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平成13年第二審第43号
件名

漁業調査船北辰丸漁船第三十二幸漁丸衝突事件〔原審函館〕

事件区分
衝突事件
言渡年月日
平成14年10月31日

審判庁区分
高等海難審判庁(山崎重勝、田邉行夫、東 晴二、山本哲也、山田豊三郎)

理事官
喜多 保

受審人
A 職名:北辰丸船長 海技免状:四級海技士(航海)
B 職名:第三十二幸漁丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
北辰丸・・・左舷船首外板に擦過傷
幸漁丸・・・左舷船首端ブルワークに凹損等

原因
幸漁丸・・・見張り不十分、行会いの航法(右側通行)不遵守(主因)
北辰丸・・・警告信号不履行(一因)

二審請求者
理事官堀川康基

主文

 本件衝突は、第三十二幸漁丸が、釧路港の航路内で北辰丸と行き会う際、見張り不十分で、航路の右側を航行せず、北辰丸との衝突を避けるための措置をとらなかったことによって発生したが、北辰丸が、警告信号を行わなかったことも一因をなすものである。
 受審人Bを戒告する。
 受審人Aを戒告する。
 
理由

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成11年12月2日09時35分
 北海道釧路港

2 船舶の要目
船種船名 漁業調査船北辰丸 漁船第三十二幸漁丸
総トン数 216トン 9.1トン
全長 43.81メートル 14.3メートル
機関の種類 ディーゼル機関 ディーゼル機関
出力 956キロワット  
漁船法馬力数   70

3 事実の経過
(1)北辰丸
ア 船体構造等
 昭和63年10月に進水し、可変ピッチプロペラを装備する、幅7.8メートル深さ3.4メートルの鋼製漁業調査船で、船首楼甲板ブルワークの前端及び前部マスト頂部の高さが、それぞれ喫水線上5.1メートル及び11.9メートルであった。
 操舵室は、甲板の高さが喫水線上3.5メートルで、船首端から約17メートルのところに前壁があり、船首尾方向の長さが約2.3メートル、幅約5.0メートル、天井の高さが約1.9メートルであった。
イ 航海計器及び音響信号装置等
 航海用レーダー(2台)、GPS装置、電子海図モニター等が設備され、使用状態となっていた。
 音響信号装置としてエアーホーン及びモーターサイレンが設備され、そのコントロールパネルが操舵室左舷側後壁にあり、吹鳴用の押ボタンがコントロールパネルのほかに操舵室の各舷天井に1個ずつ設置されていた。
ウ 操縦性能等
 建造時の平均喫水2.74メートルにおける海上公試運転成績によれば、次のとおりであった。
(ア) 速力試験結果

機関毎分回転数(rpm) プロペラ翼角(度) 速力(ノット)
419.5 9.2 8.6
421.0 15.0 11.6
421.0 18.2 12.8
420.1 20.8 13.8

(イ) 後進力試験結果(初速13.8ノット、後進回転420rpm、プロペラ翼角15度)

船体停止までの時間 38秒
船体停止までの距離 129メートル

 A受審人は、機関使用に関して機関長との間で、航海速力を400rpm、翼角19度、速力11.0ノット、半速力を400rpm、翼角15度、速力10ノット、微速力を370ないし380rpm、翼角7度、速力5ノット、極微速力を370ないし380rpm、翼角5度、速力3.5ノットと取り決め、機関操作にあたっては、各速力号令を基本とし、必要に応じてプロペラ翼角を指示するなどしていた。
(2)第三十二幸漁丸
ア 船体構造等
 昭和55年10月に進水した幅3.40メートル深さ1.39メートルのFRP製漁船で、船首端ブルーワークの高さが喫水線上2.20メートルで長さ1.4メートルの船首楼甲板、同甲板の船尾方5.4メートルが前部甲板で、その船尾方が船橋楼、後部甲板となっていた。
 前部甲板には、同甲板で作業を行う際の風雨及び凍結防止の目的で、鋼管枠を設けて同甲板全面を覆う幌が展張され、同幌の船首端の高さが喫水線上3.0メートルであった。
 船橋楼は、甲板の高さが喫水線上0.9メートルで、出入り口が左舷側にだけあり、前部が操舵室、後部が船員室となっており、操舵室には前面に4個(うち2個が旋回窓付)、左右各舷側に各2個のガラス窓が設けられていた。
イ 航海計器
 操舵室前部の中央に、延長コード付の遠隔操縦装置を備えた操舵スタンド、舵角指示器、左舷側に機関遠隔操縦装置が設備されていた。
 操舵室右舷側には、レーダー、GPS装置、ソナー、通信装置、無線方位測定器が設備され、レーダーとGPS装置が使用状態となっていた。
ウ 操舵室からの前路見通し状況
 B受審人の操舵室における眼高は、喫水線上2.5メートルで、前部甲板に展張された幌の船首端の高さより低く、正船首方の各舷約16度に死角を生じていた。
エ 操縦性能等
 速力は、航海速力の1,800rpmから微速力の1,000rpmの間で、適宜、回転数を調整して使用されており、航海速力が8.5ないし9.0ノット、微速力が4.0ないし5.0ノットで、旋回径は船の長さの約2倍であった。
(3)受審人
ア A
 昭和43年北海道が所有する漁業試験調査船の甲板員として乗り組み、昭和45年4月乙種一等航海士の海技免状を取得し、その後、同調査船の航海士となり、平成3年4月北辰丸一等航海士として乗り組み、以後同船航海長を経て平成11年10月14日から同船船長として運航に従事していた。
イ B
 さけます漁船、いか釣漁船の甲板員を約9年間経験した後、昭和57年2月一級小型船舶操縦士免状を取得し、昭和58年から第三十二幸漁丸(以下、幸漁丸という。)船長として運航に従事していた。
(4)入出港時の乗組員配置
ア 北辰丸
 船橋には、運航指揮に当たるA受審人のほか、操舵員として三等航海士、レーダー監視及び見張り員として通信長、機関の遠隔操作員として二等機関士が配置されていた。
 そのほか、船首に一等航海士のほか5人、船尾に二等航海士及び三等機関士ほか3人、機関室に機関長及び一等機関士がそれぞれ配置されていた。
イ 幸漁丸
 B受審人が単独で操舵操船に当たり、甲板員2人が前部甲板の幌の中で漁獲物を漁網から取り外す作業に従事していた。
(5)釧路港及び港口付近の状況
 港域は、東区、西区、外港及び航路に分かれており、東区は、釧路川河口及び付近にある従来の釧路港で、第1区ないし第3区に分かれていた。
 第1区は、釧路川河口で南側に入船町岸壁及び大町岸壁が、北側に幸町浪花町物揚場及び幸町岸壁等があった。
 第2区は、釧路川河口南側の入船岸壁西端と釧路港東区北防波堤南灯台(以下、南灯台という。)を結んだ線の北側で、中央ふ頭及び北ふ頭等があった。
 第3区は、第2区の南側で、築港船だまり、港町巡視船桟橋及び北海道試験調査船の桟橋等があった。
 防波堤入口は、北防波堤南端と南防波堤北端の間で幅約230メートルであった。
 国土交通省令の定める航路(以下、航路という。)は、南灯台から090度(真方位、以下同じ。)250メートルの地点まで及び同灯台から293度700メートルの地点まで引いた線と釧路港東区南防波堤灯台から090度300メートルの地点まで及び同灯台から293度700メートルの地点まで引いた線との間に囲まれた海面となっていた。
 また、水面上の高さ約5メートルの南防波堤から西北西方に向け、航路南側に沿って南副防波堤及び南外防波堤があり、小型漁船等が航路の途中から出入りできるよう、両防波堤間に切り通しが設けてあった。
(6)事件発生に至る経緯
