日本財団 図書館




 海難審判庁裁決録 >  2002年度(平成14年) > 衝突事件一覧 >  事件





平成13年仙審第51号
件名

漁船第二隆盛丸防波堤衝突事件(簡易)

事件区分
衝突事件
言渡年月日
平成14年4月25日

審判庁区分
仙台地方海難審判庁(上中拓治)

理事官
熊谷孝徳

受審人
A 職名:第二隆盛丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士

損害
隆盛丸・・・船首部先端を圧壊

原因
隆盛丸・・・見張り不十分

裁決主文

 本件防波堤衝突は、見張りが十分でなかったことによって発生したものである。
 受審人Aを戒告する。

適条

 海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号

裁決理由の要旨

(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成13年1月26日04時45分
 新潟県両津港

2 船舶の要目
船種船名 漁船第二隆盛丸
総トン数 9.92トン
全長 15.90メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 264キロワット

3 事実の経過
 第二隆盛丸(以下「隆盛丸」という。)は、刺網漁に従事するFRP製漁船で、A受審人ほか2人が乗り組み、操業の目的で、船首0.5メートル船尾1.5メートルの喫水をもって、平成13年1月25日23時00分新潟県両津漁港を発し、同県姫埼の北北東方海域で揚網及び投網作業を行い、翌26日03時54分姫埼灯台から023度(真方位、以下同じ。)4.0海里の地点において、帰途に就いた。
 A受審人は、単独で船橋当直に当たり、機関を6.0ノットの微速力前進にかけ、針路を両津漁港の入口のやや南に向首する244度に定めて自動操舵とし、船尾甲板で乗組員に刺網にかかった魚を外す作業を行わせながら進行した。
 04時08分A受審人は、姫埼灯台から006度3.0海里の地点で、機関を11.0ノットの全速力前進として操舵室を離れ、自分も船尾甲板の前示作業に加わり、操舵室を無人として時々顔を上げて周囲の見張りを行いながら続航した。
 04時35分A受審人は、両津漁港南防波堤灯台(以下「南防波堤灯台」という。)から069度1.8海里の地点に達したとき、いったん操舵室に戻り、両津漁港の入口まで目測で2海里ばかりとなっているのを認めたが、入港操船を開始するまでにはまだしばらく余裕があるものと思い、再び操舵室を離れて船尾甲板で前示作業に従事し、その後周囲の見張りを行わなかった。
 A受審人は、04時44分半右舷正横付近に両津漁港の防波堤の灯火が見えたことから港が近いことに気が付き、急ぎ操舵室に戻ったが、どうすることもできず、04時45分南防波堤灯台から164度320メートルの地点において、隆盛丸は、原針路、原速力のまま、その船首が両津港北防波堤の北東側の壁面に衝突した。
 当時、天候は晴で風はほとんどなく、視界は良好であった。
 衝突の結果、隆盛丸は船首部先端を圧壊した。

(原因)
 本件防波堤衝突は、夜間、新潟県両津漁港に帰港する際、見張りが不十分で、防波堤に向首する針路のまま進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
 A受審人は、夜間、新潟県両津漁港に帰港中、同漁港入口まで2海里ばかりとなったのを認めた場合、入港操船を開始する時期を見過ごさないよう、見張りを十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、入港操船を開始するまでにはまだしばらく余裕があるものと思い、操舵室を無人として、船尾甲板で刺網にかかった魚を外す作業に従事し、見張りを十分に行わなかった職務上の過失により、防波堤に向首する針路のまま進行して衝突を招き、船首部先端を圧壊させるに至った。





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION