12月20日

審判庁区分
高等海難審判庁(山崎重勝、佐和 明、東 晴二、吉澤和彦、山田豊三郎)

理事官
保田 稔

受審人
A 職名:マシキャット号船長 海技免状:四級小型船舶操縦士
B 職名:キャピタルグラウンド号船長 海技免状:四級小型船舶操縦士

損害
マ号・・・正船首から右舷側中央部外板に損傷
船長と同乗者2人が左中指基節骨粉砕骨折等
キ号・・・左舷中央部の外板及び甲板等に亀裂等
船長と同僚が頸椎捻挫等

原因
マ号・・・見張り不十分、茨城県水上安全条例(避航動作)不遵守(主因)
キ号・・・見張り不十分、茨城県水上安全条例(衝突回避措置)不遵守(一因)

二審請求者
受審人B、補佐人篠島正幸及び同岡林俊夫

主文

 本件衝突は、マシ キャット号が、右舷側を航行するキャピタルグラウンド号の進路を横切り、衝突のおそれがあった際、見張り不十分で、同号の進路を避けなかったことによって発生したが、キャピタルグラウンド号が、見張り不十分で、衝突を避けるための措置をとらなかったことも一因をなすものである。
 受審人Aの四級小型船舶操縦士の業務を1箇月停止する。
 受審人Bを戒告する。
 
理由

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成12年8月4日14時31分
 茨城県北浦

2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボート マシキャット号 プレジャーボート キャピタルグラウンド号
全長 5.80メートル 5.53メ−トル
機関の種類 電気点火機関 電気点火機関
出力 147キロワット 128キロワット

3 事実の経過
(1)マシ キャット号
ア 船体構造等
 マシ キャット号(以下「マ号」という。)は、登録長5.21メートル幅2.33メートル深さ0.75メートルで、平成8年5月16日第1回定期検査を受け、航行区域を平水とし、最大搭載人員4人の、バスボートと称する、船体塗色が白色のFRP製プレジャーボートで、A受審人の勤務する会社が船舶所有者から売船を依頼され、北浦南西湖岸にある株式会社潮来マリーナ(以下「マリーナ」という。)に陸揚げ管理されていた。
 甲板は、船首端後方2.90メートルのところから船尾方約1.5メートルが、両舷側にわたって、深さ約0.5メートルの凹部となっており、凹部の船首方及び船尾方が平甲板で、凹部の右舷側に操舵席、その左舷側に二人用の座席が、船首尾各甲板に起倒式の回転椅子各1個が設置されていた。
 船首甲板には、船首端から左舷舷側に沿って、直径約30ミリメートル、長さ約1メートルの鋼製丸棒の下端に推進部が取り付けられた簡易電動推進器が、推進翼を船首端上になるように架台に格納されていた。
 操舵位置には、操舵輪のほか機関回転計、速力計、燃料計等を組み込んだ操縦台があり、操舵席の右舷舷側に機関の前後進切り替え用のクラッチレバーが、足下に速力調整用のアクセルペダルがそれぞれ設置されていた。
イ 速力等
 機関の最大回転数毎分6,200及び回転数毎分750の速力がそれぞれ75ノット(時速約139キロメートル)及び2ノット(時速3.7キロメートル、以下、速力は時速でキロと表示する。)で、適宜、アクセルペダルによって回転数を調整して運航され、停止状態から増速するに従って船首の浮上が始まり、約35キロに達すると滑走状態となり、甲板が水面とほぼ平行になって前路を十分に見通すことができた。
(2)キャピタルグラウンド号
ア 船体構造等
 キャピタルグラウンド号(以下「キ号」という。)は、登録長5.18メートル幅2.31メートル深さ0.78メートルで、平成12年4月27日第1回定期検査を受け、航行区域を平水とし、最大搭載人員4人の、バスボートと称する、船体塗色が白色のFRP製プレジャーボートで、運航されないときにはマリーナに陸揚げ保管されていた。
 甲板は、船首端後方2.90メートルのところから船尾方約1.5メートルが、両舷側にわたって、深さ約0.5メートルの凹部になっており、凹部の船首方及び船尾方が平甲板で、凹部の右舷側に操舵席、その左舷側に二人用の座席が、船首尾各甲板に起倒式の回転椅子各1個が設置されていた。
 船首甲板には、船首端から左舷舷側に沿って、直径約30ミリメートル、長さ約1メートルの鋼製丸棒の下端に推進部が取り付けられた簡易電動推進器が、推進翼を船首端上になるように架台に格納されていた。
 操舵位置には、操舵輪のほか機関回転計、速力計、燃料計等を組み込んだ操縦台があり、操舵席の右舷舷側に機関の前後進切り替え用のクラッチレバーが、足下に速力調整用のアクセルペダルがそれぞれ設置されていた。
イ 速力等
 機関の最大回転数は、毎分6,000で120キロの速力で航行できるが、慣らし運転中であることから、回転数毎分4,500、80キロ以下の速力で運航され、停止状態から増速するに従って船首の浮上が始まるが、約35キロの速力に達すると滑走状態となり、甲板が水面とほぼ平行になって前路を十分に見通すことができた。
 また、80キロの速力における停止距離は30ないし50メートルで、同時間は10ないし15秒であった。
(3)受審人
ア A
 A受審人は、昭和63年1月四級小型船舶操縦士免許を取得し、ボート販売会社の社員として、主として北浦において機関の修理、船舶検査の手続き及び立会に当たるほか、ボート購入希望者に対する試乗運航に当たっていた。
イ B
 B受審人は、釣具販売会社の社員で、平成4年3月四級小型船舶操縦士の免許を取得し、休日等には北浦においてプレジャーボートを運航してブラックバス釣りを行っていたところ、新たにキ号を兄と共同で購入し、本件発生時は5回目の運航であった。
(4)発生水域付近の状況
 北浦は、霞ヶ浦の東に位置する、南北の長さが約24キロメートル、東西の幅が最大4キロメートルの利根川に接続する湖沼で、中央部には、西岸の麻生町白浜地区と東岸の鹿嶋市掛崎地区を結ぶ、長さ約1,250メートルの北浦大橋が架かっていた。
 マリーナは、北浦大橋の南方約3キロメートルの西岸にあり、バスボートやモーターボート等のプレジャーボートをトレーラーに載せた状態で保管しており、北側に3本の桟橋を設けたスロープがあり、北東方対岸の鹿嶋市居合地区の湖岸まで約2キロメートルであった。
(5)事件発生に至る経緯
 マ号は、A受審人が乗り組み、バスボート購入希望者2人を操舵席の左舷側に同乗させ、試乗運航の目的で、平成12年8月4日14時27分ごろ船首0.0メートル船尾0.4メートルの喫水をもってスロープから着水浮上した。