 北辰丸は、A受審人ほか18人が乗り組み、船首1.60メートル船尾4.20メートルの喫水をもって、スケトウダラ計量魚探調査のため、根室海峡に向かうこととしたが、発航前に汽笛の吹鳴状況の確認を行わず、平成11年12月2日9時25分釧路港東区第3区の専用桟橋を発し、錨鎖3節を延出していた左舷錨を揚げ、同時30分翼角を前進3度として航行を開始した。
 09時31分A受審人は、南灯台から090度770メートルの地点で、航路の右側に向けて針路を267度に定め、翼角を7度としたとき、船首配置の一等航海士から入航する船舶が存在する旨の報告を受け、自らも南防波堤越しに同船のマストと船橋上部を認め、5.0ノットの速力(対地速力、以下同じ。)で進行した。
 09時33分半A受審人は、南灯台から093度400メートルの地点に達したとき、左舷船首5度645メートルに南副防波堤西端を替わって航路に入った幸漁丸を認め、その後同船が、航路の右側を航行せず、自船の前路に向けてこれを斜航する態勢で接近するのを知ったが、そのうち航路の右側に寄るものと思い、警告信号を行わず、そのままの針路で続航した。
 09時34分A受審人は、南灯台から094度320メートルの地点に達し、幸漁丸が方位の変化がないまま425メートルに接近したとき、衝突のおそれがあったので、機関を停止したものの、依然として航路の右側に寄るものと思い、警告信号を行わず、同時34分半わずか前航路に入り、その右側を原針路のまま、惰力で進行した。
 09時34分半A受審人は、幸漁丸が、依然として航路の右側に寄らないで左舷船首5度210メートルに接近したので、衝突の危険を感じて機関を微速力後進にかけ、右舷側天井の汽笛の押ボタンを操作したが鳴らなかった。
 そこでA受審人は、急いでコントロールパネルに至り、09時35分わずか前モーターサイレンによって短音を連続して鳴らし、全速力後進としたが、及ばず、09時35分南灯台から100度180メートルの地点で、原針路のまま、行きあしが停止した北辰丸の左舷船首部に、幸漁丸の左舷船首が前方から8度の角度で衝突した。
 当時、天候は晴で風力1の西風が吹き、視界は良好で、潮候は上げ潮の末期であった。
 また、幸漁丸は、船首0.5メートル船尾1.8メートルの喫水をもって、同月1日22時00分釧路港を発し、同港南南東方20海里ばかりの漁場に至り、カレイ及びタラの刺し網漁を行った。
 B受審人は、翌2日07時ごろ漁場を発し、GPSプロッターに表示させた南副防波堤西端に向首し、機関を全速力前進にかけて自動操舵で航行を始めた。
 09時30分B受審人は、南副防波堤西端まで0.5海里に接近したとき、操舵を遠隔操縦装置に切り替え、レーダーの探知レンジを0.25海里(463メートル)とし、甲板員には漁場発航時から行わせていた漁獲物の取り外し作業を続行させ、単独で操舵操船に当たり、同時33分半わずか前同防波堤西端をつけ回して航路に入った。
 09時33分半B受審人は、南灯台から245度290メートルの地点で、針路を079度に定めたとき、探知レンジを切り替えないままレーダーで前路の確認を行った。
 このとき、B受審人は、右舷船首3度645メートルに航路の右側を航行する態勢で出航する北辰丸が存在したが、設定していた探知レンジの外であったことから、同船の映像を認めることができず、前路に他船はいないものと思い、前部甲板に展張した幌によって生じた死角を補うため、船首楼甲板に見張り員を配置するとか、船首方を見通しできる操舵室上の甲板で操舵操船に当たるなどの十分な見張りを行わなかったので、同船の出航に気付かず、航路の右側を航行することなく、これを斜航する態勢で、9.0ノットの速力で進行した。
 09時34分B受審人は、南灯台から229度130メートルの、航路中央線付近の地点に達したとき、方位の変化がないまま右舷船首3度425メートルに接近した北辰丸と航路内において行き会い、衝突のおそれがあったが、依然としてこれに気付かず、行きあしを停止するなどの衝突を避けるための措置をとらずに原針路のまま続航した。
 09時35分わずか前B受審人は、北辰丸の鳴らした短音を聞いて同船のマストを初めて認め、右舵一杯として機関停止、全速力後進としたが、効なく、幸漁丸は、原針路、原速力のまま、前示のとおり衝突した。
 衝突の結果、北辰丸は、左舷船首外板に長さ約2.6メートルの擦過傷4条を生じ、幸漁丸は、左舷船首端ブルワークの凹損及び船首端から1メートルから2メートルにわたる左舷船首部ハンドレールに曲損などを生じたが、のち、いずれも修理された。

(航法の適用)
 本件は、港則法の特定港である釧路港において、出航する北辰丸と入航する幸漁丸が、南灯台から100度180メートルの地点において衝突したものである。同地点は、防波堤入口から港内側に約230メートル入った航路内であることから、港則法(以下、法という。)第14条第3項及び第15条の適用について検討する。
(1)法第14条第3項の適用について
 法第14条第3項は、「船舶は、航路内において、他の船舶と行き会うときは、右側を航行しなければならない。」と定めている。
 幸漁丸が南副防波堤西端を替わり航路内に入ったとき、北辰丸が航路外から航路の右側に向けて航行しており、両船は航路内で行き会う態勢にあったから、同条項が適用される。
(2)法第15条の適用について
 法第15条は、「汽船が港の防波堤の入口又は入口附近で他の汽船と出会う虞のあるときは、入航する汽船は、防波堤の外で出航する汽船の進路を避けなければならない。」と定めている。
 同条項の適用にあたっては、衝突地点が防波堤の入口又は入口付近に相当するか否かに関わるが、防波堤の入口又は入口付近の範囲は、具体的に防波堤間を結ぶ一線から何メートルの範囲であると一概に定めることはできず、衝突地点、航路状況、防波堤間の幅、通航船舶の大きさ及び運動性能、両船の接近模様等を考慮して認定されなければならない。
 本件は、防波堤入口の幅、防波堤入口から衝突地点までの距離、航路の幅、両船の大きさ及び運動性能、両船の接近模様を十分に考慮すれば、防波堤入口付近で発生したとは認められず、法第15条を適用するのは相当でない。

