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 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 衝突事件一覧 >  事件





平成13年仙審第53号
件名

漁船第十八妙寶丸防波堤衝突事件(簡易)

事件区分
衝突事件
言渡年月日
平成14年7月4日

審判庁区分
仙台地方海難審判庁(上中拓治)

副理事官
宮川尚一

受審人
A 職名:第十八妙寶丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
船首部を圧壊、球状船首に破口

原因
居眠り運航防止措置不十分

裁決主文

 本件防波堤衝突は、居眠り運航防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年7月18日05時10分
 青森県大畑漁港

2 船舶の要目
船種船名 漁船第十八妙寶丸
総トン数 19トン
全長 23.60メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 603キロワット

3 事実の経過
 第十八妙寶丸(以下「妙寶丸」という。)は、いか一本釣り漁業に従事するFRP製漁船で、A受審人ほか2人が乗り組み、操業の目的で、船首0.3メートル船尾2.8メートルの喫水をもって、平成13年7月17日15時30分青森県大畑漁港を発し、尻屋埼の北方海域で操業していか150キログラムばかりを漁獲したのち、翌18日03時30分尻屋埼灯台から357度(真方位、以下同じ。)9.6海里の地点より帰途に就いた。
 A受審人は、他の乗組員を休息させて単独で船橋当直に当たり、機関を9.8ノットの全速力前進にかけ、針路を230度に定めて大畑漁港入口付近に向首し、自動操舵により進行した。
 04時33分A受審人は、大畑港第1東防波堤灯台から047度6.2海里の地点に至り、いすに腰掛けて当直に従事しているうち、疲労による眠気を催したが、まさか居眠りすることはないと思い、休息中の他の乗組員を昇橋させて見張りを手伝わせるなどの居眠り運航防止措置をとらずに続航した。
 A受審人は、いつしか居眠りに陥り、05時10分わずか前ふと目が覚めて目前に防波堤を認め、急いで機関を停止次いで後進としたが及ばず、05時10分大畑港第1東防波堤灯台から338度500メートルの地点において、妙寶丸は、原針路、原速力のまま、その船首が大畑港第2外北防波堤の北面西端付近に衝突した。
 当時、天候は晴で風力1の東風が吹き、潮候は下げ潮の末期で、視界は良好であった。
 衝突の結果、妙寶丸は船首部を圧壊し球状船首に破口を生じた。

(原因)
 本件防波堤衝突は、青森県大畑漁港に帰港する際、居眠り運航防止措置が不十分で、当直者が居眠りに陥り、防波堤に向首する針路のまま進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、夜間の操業を終え、単独で船橋当直について自動操舵により、尻屋埼沖合から大畑漁港に向けて帰港中、眠気を催した場合、居眠り運航とならないよう、休息中の他の乗組員を昇橋させて見張りを手伝わせるなどの居眠り運航防止措置をとるべき注意義務があった。しかるに、同人は、まさか居眠りすることはないと思い、他の乗組員を昇橋させて見張りを手伝わせるなどの居眠り運航防止措置をとらなかった職務上の過失により、居眠りに陥り、防波堤に向首したまま進行して衝突を招き、船首部を圧壊し球状船首に破口を生じさせるに至った。





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