 A受審人は、南東方に向けて航行する予定であったところ、着水後船首を北東方に向けたとき、前路140メートルばかりに船首を南に向けて停留しているキ号を認めたので、同号を右舷側に見て北上したのち南下することとし、14時28分少し前潮来町釜谷地区にある釜谷三角点(標高約35メートル)から036度(真方位、以下同じ。)760メートルの地点を発し、微速力でスロープに沿って北西方に航行を始めた。
 14時28分わずか過ぎA受審人は、キ号を右舷船尾方220メートルばかりに見るようになったとき右舵をとり、北浦大橋の方に向けて50キロ(対地速力、以下同じ。)で北上を始め、同時29分わずか過ぎ釜谷三角点から012度1,600メートルの地点で、機関冷却水の排出状況を見るため右舷船尾方を振り向いたとき、発進時に認めた地点付近にキ号を認めてそのまま北上を続け、間もなく小舵角の右舵をとり右転を始めた。
 14時29分52秒A受審人は、釜谷三角点から015度2,250メートルの地点に達したとき、速力を50キロから徐々に増速しながら、針路を南東方に向けるため右舵の舵角を増して右転を続け、同時30分12秒釜谷三角点から024度2,265メートルの地点において、針路を131度に定め、61.7キロになっていた速力を更に増速しながら進行した。
 定針したときA受審人は、右舷船首47度1,100メートルのところにキ号を認めることができ、その後同号との接近状況から互いに進路を横切り、衝突のおそれがあることを知ることができたが、機関冷却水の排出状況を見るため右舷船尾方を振り向いたとき、発進時に認めた地点付近に同号を認めていたことからそのまま停留しているものと思い、見張りを十分に行わなかったので、これに気付かず、行きあしを停止するなどして同号の進路を避けないで続航した。
 14時30分45秒A受審人は、釜谷三角点から040度2,150メートルの地点に達し、速力が81.1キロとなったとき、キ号が右舷船首47度390メートルに接近したが、依然としてこれに気付かないで進行中、同時30分57秒右舷船首47度64メートルに接近したキ号に気付き、左舵をとってアクセルペダルから足を離したが、及ばず、14時31分釜谷三角点から049.5度2,190メートルの地点において、マ号は、船首が101度を向き、90キロの速力でキ号の左舷中央部に後方から43度の角度で衝突した。
 当時、天候は晴で風力2の南東風が吹き、視界は良好であった。
 また、キ号は、B受審人が乗り組み、会社の同僚1人を乗せ、船首0.0メートル船尾0.4メートルの喫水をもって同日07時ごろマリーナを発し、適宜釣り場を移動しながらブラックバス釣りを行い、昼食をとるために12時ごろマリーナ桟橋に帰着した。
 昼食後、B受審人は、13時ごろから北浦大橋付近のポイントで釣りを行った後、同僚に操舵させて14時25分ごろマリーナのスロープ沖に至り停留した。
 B受審人は、停留中、マ号が桟橋を離れて北方に向かっているのを認め、もう少しの間対岸の居合地区沖で釣りを行うこととし、同僚と操舵を交替して14時29分釜谷三角点から036度880メートルの地点を発し、針路を058度に定め、機関を前進にかけて徐々に増速しながら進行した。
 14時29分52秒B受審人は、速力が35キロになったとき、左舷船首65度1,320メートルのところで、北上していたマ号が南東方向に向けて右転を始めたが、その航行模様には注意していなかったので、これに気付かなかった。
 14時30分12秒B受審人は、釜谷三角点から044度1,350メートルの地点に達し、速力が48.3キロとなったとき、左舷船首60度1,100メートルにマ号を認めることができ、その後の接近状況から互いに進路を横切り、衝突のおそれがあることを知ることができたが、発進前に同号が北方に向かっていたのを認めていたことから、同号が南下することはないと思い、見張りを十分に行っていなかったので、これに気付かないで続航した。
 14時30分45秒B受審人は、釜谷三角点から048度1,900メートルの地点に達し、速力が70.1キロとなったとき、左舷船首60度390メートルに接近したマ号と衝突の危険があったが、依然としてこれに気付かず、行きあしを停止するなどの衝突を避けるための措置をとらないで進行中、同時30分58秒左舷船首74度37メートルに接近したマ号を認めたもののどうすることもできず、キ号は、原針路のまま80キロの速力で、前示のとおり衝突した。
 衝突の結果、マ号は船首に備え付けの簡易電動推進器及び正船首から右舷側中央部にわたる外板に損傷を、キ号は左舷中央部の外板及び甲板等に亀裂等を伴う損傷をそれぞれ生じた。また、マ号の3人が衝撃で船外に飛ばされ、A受審人が左中指基節骨粉砕骨折を、他の2人が左膝関節内側側副靱帯断裂等を、及びキ号のB受審人が頸椎捻挫等を、同僚が左下腿部打撲等をそれぞれ負った。