(原因の考察)
1 北辰丸が発航前に汽笛の吹鳴状態の確認を行わなかったことについて
 A受審人が操舵室の右舷側天井に設置してある汽笛の押ボタンを押してから衝突までの時間が30秒であり、同ボタンを押した時点で汽笛が鳴ったとしても、幸漁丸の死角状況及び両船の接近模様から判断してその操作時機が遅かったことから、発航前に汽笛の吹鳴状態の確認を行わなかったことが、原因をなしたものとは判断しない。
2 北辰丸が行った汽笛信号について
 海上衝突予防法(以下、予防法という。)第34条第5項は、「互いに他の船舶の視野のうちにある船舶が互いに接近する場合において、船舶は、他の船舶の意図若しくは動作を理解することができないときまたは他の船舶が衝突を避けるために十分な動作をとっていることについて疑いがあるときは、直ちに急速に短音を5回以上鳴らすことにより汽笛信号を行わなければならない。」旨定めている。
 同条項に定める汽笛信号を警告信号というが、同信号は、その吹鳴を行った後、相手船の動作を確認したうえで、自船が動作をとるに十分な時間的余裕をもって行うことによって有効となる。
 従って、A受審人は、遅くとも幸漁丸との距離が425メートルになった09時34分の時点で警告信号を行うべきであったが、09時35分わずか前に行った汽笛信号は、予防法第34条第5項の警告信号とは認められず、警告信号を行わなかったことは、原因をなしたものと判断する。
3 A受審人がとった行きあし停止の措置について
 A受審人がとった行きあし停止の措置は、同受審人の機関使用模様及び両船の接近状況から判断すると、結果として衝突を回避できなかったものの、当時とりうる最善の衝突回避措置であったと判断する。
4 B受審人の見張りについて
(1)B受審人は、幸漁丸の前部甲板に展張した幌が操舵室に死角を生じていることを知っていた。同受審人が、操舵位置において、死角内にある北辰丸の船首部船体を認めることができる距離を計算によって求めると約12メートルとなる。
 従って、B受審人は、船首楼甲板に見張り員を配置するとか、操舵室上の甲板で操舵操船するなどの措置をとって死角を補い、十分な見張を行うことが必要であったところ、この措置をとらなかったことにより、見張りが不十分になったものと判断する。
(2)B受審人は、レーダーの探知距離レンジを0.5海里ないし1.0海里に調整し、死角を補う見張りをしておれば、早期に港内の状況を把握でき、遅くとも南副防波堤を替わって航路内に入った際、北辰丸の映像を認めることができたと推認できるから、同レンジを0.25海里のままとして適切に調整していなかったことにより、見張り不十分になったものと判断する。
5 幸漁丸が航路の途中から入航した点について
 B受審人が、途中から航路に入ったことは、その後の北辰丸との衝突に至る接近状況から本件の原因をなしたものとは判断しない。
6 幸漁丸が航路の右側を航行しなかった点及び衝突を避けるための措置をとらなかった点について
 幸漁丸が、航路内で北辰丸と行き会う際、航路の右側を航行しなければならない点については、航法の適用において述べたとおりである。
 また、幸漁丸が、北辰丸と衝突のおそれが生じた際、衝突を避けるための措置をとらなければならないことは、船員の常務として要求されるところであり、衝突直前にとった右舵一杯、機関停止、全速力後進の措置は、有効な衝突回避の措置とは認められず、衝突を避けるための措置をとらなかったと判断する。

(原因)
 本件衝突は、幸漁丸が、釧路港の航路内において北辰丸と行き会う際、見張り不十分で、航路の右側を航行せず、同船との衝突を避けるための措置をとらなかったことによって発生したが、北辰丸が、警告信号を行わなかったことも一因をなすものである。

(受審人の所為)
 B受審人は、釧路港に入航する場合、操舵室においては前部甲板に展張した幌により死角を生じる状況であることを知っていたから、操舵室上の甲板で操舵操船に当たるなどの十分な見張りを行うべき注意義務があった。しかるに同受審人は、0.25海里レンジとしたレーダー画面上に他船の映像を認めなかったことから、前路に他船はいないと思い、十分な見張りを行わなかった職務上の過失により、北辰丸との衝突を招き、自船の左舷船首端ブルワーク及び左舷船首のハンドレールに曲損と北辰丸の左舷船首部に擦過傷を生じさせるに至った。
 以上のB受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。
 A受審人は、釧路港を出航中、航路の右側を航行しないで自船の前路に向けてこれを斜航する幸漁丸を認めた場合、警告信号を行うべき注意義務があった。しかるに同受審人は、そのうち航路の右側に寄るものと思い、警告信号を行わなかった職務上の過失により、幸漁丸との衝突を招き、前示の損傷を生じさせるに至った。
 以上の、A受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

 よって主文のとおり裁決する。

(参考)原審裁決主文平成13年12月11日函審言渡
 本件衝突は、第三十二幸漁丸が、見張り不十分で、釧路航路内の右側を航行しなかったばかりか、衝突を避けるための措置をとらなかったことによって発生したが、北辰丸が、警告信号を行わなかったことも一因をなすものである。
 受審人Bを戒告する。
 受審人Aを戒告する。


参考図
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