(主張に対する判断)
1 マ号及びキ号の速力について
 マ号側補佐人及びキ号側補佐人は、両号の衝突時の速力について、互いに相反する主張をするので、以下両号の衝突前及び衝突時の速力について検討する。
 A受審人は、マ号の速力について、同受審人に対する質問調書中及び原審審判調書中、「針路を南東方に向けるため右舵をとり、アクセルペダルによって50キロから70キロまで徐々に増速した。衝突直前にキ号を認め左舵をとり、アクセルペダルから足を離したので10キロぐらい減速して衝突したと思う。」旨、及び当廷において、「高柳巡査部長作成の捜査報告書写中、衝突時90キロであった旨の記載があるのは、衝突直後の気が動転しているときの供述に基づくもので間違いである。」旨それぞれ供述する。
 一方、B受審人は、キ号の速力について、同受審人に対する質問調書中、原審審判調書中及び当廷において、「発進後徐々に増速し、回転数が4,500を表示するころ相手船を認めた。同回転数の速力は80キロである。」旨供述し、高柳巡査部長作成の捜査報告書写中にも80キロの速力で衝突した旨の記載がある。
 衝突時の両号の各速力は、両号の船体の損傷模様及びマ号の船首に格納された簡易電動推進器の鋼製丸棒の曲損状態から、マ号がキ号より速い速力で、マ号船首がキ号の左舷中央部に後方から衝突したことが認められるが、両受審人の供述以外の証拠では、これを具体的に認定できない。
 そこで、キ号の衝突時の速力をB受審人が一貫して供述している80キロとすると、マ号の衝突時の速力は、80キロ以上であったことになり、具体的な速力として90キロが証拠にあるので、マ号が北浦大橋の方に向けて北上を始めてから転舵まで50キロ、転舵後50キロから90キロまで、キ号が停留状態から発進して80キロまで、それぞれ一定加速度で増速して衝突したとすると、両号の発進から衝突までの接近模様を矛盾なく説明できるので、マ号が転舵後50キロから、キ号が停留状態からそれぞれ一定加速度で増速し、マ号が90キロ、キ号が80キロで衝突したものと判断する。
2 マ号及びキ号の接近時の態勢について
 キ号側補佐人は、「前路の見張りを行っていたB受審人がマ号を認めておらず、同号に気付いたときにはキ号を追いかける態勢であり、衝突角度及び両号の損傷模様から、マ号がキ号を追い越す態勢で接近した。」旨主張する。
 しかし、衝突角度及び両号の損傷模様からマ号がキ号の後方から衝突したことは明らかであるが、衝突事件における適用航法は、衝突のおそれが発生した時点の態勢で判断しなければならない。
 両号の衝突のおそれは、マ号が衝突直前に左転した時点ではなく、同号が針路を131度に定めた時点で発生しており、このとき互いに進路を横切る態勢であり、この態勢のまま接近して衝突に至ったもので、B受審人が視認したマ号の衝突直前の態勢、衝突角度及び両号の損傷模様をもって、マ号がキ号を追い越す態勢で接近した旨のキ号側補佐人の主張は採ることができない。
3 適用航法について
 本件は、茨城県北浦で発生したものであり、海上衝突予防法は適用されず、茨城県水上安全条例(以下「水上安全条例」という。)が適用される。
 水上安全条例は、第3条に「水域において、船舶を操縦する者(以下「操縦者」という。)は当該船舶の操舵装置その他の装置を確実に操作し、かつ周囲の状況に応じ、安全な速力と航法で航行しなければならない。」と定め、第4条第1項に「動力船の操縦者は、水域において、次の各号に掲げる航法に従い当該動力船を航行させなければならない。」とし、同項第2号に「動力船が、当該動力船の右舷側を航行する他の動力船の進路を横切る場合であって、衝突のおそれがあるときは、他の動力船の進路を避けること」と定めている。
 本件に適用する航法について、「本件は、水上安全条例が適用されるものの、マ号及びキ号が、衝突のおそれを判断できないほどの超高速で航行しており、両号とも衝突回避に必要な措置をとることができない状況で発生しているから、水上安全条例第3条が適用され、同条例第4条第1項第2号は適用されない。」旨の主張がある。
 しかし、本件は、事実の経過に認定したとおり、マ号が針路を131度に定めた14時30分12秒に、同号の右舷船首47度1,100メートルの地点に058度の針路で航行するキ号が存在し、その後互いに進路を横切り衝突のおそれがある態勢で、マ号が1,000メートル、キ号が850メートル航行して48秒後に衝突したものであり、両受審人が十分な見張りを行っておれば、衝突のおそれが生じてから衝突までの経過時間、両号の接近模様及び航程から、衝突のおそれがある態勢で接近していることを知り、衝突を回避することができたと認められるので、水上安全条例第4条第1項第2号に定める航法を適用するのが相当である。

(原因の判断)
1 マ号及びキ号の速力について
 マ号及びキ号とも80キロ以上の速力で衝突したものであるが、本件当時、付近を航行する船舶は両号の2隻であり、このような状況下で両号がこの速力に達する速力で航行したことが、本件発生の原因をなしたものとは判断しない。
2 キ号の衝突回避措置について
 水上安全条例は、第4条に他の動力船の進路を避けなければならない動力船の航法について定めているものの、避航の対象となる他の動力船の航法については明確に定めていない。
 しかし、衝突の危険が差し迫ったときには、避航の対象となる他の動力船は、衝突を避けるための緊急避難の措置をとることが要求されることは言うまでもなく、キ号は、その運動性能から、遅くとも衝突の15秒前、両船が390メートルに接近した時点で行きあしを停止するなどの措置をとれば、衝突を回避することができたと判断する。

(原因)
 本件衝突は、茨城県北浦において、マ号が、右舷側を航行するキ号の進路を横切り、衝突のおそれがあった際、見張り不十分で、同号の進路を避けなかったことによって発生したが、キ号が、見張り不十分で、衝突を避けるための措置をとらなかったことも一因をなすものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、茨城県北浦において、バスボート購入希望者を乗船させて試乗運航をする場合、見張りを十分に行うべき注意義務があった。しかるに同受審人は、機関冷却水の排出状況を見るため右舷船尾方を振り向いたとき、発進時に認めた地点付近にキ号を認めていたことからそのまま停留しているものと思い、見張りを十分に行わなかった職務上の過失により、右舷側から進路を横切り衝突のおそれがある態勢で接近するキ号に気付かず、同号との衝突を招き、同号の左舷側及び自船の右舷側船体にそれぞれ損傷を生じ、両号の乗船者全員が負傷するに至った。
 以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第2号を適用して同人の四級小型船舶操縦士の業務を1箇月停止する。
 B受審人は、茨城県北浦において、一時停留したのち再び対岸沖合に向けて航行する場合、見張りを十分に行うべき注意義務があった。しかるに同受審人は、発進前にマ号が北方に向かっていたのを認めていたことから、同号が南下することはないと思い、見張りを十分に行わなかった職務上の過失により、左舷側から自船の進路を横切り衝突のおそれのある態勢で接近するマ号に気付かず、同号との衝突を招き、前示の損傷等を生じるに至った。
 以上のB受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

 よって主文のとおり裁決する。

(参考)原審裁決主文平成14年4月9日横審言渡
 本件衝突は、マシキャット号が、動静監視不十分で、周囲の状況に応じた安全な速力としなかったばかりか、衝突を避けるための措置をとらなかったことと、キャピタルグラウンド号が、動静監視不十分で、周囲の状況に応じた安全な速力としなかったばかりか、衝突を避けるための措置をとらなかったこととによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。
 受審人Bを戒告する。


参考図





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